今の社会が求めているシニア人材は偏っている。

シニア人材を求めている会社がある。99%以上が大手企業で管理職をしていたOBを中小企業に派遣する顧問サービスである。シニア人材と業務委託契約をして顧問を求める中小企業に送り出す。または、中小企業が求めている経験と知識があるシニア人材を人材斡旋会社が紹介して直接中小企業と顧問契約を行う形式である。

このニーズを満たすシニア人材は限られたシニアになる。そのため、60歳で定年退職した多くのシニアの再就職ニーズを満たせない。なぜなんだろうか。

人手不足と新聞では報道されているが、働きたいシニアが多いのに仕事が見つからない現実がある。

仕事を探しているシニアが溢れている

シニア向け仕事紹介サービスは特定のシニア人材だけが対象になるため本当の意味でのシニアのリソースを活用できていない。60歳から70歳までのシニアはまだまだ普通の会社員のように生産的な仕事が出来る体力がある。彼らも社会で生産的な仕事に就きたいと願っている。

今の会社は法律で65歳まで雇用する義務を追うのだが、合法的なやり方で60歳以上の会社員を自主退職に誘導している。そのため、多くの定年退職者が65歳まで継続して今の会社で働くことが出来ない現実がある。出来たとしても再雇用であるため非正規雇用になり、給与も大幅に下がる。

シニア向けの求人が少ない

60歳以上のシニアで仕事を探している人が急激に増加している。転職先は見つからず、退職金でただ生きているだけの生活が続く。シニア起業が出来る人は、起業に挑戦できるがその数は少ない。多くのシニアは何をして社会に繋がり続けるか模索中である。この状態になると社会での自分の居場所がなくなる。

求人サイトやハローワークで検索してみるとわかるように、シニア向けの求人は、一般の求人に比べて圧倒的に少ない。これは企業側がシニアの採用に積極的ではないためである。シニアは体力やスキル面で不安視される傾向があり、また、高額な給与や福利厚生を要求するのではないかと懸念されるからである。

シニアのスキルや経験が企業の求めるものと合わない

シニアの中には長年培ってきたスキルや経験を活かして働きたいという希望を持っている人もいます。しかし、企業側が求めているのは、即戦力として活躍できる人材である。そのため、シニアのスキルや経験が企業の求めるものと合わない場合には、採用に至らないケースが多くなる。

シニアの強みを明確にしないと社会が求めるニーズに答えられない。

一般的にシニアの強みは専門分野の知識と経験である。自分のキャリアが専門的であればあるほどその分野の専門職を探してあげれば社会に復帰できる。しかし、多くのシニアは専門職ではない普通の会社員キャリアを過ごしてきた。組織の歯車としてうまく回ってきた。会社の良さと醜さ、そして、人間関係の渦の中で上手く過ごしてきた世渡り術を持っているが定年退職後はそれが使えない。そんなシニアが労働市場で溢れている。

シニアの働き方が企業のニーズに合わない

シニアの中には、フルタイムで働くのではなく、パートタイムやアルバイトなど、短時間で働きたいという人もいる。しかし、企業側が求めているのは、フルタイムで働ける人材である。そのため、シニアの働き方が企業のニーズに合わない場合には、採用に至らないケースが多くなる。

時代のニーズを満たせないシニア労働者

時代の大きな変化でワークスタイルも大きく変わり始めている。大手企業が率先して年功序列雇用制度を廃止して一つの会社で定年まで勤められる保証が無くなって来ている。雇用の安定はなくなり、 自分のキャリア思考がないとこれからの人生の羅針盤が持てない。

定年退職後のシニアは老後のキャリアと生活スタイルを考えねばならない。社会で働くためにはどのようなニーズに自分を適用させるべきかを定め、社会で求められているニーズを満たすスキルや知識を学ぶ必要がある。

仕事を探しているシニアが向かうべき方向

新しいスキルや知識を学ぶこと無くして時代のニーズを満たすことは難しい。この事を基本にして第二のキャリアプランを考え実行するしかない。今のままの状態で雇用していくれる業界や職種はこれからどんどん少なくなっていく。今求められているスキルや知識を提供できるシニア人材になることが仕事を得る最善の方法になる。

具体的に考えるとしたならば、自分の得意x新しいスキルや知識で満たせる仕事を見つけることである。自分をマーケティングする。年齢に囚われず雇用してくれる業種業界を見つけてそれに向かって自分をアップデートして行くことである。

結論

社会が大きく変化している。昭和の時代で活躍した世代の人間は今の時代が要求するスキルと知識を学ばないと仕事が見つからない時代になっている。60歳代のシニアは体力もあり、健康である。自分が身に付けてきたスキルや知識が生かせる仕事ならば即戦力になるのだが、そのマッチングが少なくなり、会社は新しい時代のニーズに答えられる人材を探す。

今のシニア人材が出来ることは自分の得意x新しいスキルや知識で満たせる仕事を見つけることである。そして、年齢に囚われず雇用してくれる業種業界を見つけてそれに向かって自分をアップデートして行くことである。