一般的に65歳前後になると、リスク回避の意識が高まり、金融資産をより安全な現金や預貯金に移す傾向が見られる。これは、以下のような理由が考えられる。

  • 残り少ないと考えられる時間: 人生の終末期が近づくにつれて、資産を運用して増やすよりも、すぐに使える流動性の高い現金を手元に置いておきたいというニーズが高まる。
  • 健康上の不安: 病気や介護など、予期せぬ支出に備えて、すぐに引き出せる現金を持っておきたいという心理が働く。
  • 認知機能の低下: 年齢とともに判断能力が低下する可能性も考慮し、複雑な金融商品よりも理解しやすい現金を選好する傾向がある。
  • 相続への意識: 相続の手続きを簡便にするため、現金で資産を残したいと考える。

これらの理由から考えると、非課税保有期間が無期限になったとはいえ、株式投資が中心となるシニアNISAは、65歳前後の方にとっては必ずしも魅力的とは言えない。

70歳である私は自分の命がいつまでか分からないがこの先10年から20年ぐらいではないかと思っている。そんな推測の中で積極的にお金を投資する気持ちになれない。投資は余裕のあるお金で行うのが基本。年金生活の老人に投資を勧誘する仕組みは多くの貧乏人シニア層に向いていない。

むしろ、お金を失わないで確実に増やす仕組みが求められる。投資はリスクが伴う。投資信託のリスクは毎月発生する信託銀行への手数料と元本割れである。一度損をするとその金額を取り戻すのに時間がかかる。老人にはその時間がない。

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