老健施設や老人ホームに入居している老人は自宅に戻りたいのだが・・・ - 定年退職後の高齢者の仕事、雇用、健康

86歳の義母が老健施設で生活をしている。私たち夫婦と義父と一緒に1週間に1度訪問する。今、次の老健施設に引っ越しをするために一時的に個室で生活をしている。4人部屋から個室に引っ越して生活をすると老健施設にいる他の老人たちは、「もうすぐ退院ね!」と義母に言うのだという。

実際は、老健施設側の都合で新しい老人に安い4人部屋の部屋を充てがうためである。義母の場合は、予定以上に長い老健施設での入居が続いていたため、新しい人に4人部屋を提供したということだ。同時に、義母が近々別の老健施設に引っ越すことが予定されていたためでもある。

義母が個室に移動して周りの老人たちが勝手に「もうすぐ自宅に帰れるのよね!」と思っている。その思いは、老健施設にいる老人に共通した希望でもあるからだ。

自分の家でもとの生活をしたい!

私達夫婦も義父も義母の気持ちは十分わかっているのだが、義母の体力を考えた場合、それが無理であることが見えてくる。自宅は、完全なバリアフリーになっていない。義父一人で生活をしているが、自分の世話だけで精一杯であるという。義母が自宅に帰ってきても何もプラスにならない。義父と私達夫婦の負担が増えるだけである。

老健施設は、入居した老人たちをもとの自宅に戻せるようリハビリを行う。老健施設の環境は、老人にとって環境が良すぎる。自宅では同様な生活環境を提供できない。自宅は、普通の生活ができる健常者でないと無理である。自分のお世話ができないと負担が義父や私達に来る。その事を老健施設に面会に行く度に説明しているのだが、その場では理解してくれても次回会うとまた同じことを言い出す。

「自宅に帰れるのはもうすぐでしょ!」と。

義母の気持は痛いほど分かる。できるならば、自宅に戻して生活をしてもらいたい。自宅で生活を始めると3つのリスクが生まれる。

  1. 体力不足で転倒して病院に入院。
  2. バランスが取れた食事が取れず、低栄養状態の体に逆戻りする。
  3. お喋りをする人が近くにいなくなり、今以上に孤独が忍び寄る。

老健施設でどこまで体力が落ちた老人をもとに戻せるかだ。年齢が60歳代ならば、体力の回復も著しいし普通の生活ができるまで足腰の筋力が改善される可能性があるが、86歳の義母では筋トレのような運動を長期間老健施設で行わないと失った筋肉は簡単に戻らない。リハビリの治療は週2回で30分程度だ。これでは、無理だ。普通の生活が自分でできるまでの筋力は回復できない。

80歳を越えて老健施設に入居したら、多くの老人は有料老人ホームに向かう。これが定番コースだ。認知症に侵されていれば、確実にそうなる。義母は初期の認知症の症状がある。会話をしていて先程話した会話を繰り返す場合が多い。こちらで話題を変えないと同じことを繰り返す。過去の記憶はすぐに思い出すが、最近のことはなかなか思い出せない。

老健施設では、入居者の老人たちに刺激を与える活動やイベントがたくさんある。介護士たちの働きぶりを眺めているとできるだけ自宅で生活をするような環境を作ろうとしている。

入居した老人は、加齢で自己中心的になりやすい。子供に戻る。動ける範囲が老健施設の1フロアーだけだ。見えない柵で囲まれていると感じているのだろう。

義母はまだ普通の人のように物事を理解し、判断ができ、介護士の世話をあまり必要としない状態にある。それゆえにもう自宅に帰って生活が自分でできると思い込みがちになる。

自宅で生活をしたいという気持ちは誰もが持つが、義母の肉体ではそれが無理である事を信じようとしていない。私達人間は、ずっと同じ生活をして行くことができない運命にある。義母の様子を見ながら、自分の老後の生活を悩む。

この記事「老健施設や老人ホームに入居している老人は自宅に戻りたいのだが・・・」のポイントは、

  • 義母が個室に移動して周りの老人たちが勝手に「もうすぐ自宅に帰れるのよね!」と思っている。その思いは、老健施設にいる老人に共通した希望であるからだ。
  • 老健施設の環境は、老人にとって環境が良すぎる。自宅では同様な生活環境を提供できない。自宅は、普通の生活ができる健常者でないと無理である。
  • 80歳を越えて老健施設に入居したら、多くの老人は有料老人ホームに向かう。これが定番コースだ。認知症に侵されていれば、確実にそうなる。

 

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