定年退職後の自分はこの絵にある一人の人間である。
皆と同じ道を歩むのか、自分一人の道を歩むのか。自分一人の人生はないものから何かを作り出す世界である。あなたのこれまでの会社人生は皆と同じ道を歩む会社員の人生であった。これからも同じ道を歩いて行くべきか、自分独自の人生の道を歩むべきかが問われる。
定年退職の年齢が2022年4月から65歳になった。無事に65歳まで勤め上げた方は年金をもらえる年齢になり、これからの人生をどうするかを決める必要がある。65歳はまだ若い。年金をもらいながら働けるうちに働きたいと思っているシニアは多い。
同じ時期に定年退職した知人が何をしているか気になる。再就職した人、パートやアルバイトをしている人、自宅で趣味に没頭している人、夫婦で旅行三昧をしている人など人それぞれである。多くのシニアは以前の会社員生活の延長線を探すのだが、社会は65歳という年齢で壁を作ってしまう。
自分が求める働き方が難しい現実を知ることになる。若い頃のように会社に就職すれば安心、安泰と思う年齢ではなくなった。社会は自分一人で残りの人生を有意義に過ごすべしと言っている。
私の年代は60歳で定年退職になれる人とそうでない人が混ざり合う世代になる。私たちよりも若い世代は定年退職という言葉自体が憧れの的になる。これからの会社は確実に正社員の数を絞っていく。大多数の労働者は派遣社員か契約社員の立場で会社勤めする事になる。
経営者は会社の業績が悪くなると人件費を削減して生き残ろうとする。コスト高の正社員をリストラして契約社員と派遣社員で業務を補完する。正社員だから雇用が定年まで保証されていると信じている社員は危ない。大きな変化、コロナ禍では解雇されて失業した方が多い。航空業界、ホテル業界、旅行業界、飲食業界などは社員をリストラした。背に腹は代えられない経営状態に落ちたからだ。
終身雇用を美徳とした会社風土が消えてしまった現在、自分の雇用を自分で守る必要がある。会社は社員が思っているほど助けてくれない。雇用に安心と安定を求めている人は万が一のリストラのときに自分で生きられる準備をしておく必要がある。
65歳まで元の会社で働き続ける事が出来る人は、65歳からの生活設計を今から考えておく必要がある。子供がいるならば、そろそろ結婚だ。女の子ならば、第一子が生まれるかもしれない。子供たちは大人になり、私たちから離れていく。65歳からは本当に第二の人生が始まる。自分で老後の生活設計を作らねばならない。
65歳になると困ることが分かっている。働きたい人は仕事だ。仕事を探すが見つからない。自宅でウロウロしていると家内から外に行ってと言われる。自分の居場所探しが始まる。65歳からの生活設計は、自分の老後の生活を決める。
最近、家内に馬鹿にされてしまった。ちょっとした計算が遅いという。かけ算、割り算で暗算が遅いという。奥さんたちは、毎日スーパーマーケットに出かけて食料や日常品を買っている。そのとき、頭の中で予算内で収まるかを計算している。いつも頭を使って計算する習慣が何十年と続いている。
そんなシニアの奥さん方だが、若者たちが使っているツール(スマホ、インターネット、パソコン、ドローン、電子マネー、アプリなど)は苦手で使えていない。新しいツールを日常生活で使っていないためである。若者たちはキャッスレスの生活を送っている。スマホの中にクレジットカードや電子マネーアプリを入れて使っている。
シニアは現金主義で手でさわれるキャッシュでないと安心できない。先日、夫婦で下北沢駅近くにできた新しいスポット「ミカン下北」に行ってランチをした。ベトナム料理店でフォーを食べたのだが、テーブルにメニューが置いてない。その代わりにQRコードが印刷されたシートがあった。
スマホでQRコードを読み取らないとメニューページで注文ができない仕組みになっている。食事が終わり、支払いをしようとしたが支払い機の前でQRコードをかざす必要があった。店員との接触はなく、すべて機械で完結する。
スマホを持っていないシニアやQRコードの知識がないシニアはこのベトナム料理店では食事ができない。若者たちは問題なく普通にスマホを使って料理を注文し、支払いを済ませていた。時代の流れと変化は思っている以上に速い。
あなたを見て老人と言われたことがあるだろうか。
老人って俺のことか?一瞬、自分のことでは無いと思い周りを見渡す。周りには老人に該当する人はいない。この時始めて私のことを言われているのが分かる。
67歳である。心と体は、まだ、36歳である。毎日、風呂場にある体重計がそう言っている。ただ、鏡だけがおまえは67歳の老人だと。
77 / 195
このページのシニアライター:Norito H.Yoshida
Profile
Joomla CMSを使った法人・個人サイト構築で独立。51歳の時に会社を卒業。雇われる生活から自分を雇う生活になる。ソニー(株)、Yahoo!ジャパン(株)でインターネットビジネスの面白さを味わい、個人でも法人と競争が出来る隙間市場があるのに気が付いた。生涯現役でインターネットの世界で生きて行く。Western Washington University, B.S. in Sociology, Bellingham, Washington, USA.
シニアの生活は、体の老化に従って変わって行く。その体験記をこのブログで書いている。