65歳のシニアが仕事を探す時、自分の好みや希望を満たす仕事は99%以上見つからない。この現実を考慮して65歳のシニアが仕事から生きがいを得るには、なぜ、自分が働くのかの目的を持つことである。
自宅にいると家内が嫌がるとか、暇に押し殺される感じがするとか、小遣い稼ぎをしたいからとか、体を動かして健康を維持したいとか、色々な目的が考えられる。
目的がはっきりすれば、その目的を達成させる仕事(非正規社員、パートタイム、アルバイト、起業)を探すだけである。仕事を探す視点を目的で変えることで新しい仕事が見つかりやすくなる。まずは、なぜ、仕事をしたいのかをはっきりさせてその目的にあった選択肢をリストしてみる。
65歳のシニアにとってプラスになる目的
仕事を探すときの視点が、変わると今まで探していなかった仕事が魅力的に見えてくる。自分が働く目的が満たせる仕事であれば探す範囲が広まるからだ。例えば、働く目的を健康維持のためとするならば、足腰を鍛える仕事を探すことになる。体を積極的に使う仕事になる。お勧めは、ショッピングモールやスーパーのカート回収アルバイトになる。
カート回収アルバイトは、一人で黙々とカートを回収する仕事で足腰を使う。足腰の筋肉を鍛えることで健康寿命を伸ばせる。漠然とした今までの仕事探しではなく、もっと具体的な恩恵を受ける目的で仕事を探すと見つかりやすくなる。
社会につながるという目的
65歳で再雇用契約が切れて自分で新しい仕事場を探すことになる。仕事を失うと社会との接点とつながりも失う。この損失感は、65歳で仕事を失った人でないとわからない。長年の通勤生活のリズムがなくなり、自宅でブラブラする生活に耐えられなくなる。気分転換で一人旅や夫婦旅行をしても一時的でしかない。
そんな状況にいる65歳のシニア男性は、社会に繋がれる仕事を目的として探せば良い。社会と繋がる仕事は沢山ある。通勤生活を復活させたければ、通勤生活が生まれる仕事を探せば良い。具体的な働く目的がはっきり見えてくると今まで見えていなかった仕事が足元に転がっているのに気がつく。
週5日間社会に繋がりたいのか、週2日間繋がりたいかで探せる仕事の数も変わってくる。どのような働き方を自分が求めているのかをまずはっきりさせることである。正社員的な働き方を忘れて、今の自分と10年先の自分のニーズを満たせる仕事を探す。
週3日間午前中だけの仕事ならば、アルバイトになる。アルバイトは需要がある限り年齢に関係なく仕事さえ問題なければ続けられる。どんな仕事も現実の社会とつながっている。
年金を補填する収入を得るという目的
年金を補填する収入をできるだけ長く得たいという目的であれば、長期的に働ける仕事を探すことになる。時給の金額で探さない。与えられた仕事が問題なくできていれば年齢制限で雇用が終わる可能性が少ない仕事を探すことになる。その仕事は好き、嫌い、得意でない、個人の要望を満たす仕事を探すのではなく、確実に長期的にお金を稼ぐ仕事を探す。
体が健康で普通に仕事ができるならば、探せる仕事は沢山ある。介護分野、飲食業、農業、ビルの警備と清掃など人手不足が問題になっているので需要はある。体力次第という制約条件がつく。
一番良いのは、肉体労働でお金を継続的に稼ぐのではなく頭で稼ぐ仕事である。頭でお金を稼ぐには専門的な知識と経験が必要になる。インターネットとパソコンやスマホを自由に使えるシニアならば、頭でお金を稼ぐ仕事が見つけやすい。
起業準備になる経験を得るという目的
65歳はまだ若い。あと10年ぐらいは現役で働きたいという希望があるならば、自分でビジネスを作るという挑戦をしてみることである。目的は、起業準備の経験ができる仕事を探すこと。賃金の金額を気にしないで自分でビジネスを始めるときに役に立つ知識と経験が求められる仕事である。
一番手っ取り早い仕事の見つけ方は、ベンチャー企業(起業1年目)に半年から1年の期間でインターンとして丁稚奉公することである。賃金は、ベンチャー企業に任せる。無償という条件ならば、3ヶ月間ぐらい頑張ってみる。得るものは、お金ではなく自分の起業準備に役に立つ知識と経験である。
シニア起業は時間的に失敗が許されない。起業する前にできるだけ疑似体験をしてみる。他人の起業を手伝うことで起業で直面する現実の問題を体験できる。多くの起業家が共通して直面する課題が事前にわかればその対策を準備すれば良い。その経験は賃金以上の価値がある。
孤独、孤立から逃れたいという目的
年齢が増すたびに友人や知人の数が減っていく。伴侶を失えば、一人生活が始まる。孤独、孤立を肌で感じ始める。多くの仲間と一緒に人生を楽しんできたシニアであればあるほど孤独は耐え難い。誰かと一緒に時間を過ごしたいという欲求が強くなる。
同じような欲求で人との接点を求めるシニアは多い。新しい知人を増やし、その中から気軽に会える友人を作り出す。友人を見つけるには頻繁に顔を合わせる機会と目的がなくてはならない。私ならばこんな場所で新しい知人を作り出す機会を探す。
- 図書館が開催する読書会(共通の関心事で繋がりやすい、話題がある、同じ人と会いやすい)
- シルバー人材センターでアルバイト(複数人で一緒に仕事をする機会がある)
- ボランティア団体に参加する(自分以上に困っている人を助ける活動団体を探す)
- 明確な目的を持って定期的に活動しているNPO団体に参画する
老後の生活は生きる目的を失いがちになる。日頃の生活でちょっとした目的を見出すとそれが生きる目的に変わる。与えられた時間を浪費しない。生きる目的を見失ったら、自分のためでなく他人のためになにか出来ることがないかを考えて探すことである。
結論
- 仕事を探す視点を具体的な目的で探す。65歳は通常の職を探せない年齢である。正社員、非正規社員、パートタイム、アルバイトに拘らないで自分の目的を達成できる仕事を探す。社会に繋がりたい、年金を補填するお金を稼ぎたい、起業したいといった具体的な目的を設定する。
- 65歳のシニアが仕事を探すときは、今までの仕事の延長線を探すのではなく、自分が設定した目的で探す。