若者は老人について知識がない、関心もない。老人は若者の状態がわかるが、若者は老人の状態が分からない。老人はむかし若者であったから若いときのことを思い出せる。若者は老人にならないと老人であることがどのような意味を成すか分からない。

最初に身体の変化を老化で感じ始めるのは還暦を過ぎた年齢になった時である。自分の体がこんな事を言い始める。

  • 朝起きた時に両手の指にこわばりを覚える
  • 階段の上り下りで息が切れ始める
  • 夜中に足に痙攣を起こす

今まで経験したことがない体の変化に気付き始める。今まで当たり前出来たことが何故か出来なくなる。60歳になったら身体にこんな現象が起きる、70歳を過ぎたらこんな事に気をつけろと言う情報が伝えられていない。身体が老化すると当たり前のことが出来なくなる。老人になってみないとその意味を体感できない。

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