私たちが就職する時、会社は身元保証人を求めてくる。アルバイトでもパートでも。高齢者は、両親が他界している場合が多いし、身元保証人になれるだけの資産が無い。兄弟姉妹がいなければ、親族か、親しい友人知人となる。年齢が70歳以上になれば、身元保証人になってくれる人がいなくなる場合が多い。
令和5年の労働力人口比率(人口に占める労働力人口の割合)を見ると、65~69歳では53.5%、70~74歳では34.5%となっており、いずれも上昇傾向である。75歳以上は11.5%となり、平成27年以降上昇している。(出所:令和6年版高齢社会白書(全体版))
元気なシニアは70歳を過ぎても働こうとしている。身元保証人がいないことで仕事が見つからないということはなくなり始めている。
65歳を過ぎてから仕事を求める時、多くの人が直面する現実がある。それは、若い頃と同じ条件や希望に合う仕事が、ほとんど見つからないという事実だ。長年培ってきたキャリアや経験を活かそうとしても、年齢の壁に阻まれることは珍しくない。しかし、この現実を悲観する必要はない。なぜなら、65歳からの仕事探しは、キャリアの延長ではなく、「生きがい」を見つけるための新しい出発点だからだ。
この年代の仕事探しで最も重要なのは、「何をするか」ではなく、「なぜ働くのか」という自分なりの目的を持つことである。目的が定まれば、仕事探しの視点は大きく変わり、これまで気づかなかった新しい選択肢が見えてくる。
65歳という年齢は、微妙な年齢だ。70歳になれば、引退しても良い年齢だと自分に言い聞かせて仕事を探すことをやめる。65歳であると会社から追い出されるし、積極的に雇ってくれる会社も少ないというか、ほとんどない。仕事探しで困る年齢が65歳だ。
65歳からの仕事は、アルバイトやパートであれば見つかりやすいが、会社の社員という職は難しい。むしろ、簡単に仕事が見つかりやすいアルバイトやパートで老後の生活設計を組み立てるほうが苦労がない。安心材料は、年金がもらえる年齢であることである。
仕事をしなくてもお金が入ってくる年金は職を探す上で不安を和らげる。年金だけで生活は出来ない人がいるかもしれないが、仕事を探す時間の上で余裕が与えられる。焦って3Kの仕事場に入って直ぐに辞めるという無駄を防げる。
老後の不安要因は働けなくなって身体の自由が効かなくなり老人ホームに入らないと生活が出来ないという年齢になったときである。介護付き有料老人ホームはお金がかかる。出来るだけ老人ホームに入る年齢を遅らせる事ができれば、老人ホームのお世話になる期間が短くなる。
70歳を過ぎると体力が衰えて肉体労働の仕事が苦しくなる。もっと楽な仕事がないか探すのだが、見つからない場合が多い。家庭の事情で年金プラスの収入を得ないと生活が苦しくなるシニアがいる。
70歳を過ぎると健康障害が起きやすい。体が資本であるので健康を維持しないと働きたくても働けない。働けるまで働きたいと思っているシニアは、自分を雇用するビジネスを今から始めたほうが良い。自分で仕事を続けるか、続けないかの判断が出来る。雇用を切られるという不安はなくなる。
働き続けたいシニアはどんな仕事を探すべきか?
仕事を探す前に下記の事を考えてから行動を起こす。
経験や知識が活かせる仕事
これまでの職務経験や専門知識を活かせる仕事は、即戦力として期待されやすい。例えば、事務職、講師、コンサルタントなどが考えられる。
体力的な負担が少ない仕事
年齢を重ねると体力的な負担は大きくなることがある。座ってできる仕事や、あまり重いものを持たない仕事など、体に無理のない仕事を選ぶと長く続けやすい。
短時間勤務や柔軟な働き方ができる仕事
フルタイムではなく、週に数日、1日あたり数時間といった短時間勤務や、勤務時間を選べる仕事であれば、自分のペースで働くことができる。
人と接する仕事
接客業や販売員、清掃員など、人と直接関わる仕事も多い。これまでの人生経験から培われたコミュニケーション能力を活かせまする。
新しいスキルを身につける仕事
全く新しい分野に挑戦するのも良いでしょう。学びながら働ける仕事であれば、社会とのつながりを感じられ、やりがいにもつながる。
仕事探しを始める前に、ご自身のこれまでの経験や興味、体力などを振り返ってみると、より自分に合った仕事が見つかる可能性が高い。
パソコンを一生懸命に学習しているシニアがいるが、時代はパソコンよりもスマートフォンに向かっている。1980年代にワープロがOA化の目玉であったがあっという間にパソコンに食べられてしまった。同じような現象が今起きている。一般のユーザーがパソコンで行う作業は、すでにスマートフォンで簡単にできるようになっている。
画面が小さいという問題もスマートフォンをモニターにつなげれば解決する。それが出来るスマートフォンが販売されている。パソコン教室で教えているExcel、Word等のアプリケーションの操作は、企業で働く上で必須になっているが、企業で働いていないシニアがパソコン教室でそのようなアプリケーソンを学ぶ必要はない。
むしろ、自分の実生活で役に立つスマートフォンの操作を学んだほうが価値がある。スマホがパソコンよりも便利なのは”いつでも、どこでも、誰とも、すぐにコミュニケーションが取れる”ことである。
起業してはいけないシニアがいる。同時に起業すべきシニアもいる。起業への挑戦は、誰でもやる権利がある。
ただ、実生活がマイナスになっている状態で起業に再起をかけようとするシニアは止めるべきだ!シニアの起業は自分の健康と体力に依存する。起業は体が資本だからだ。若者とシニアの決定的な違いは、体力、健康、そして、寿命だ!シニアは寿命という時間で若者に勝てない。
70歳になった今も起業した仕事で働いている私であるが、後数年で辞めざるを得なくなるかもしれない。持病の緑内障がひどくなって文字を認識できる視野が駄目になる場合である。現在は右目の焦点の視野がもう認識できないで白くぼやけている。左目の視力と視野だけで文字を認識している。
70歳以降のシニアは老化という問題にどう対処すべきかを考える必要がある。生活習慣病で仕事が出来なくなるリスクは高い。そのリスクが一番高くなる年齢が70歳以降である。健康と寿命という要素は起業するシニアにとって一度は真剣に考える必要がある。
生きていく上でシニア起業しか選択肢がないならば、勇気を持って起業すべきである。
少子高齢化で労働者数が減り、働き方改革というスローガンだけが浮いている。長男夫婦は、共稼ぎをしている。3人目の子供が生まれた。産休、育休期間の後に会社に復帰して働きたいと彼女は思っているのだが、赤ちゃんを預ける保育園が見つからないという。どこの保育園も受け入れが出来ないほど満員だ。都内に住んでいるため、そんな状況に陥っている。
65歳のシニアは、単純に年齢だけで就職の書類選考から落ちる。自分の今までのスキルが生きる職がハローワークに無い。社員を雇用する側にも条件があるから無理もない。今の日本社会は、もっと労働力を求めているのだが、足元に労働力があるのに活用できていない。
最近の動向として、中高年のリストラを減らして会社に残し働いてもらう人事方針が広まり始めた。若者の採用が厳しいため人不足になり、中高年の会社員を再活用する会社が増え始めている。多分、同様なニーズで産休後に退職する女性社員を引き止める人事対策も検討されるだろう。
令和2年度年金改正法案の成立で注目されるのが、年金受給開始時期の選択肢の拡大である。現状65歳から年金受給が75歳まで拡大される。65歳で年金を受け取らないで73歳で受け取るという選択ができる。今までは70歳までという範囲であった。
国が支給する基礎年金は、死ぬまで支払いがされる。長生きすればするほど累積年金額が多くなる。もし、年金受給を先に繰り上げすると(1)他界する可能性が高くなる、(2)累積年金額が少なくなるというリスクがある。国民にとって一番利口な年金受給は、早くもらって長生きする事である。
年金は少子高齢化で受け取る金額が少なくなって行く事が分かっている。年金を生活の基盤にして生きて行こうと考えているシニアは考えを改めたほうが良い。これからのシニアは年金プラス他の小遣い収入でお金を稼ぎ続けないと余生を楽しめなくなる。
65歳過ぎのシニアは生活困窮者にならないためにも時間を味方にした独自ビジネスを今から考えて実行した方が良いだろう。初期投資もあまり発生せずに自分のビジネスを行うには、インターネットを活用したビジネスが一番良い。
気軽に参入できるインターネットビジネスだが、それだけ競争が激しいのも事実である。でも、シニアの強みを最大限に活用すればシニア起業はできる。シニアの強みとは何であろうか。
会社員ならば、定年退職が必ずやってくる。もし、定年まで働き続けられればの話だが。
今、59歳の会社員の心の中はどんな感じだろうか。定年退職まで後1年。定年後の生活をどのように過ごせば良いか考えざるをえない。多くの定年退職予備軍の社員は、心定まらずで何をしたら良いか戸惑っている。やりたい事がある社員は、それをやるための下準備を既に始めているはずだ。多くの59歳社員たちは何も出来ていない。
隣百姓のように同期の仲間がどのような老後の生活を送るのか参考にしようとしている。Aさんは、起業のするそうだ。Bさんは、知人の会社に再就職するようだとか。自分はどうなのか。自分には、やりたい事も再就職のツテもない。時間だけが過ぎて行く。
59歳の会社員には給与を1年間もらいながら60歳以降の人生と第二のキャリアを準備する時間が与えられる。その時間を上手く利用することに集中すべきである。幸運にも自社の定年退職年齢が65歳まで、または、70歳まで延長されている方は一安心かもしれないが、それは一時的な安心でしか無い。
人生は長くなっている。65歳以降の人生を有意義な生活にしたいと思うならば、仕事をしている期間に次にやるたいことを模索することである。これをやらないと「毎日が日曜日」の生活になる。「毎日が日曜日」の生活を送っている先輩と一度話をしてみると良い。暇な時間に殺されると言うはずである。
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このページのシニアライター:Norito H.Yoshida
Profile
Joomla CMSを使った法人・個人サイト構築で独立。51歳の時に会社を卒業。雇われる生活から自分を雇う生活になる。ソニー(株)、Yahoo!ジャパン(株)でインターネットビジネスの面白さを味わい、個人でも法人と競争が出来る隙間市場があるのに気が付いた。生涯現役でインターネットの世界で生きて行く。Western Washington University, B.S. in Sociology, Bellingham, Washington, USA.
シニアの生活は、体の老化に従って変わって行く。その体験記をこのブログで書いている。