60歳を迎えようとしているシニアは定年退職後の人生をどうしようかと考えている。直ぐに再就職先を探すか、半年から1年ぐらい人生の休暇を楽しむか決めかねている。

金銭的に余裕があるシニアほど今まで出来なかったことをやろうと遊びに走る。定年退職後に遊びや人生の休暇を優先するシニアは65歳になって驚く。

人生の休暇は十分味わったので老後資金を貯めるためにもっと働きたいと仕事を探すのだが、見つからない。60歳を過ぎてから仕事を探すよりも条件が悪くなっているのに気づく。65歳以降の生活は自動的に人生の休暇状態になる。

65歳から仕事を探すのではなく、10年先を見つめて自分に合った仕事を作り出す方が望みがある。経営者は、特別な技能や能力があるシニアでないと65歳を過ぎたシニアを雇用しない。お客を探せる営業が出来るシニアは年齢に関係なく雇用されるが、使い捨て労働者になる。人脈が尽きたところで雇止めになる。そんな現実を知らない定年退職者が多い。

60歳と65歳で年令による差別がある

60歳で定年退職するシニアは働くためのオプションがまだ色々ある。65歳になると1と2の選択は消えて行く。

  1. 再雇用制度で年次契約社員で働く
  2. 人材登録会社の斡旋で再就職する
  3. 起業する

非正規社員の職を探せば、年齢的に雇用される可能性がまだある。定年退職日を迎える前までに次の再就職先を確保するのが理想。失業給付金をもらいながら再就職先を探すという考えでいるシニアは考え直したほうが良い。最初からそのような考えで再就職先を見つけようとしても現実は上手く行かない。

定年退職後に一服したら再就職活動を始めるでは遅い

60歳を過ぎたシニアの再就職は時間がかかる。タイミングも重要になる。定年退職後半年が経過したシニアとこれから退職するシニアでは野菜と同じで鮮度が違う。まだ、会社勤めをしている間に次の就職先を決めておく。これが理想であるが、現実は理想通りに行かない。そんな現実を知らないで退職後に好きなことをしてから再就職先を探そうとするシニアは考えが甘い。

私がシニアを採用するならば、まだ、現役の社員でいるシニアである。ビジネス感覚がまだ生きている。一度退職して遊んでいる生活に入ったシニアは時間とともに現役のビジネス感覚を失って行く。それが面接時に話をしていてわかる。ビジネス感覚の鮮度という要素が重要になる。

退職後遊びたければ65歳になってからにする

人生の休暇は、一旦、65歳になるまで延期して計画したほうがお得である。65歳からの再就職は起業以外に確実な就職先がなくなる。代わりにあるのはパートやアルバイトの仕事か、派遣の仕事になる。これらの仕事は腰掛の仕事であり老後の安心と安全を保障しない。

会社員時代に出来なかったことをやる時間は65歳以降に必ず生まれてくる。70歳以降ならば必然的に生まれてくる。定年退職後半年間ぐらい好きな事をして今までの欲求を満たしたいという気持ちは分かるが、5年先に延ばした方がお得だ。老後の世界は先が見えない。自分で懐中電灯を持って再就職先を探して見つける確率は65歳ではなく60歳が高くなる。

年齢による差別が今の日本社会に存在する

60歳と65歳では仕事を探す上で相当の違いがある。多くの65歳のシニアは職探しをやめてしまうほど冷たい仕打ちを受ける。そんな現実を出来るだけ早く悟って対策を今から考え、準備する事がポイントになる。

60歳で再就職をしたければ

  1. 55歳前から再就職のためのテストマーケティングをする。今のスキル、経歴、得意が求められる業界、分野、特定の会社を探す。大企業ではなく、中小企業で65歳以降も継続して働ける会社である。お金よりも継続雇用に重点を置く。年収が50%になっても継続雇用が保証される会社を探す。
  2. 定年退職になる前までに副業や兼業をする。副業、兼業先に再就職できるコネを作る
  3. 自分の得意を尖らせ、そのスキルを求める会社を探す

65歳で定年を迎える方は60歳の方よりも年令による差別がひどくなる。65歳のシニアを求める会社が殆どないという現状を知ることになる。必然的に65歳から自由になる時間が生まれる。やりたいことがあるならば、65歳にするという理由である。

肉体的に、精神的に自分が好きでない仕事をお金のために続けるのは70歳まで。寿命と健康で残り少ない人生を好きなことに使いたいという気分になる。60歳過ぎのシニアは老化が進み体力と忍耐力が衰えてくる。30歳、40歳代の社員と同じペースで仕事ができない自分を見つける。

シニアには体力の限界と健康不安がついて回る。経営者はシニアを普通の社員と同じように使えないという意識がある。雇用するならば65歳よりも60歳、60歳よりも55歳となる。

年齢とビジネス感覚の鮮度の賞味期限が切れないうちに

雇用する経営者の立場で考えると定年退職と同時に採用したい。間にブランク期間を開けないで働けるシニアを求める。一度、間にブランク期間があるとビジネス感覚が確実に衰える。1週間ぐらいは良いが、1ヶ月以上になるとビジネス感覚は落ちる。遊びから働くモードにすぐに変換できない。

  • 自分の賞味期限を知ること

仕事をしていないブランク期間が長くなればなるほど、再就職の機会は遠ざかる。定年後、1年間遊んでから就職先を探したいと考えるシニアにはほとんどチャンスがない。自分が採用されるための賞味期限を自分なりに認識することが重要である。

結論

  • 定年退職後に遊びや人生の休暇を優先するシニアは65歳になって驚く。60歳を過ぎてから仕事を探すよりも条件が悪くなっている。65歳以降の生活は自動的に人生の休暇状態になる。
  • 一度退職して遊んでいる生活に入ったシニアは、時間とともに現役のビジネス感覚を失っていく。自分のビジネス価値が維持できる賞味期限を知ることである。