営業支援のNPO団体の定例会でフルタイムで働いてくれるシニアを募集していた。お客さんの会社で2名ほど働けるシニアを探しているというのだ。定例会には、60名ぐらいのシニアが参加していた。きっと、我先に応募する人が現れるだろうと見ていたのだが、誰もいない!!

あるシニアが、フルタイムということは朝の9時から夕方6時までなのかという質問をしていた。その仕事は、会社に通勤する仕事なのかと言う質問もあった。眺めながら、何故、シニアはこの仕事に飛びつかないのだろうかと考えた。

フルタイムの仕事に興味を示さないシニアたち?

仕事がないと生活が出来ないというシニアたちではないということは確かだ。周りのメンバーからどうもフルタイム週5日間時間を制約されるのが嫌なようだ。何十年という間会社で歯車として働いてきた経験をもう一度味わいたくはないという意思表示なんだろう。

このNPO団体は、やりたい人がやるという緩いルールで全ての活動が動いている。民間の会社組織のような上司、部下の指揮系統はない。客先の会社でフルタイムの仕事を好まないシニアが多いのだろう。週3日程度ならば、やっても良いというシニアが数人いた。

政府は高齢者をまた労働者として働いてもらうために高齢者専門の仕事斡旋窓口を各自治体に300箇所も設置するという。仕事がないと生活が出来ないという高齢者ならば、この試みは受け入れられるだろう。働かなくても経済的に困らないという高齢者は、見向きもしないかもしれない。

普通の労働者と同じ労働条件では、有能は高齢者は飛びつかないのではないか。経済的に困っていなければ、自分の時間を労働に当てる必要もない。自分のスキルが生きて時間に制約されない労働環境が与えられるならば、話は別になるかもしれない。

しかし、

民間企業が求める労働者は、高齢者に対して特別な労働環境を用意していない。普通の労働者の代わりとして高齢者を見ている。経済的に困っていない働ける高齢者がどれほどいるのか分からないが、単重労働的な仕事には目が行かないことは確かだ。民間企業はシニアの強みと体調を考慮した労働環境を事前に用意することが必要だ。

有能な高齢者は、労働条件が良くないと飛びつかない。もう、体がついて行かない。