食事を義母の介護ベッドまで持って行って置いたら、義母から入れ歯を持ってきて下さいと頼まれた。ああ、入れ歯をしていたんだと気がつく。85歳の義母は歯が悪くて入れ歯になっていたという事実を初めて知った瞬間である。

確かに、入れ歯が無いと食事は出来ない。歯が悪いと普通の食事が出来ない。入れ歯をしていても硬い食べ物は食べられない。歯は大切なんだと再認識する。

老人ホームや老健施設では月に1回契約している歯科クリニックによる訪問口腔ケア検診がある。義母が自宅から老健施設に移ってから高齢者の口腔ケアについて学ぶ機会ができた。

口腔ケアを忘れると歯周病や歯槽膿漏になりやすい

朝起きたときに洗面所の鏡に自分の歯を映して見てもらいたい。表の歯には虫歯が見えない。虫歯は、奥深い見えない場所に出来ている。歯石も同じで鏡に映った自分の歯を診ても歯石であるかどうかの見分けが付かない。

口腔ケアとしてこんな事を虫歯予防をしている。

  1. 朝起きたときに洗面所で口の中をブクブクして洗い流す
  2. 朝起きた時と寝る前に必ず歯磨きをする
  3. 半年、1年に1度、歯科クリニックで歯石を取り除く

口腔ケアは口の中を清潔に保つことだけでなく、体全体の健康をも保つ効果がある。口の中を清潔に保てなくなると歯石が歯に付き始める。歯石の排除が口腔ケアの第一歩になる。

歯石がバイ菌の巣になる

歯石は、プラーク(細菌の塊)が唾液の中のカルシウムやリンなどのミネラル成分と結びついて石のように固くなったもの。歯石の中に細菌が住みついて毒素を出し、歯周病・歯槽膿漏を引き起こす。歯周病・歯槽膿漏になると歯が抜けやすくなり、入れ歯を入れる状況を作り出す。

歯周病・歯槽膿漏は知らないうちに発症する。歯周病は糖尿病、心臓病、脳卒中、慢性腎疾患、肺炎、骨粗しょう症、癌などを呼び込むトリガーになるので出来るだけ早いうちに治療が必要になる。歯槽膿漏も同様。

歯石に住みついている細菌が虫歯を作り、体内に細菌を送り込む。口の中は昼間活動して起きている間、唾液が細菌を殺して防御している。夜、就寝している間は唾液が少なくなる。この時に細菌は口の中で悪さをする。虫歯を作り、歯石から絶えず悪さをする細菌を体内に送り込まれる。

高齢者(60歳以上の人)は、免疫力が衰えて行っているので口の中に住んでいる細菌が体内で暴れやすい。体内で暴れる前に細菌を消滅させる事ができれば最善の予防になる。細菌が集まる歯石を定期的に取り除く事が一番重要になる。

シニアにとっての口腔ケアとは

口腔機能が低下すると「噛んで味わう」、「飲み込む」といった動作がスムーズに行えなくなるため、十分な栄養の摂取が難しくなる。口腔ケアは歯磨きや口腔内の洗浄で歯石、歯周病などを予防するだけでなく、摂食トレーニングや誤嚥性肺炎の予防につながる。

食べ物を飲み込む機能が衰えると、食べ物や唾液が気管に入ってしまうことがある。このとき、口腔内の細菌が肺に入って起こるのが「誤嚥性肺炎」である。口腔内の汚れや細菌を減らすことは、誤嚥性肺炎の予防につながる。

加齢が原因で食べ物を飲み込む機能が低下する。66歳の私でもカルシウムとマグネシウムの錠剤を飲み込む時に注意して飲み込んでいる。若い頃と違って飲み込む力が落ちてきたように感じている。

歯を入れ歯にすると色々面倒になる

大人の健康な歯の数は28本。健康な歯の数で食べれる物が変わってくる。これが入れ歯になると硬いものは食べ難くなる。

健康な歯の数で食べれる物が変わる引用先:Lidea

96歳の義父は入れ歯なしでは食事ができない。入れ歯を固定するポリグリップを毎朝使っている。寝る前には入れ歯洗浄剤で消毒をする。面倒な作業とコストが発生する。

健康な歯を維持する口腔ケアを続ければ、健康寿命に貢献し食事を楽しむ食生活が送れる。歯が悪くなれば入れ歯にすれば良いと安易に思っていると後で後悔することになる。

結論

口腔ケアについてどれだけ知っているだろうか。歯の健康を維持することで健康と食生活を守ることが出来る。口腔ケアの一歩は歯石を作らせない歯磨き習慣である。歯石が出来ると虫歯になるだけなく歯周病・歯槽膿漏になる。これらの病気が糖尿病、心臓病、脳卒中、慢性腎疾患、肺炎、骨粗しょう症、癌などを呼び込むトリガーになる。