70歳を過ぎたシニア夫婦は自分たちの老後で一番不安になっていることがあるという。一般的に病気になった時の医療費と介護される状態になった時の介護費だと言われるが、それ以上に重要な不安材料がある。

夫婦ともに長生きをして一緒に他界すれば良いが、そう上手くは行かないのが現実である。どちらかが先に他界する確率が高い。特に女性よりも男性が他界するリスクが大きい。夫が他界すると困るのは妻である。一人になった妻が老後の生活で経済的に不自由になる可能性は高い。

専業主婦である妻がすぐに働き始める事ができるとは思えない。出来るならば、妻が働かなくても生活が出来るお金を妻のために残しておくことである。女性は男性よりも長く生きられる。90歳まで生きるとしてどれだけの金融資産が妻に残れば生活で不自由しないかを考える必要がある。

寿命が長い妻の老後生活で必要なものはお金!

夫が他界すると今までの年金生活が崩れる。老夫婦の生活費の大部分は夫の年金から来ている場合が多い。特に会社勤めをしていた夫であれば。国民年金よりも厚生年金や企業年金からの収入が大きいため、夫が他界するとその収入が失われる。

月々の生活費として妻には遺族年金と自分の年金収入しか残らない。夫からの相続金融資産がたくさんあれば問題ない。多くの妻はそれを期待するような環境にいない。

老後のお金の不安を少なくするには用途別貯蓄が必要!

  1. 医療費のための貯蓄
  2. 介護のための貯蓄
  3. 夫が他界した後の妻の生活費の貯蓄
  4. 残りの人生を楽しむ娯楽費の貯蓄

60歳を過ぎれば、多くのシニアは自分たちの老後生活の準備を考え始める。節約に心がけてアルバイトやパートをしながら老後の生活費を稼ぎ出す。稼ぎながら、働けなくなった時に困らないようにする貯蓄に励む。60歳から75歳までがお金を稼ぐ年齢になる。

この期間に上記にリストした目的別貯蓄をする必要がある。特に自分が他界した後の妻の生活費を賄う貯蓄はできるだけ早い時期に始めるべきである。妻の寿命が長ければ長いほど生活費は貯蓄の切り崩しから来る。どれだけのお金が必要かは分からないが、妻のための生活費を賄う貯蓄は絶対必要になる

自分が他界した時に妻に与えられる金融資産は、銀行預金、生命保険金、固定資産の売却金、証券などだろう。それらの金額が十分あれば、今から妻のための生活費を貯蓄する必要はないと思うが、多くの夫は足りないと思っている。

妻一人が生活していける月の生活費を予想する

オススメは、妻一人が生活していける月の生活費を予想して妻の寿命年齢(90歳と考えて)で算出することである。現在、妻があなたと同じ65歳であると仮定したならば、毎月どれぐらいの生活費が必要かを計算する。妻の年金(6万4000円)、遺族年金(5万6000円)としたならば、毎月の妻の収入は12万円になる。

月12万円の生活費では生活が出来ない。少なくとも月25万円ぐらいなければ、安定した老後の生活を妻は送れないだろうと勝手に私は計算している。13万円はどこから来るか?貯蓄から賄うしかない。

妻の年齢が90歳になるまで25年がある。25年x12ヶ月x13万円で3900万円となる。少なくとも3900万円以下の金融資産を妻の老後生活のために残す必要がある。夫が長生きすれば、例えば、妻が一人で生活する年数が15年であれば2340万円まで貯蓄準備金は下がる。つまり、夫が長生きすればそれだけ妻のための老後生活費貯蓄は少なくなる。

夫が所有する金融資産額を3900万円から引いた残額を知ること

妻のために残せる現在の金融資産の金額を3900万円から差し引いて後どれだけのお金を作り出せば良いかを考える。今から稼ぎ出す総金額がわかれば、それを達成するために毎月どれだけ稼ぎから妻の生活費貯蓄に回せるかが分かる。

私の義父が他界する時、彼は義母のために実家の不動産と金融資産を残した。残された金融資産は義母が有料老人ホームで生活していく上で問題がない金額であった。その意味で私たち夫婦への金銭的な負担はない。義母は義父の金融資産で生かされている。

現在70歳の私は妻のために現在の生活費を多めに渡している。妻はその生活費の一部を自分の老後資金に割り当てている。このやり方のメリットは私が他界した時に残った金融資産の相続税を気にする必要がないことである。毎月ちょっとづつ私のお金が妻の懐に入っていくことで妻の金融資産になるからだ。

私の名義で妻の老後生活費資金を貯めるよりも妻の名義で貯めたほうが節税になる。  

結論

計算はできるが、現実にどれだけの金額を稼いでどれだけ貯蓄できるかわからない。詰まる所、金額はどうであれ妻のための老後生活費貯蓄の積立を始めるということである。自分が他界した後に残される妻の人生を思う心があるならば、今から妻のために貯蓄を始めることをオススメする。