ランチで中華料理店に入ると中高年の男性が多い。彼らの姿を見ると多くの中高年は肥満体でお腹が出ている。ランチで注文する量を見てもそれを裏付ける。ライス、料理の大盛りを追加料金で注文している。注文も餃子、ラーメン、チャーハンといった感じで多い。
なぜ、お腹が出て肥満体の中高年になるのかがわかる。
会社の健康診断や人間ドックの診察を受ければ確実に生活習慣病対象者として診断される。そんな肥満体の中高年がその問題に対処しないで年齢が増えていくと徐々に体重が減っていく。体重が減っても見かけはあまり変わらないという現象に見舞われる。
これは加齢による体重減少である。普通の生活をしていると自然と体の筋肉が減少していく。今までと同じ食事量であると体重は変わらないが筋肉量が減り脂肪が増える。見た目の体は変わらないが身体の老化現象はひどくなる。
電車の中でもお腹が出ている中高年を多く見かける。まだ体に筋肉があるから動きや生活面で支障はないように見えるが、体が重いだろうなと思わざるを得ない。
目次
サルコペニア肥満という現象を知っているか?
加齢とともに体重が減少する現象は確かにあるが、その原因を知る必要がある。街中を歩き回っている70歳代後半、80歳代のシニアの姿を観察してみると動きが鈍く体が細く枯れてきている人が多い。何故、老人の体はか細くヨレヨレになっていくのか。見るからにして弾力性がない肉体である。
一方で肥満体の老人もいる。お腹が出て体格が良いが、動くのがつらそうである。
60歳代から体重の自然減が激しくなる
筋肉量の減少(サルコペニア):
40歳以降、特に65歳以降は筋肉量が自然に減少して行く。筋肉はエネルギー消費の大きい組織なので、筋肉が減ると基礎代謝が落ち、体重が減る。しかし、この体重減少は脂肪が減るのではなく、筋肉が減ることで起こるため、体脂肪率は高いままという「隠れ肥満(サルコペニア肥満)」の状態になる。
食欲不振や低栄養:
高齢になると、味覚や嗅覚の低下、消化機能の衰え、嚥下障害、あるいは精神的な要因(孤独など)から食欲が低下し、食事量が減って体重が減少する。これは栄養不足の状態であり、健康に悪影響を及ぼす。
病気による体重減少:
がん、心不全、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、感染症など、様々な病気が原因で体重が減少することがある。
サルコペニア肥満のリスク
特に注意が必要なのが、サルコペニア肥満。これは、筋肉量が減少し、その代わりに脂肪が増えることで、体重は標準範囲内でも体脂肪率が高い状態を指す。肥満体型だった人が加齢で体重が減っても、筋肉が減って脂肪が残っている場合、以下のようなリスクがある。
基礎代謝の低下:
筋肉量が少ないため、エネルギーを消費しにくく、太りやすい状態が続く。
生活習慣病のリスク継続:
脂肪、特に内臓脂肪が多い状態が続くため、糖尿病、高血圧、脂質異常症などの生活習慣病のリスクは依然として高いまま。
身体機能の低下:
筋肉が少ないため、転倒しやすくなったり、日常生活動作(ADL)が低下したりするリスクが高まる。
認知機能の低下:
サルコペニア肥満は、認知機能の低下や認知症のリスクを高める可能性も指摘されている。
免疫力の低下:
筋肉量の減少は免疫力低下にもつながり、感染症にかかりやすくなることがある。
重要なのは「何が減ったか」
単に体重が減ったからといって、健康リスクが自動的に減るわけではない。重要なのは、**「何が減ったか」**。健康的な体重減少は、適切な食事管理と運動によって脂肪が減り、筋肉量が維持されるか、あるいは増えることで達成されるということを知ることである。
筋肉量の変化をどのようにして知れば良いのか。一番簡単な方法は体組成計を購入して朝起きた時に計測することである。私はタニタの体組成計を使っている。起床後、トイレにいった後に体組成計で体重、BMI、体脂肪、筋肉量、内脂肪などを計測している。毎日の筋肉量の変化を記録しながら1ヶ月単位で筋肉量の変化をモニターする。
もう一つの方法はお風呂に入る前に洗面所の鏡に映された自分の体を観察することである。体に弾力性が無くなったという印象があれば、確実に筋肉量が減少している証拠である。
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結論:
お腹が出た肥満体の中高年男性を横浜でよく見かける。お腹が出て肥満体の中高年は長生きをするだろうかと疑う。仕事でお目にかかった70歳代のシニア男性が大柄でお腹が出て肥満体であった。彼の動作を見ていると動く度に息が荒かった。立っている時間よりも座っている時間のほうが長かったことを覚えている。私の目からしてもこの人は長生きをしないなと思った。
老人になると誰もが筋肉量の減少で枯れていく。その中でサルコペニア肥満になる人がいる。見かけは以前と変わらないのだが、筋肉量が減り脂肪量が代わりに増えるという現象である。70歳で肥満体のシニアはサルコペニア肥満である可能性が高い。筋肉量を調べて対策を取る必要がある。