デパートの休憩場所が隠れたトイレの近くにある。そこには、いつも数人の老人たちが何をするのでもなくいる。年齢的に65歳は越えている高齢者たちだ。外に出始めている老人たちは、腰を下ろしてゆっくりする場所を探す。その場所には、トイレが有ることが必須条件になる。排泄コントロールが上手く出来なくなるシニアにとって近くにトイレが有るのが安心だからだ。

自分というリソースを上手く使えない65歳以上シニアが増えている。働きたくても仕事を見つけられない。ハローワークで仕事を探しても年齢で蹴られる。65歳を過ぎたシニアはどこで何をすれば良いのだろうか?シニアの居場所は定年退職後の生活にすごく影響する。

第一の居場所は「家庭」、第二は「会社、仕事場」、第三は「?」になっているシニアが社会での居場所を求めている。

社会とつながり、自分の存在が生きる場所を探す

新しい目標を持つと私たちはワクワクする。65歳のシニアでも出来ることが見つかれば、なぜか、ワクワクする。それは過去の自分の経験が活かされるからだ。どんな人も違った人生を歩んできている。誰にでも取り柄がある。自分の取り柄を使って社会とつながる。

シニア女性が活躍するのは飲食店

最近、月に1、2回立ち飲み所に行くことがある。赤鶏の焼き鳥が美味しい立ち飲み焼き鳥店だ。夕方の6時頃に行くと65歳から70歳ぐらいのシニア女性が料理の注文と運びをしてくれる。立ち飲み焼き鳥店は、60歳代の夫婦が経営しているお店であるので若い人よりもシニアのお客が多い。多くは地元のお客である。

シニアウエイトレスとでも言うのだろうか。お客は皆狭い場所から立って注文をしている。その間をくぐって注文を取りながら料理を急がしそうに運ぶシニア女性店員が輝いていた。歳をとっていても酔っ払ったお客の取り扱いもできている。

シニアウエイトレスは、馴染みのお客の顔を覚えている。このお客さんは、いつも、この料理を頼み、日本酒を冷で飲むなんて事も体で知っている。お客の顔を見れば注文を取らなくてもあうんの呼吸で完了してしまう。

横浜相鉄線出口近くにある立ち食いそば屋で働くシニアの女性も目立つ。そばを作る人と渡す人がシニアの女性。やることが至って簡単だからシニアの女性でも難なくこなせる。シニアの女性だが、おばちゃんになる。70歳以上の老人だが働いている姿を見ると60歳代のようにキビキビと動いている。

家庭で主婦をしていれば、飲食店で働くことに違和感はないだろう。シニア男性は、料理をつくる人ではなく、食べる人なので飲食店で働けない。勝手が違うからだ。過去の経験が生きる職場は探せばある。それが、専門的な職場でなく自分の経験や能力が生きる場所であれば良いだけである。

若者たちの相談相手はシニア男性

65歳を過ぎると新しい事を学びながら仕事をするのが難しくなる。インターネットが分からないのにSEO対策のコンサルティングをやれというようなもの。会社生活が長い元組織人ならば、会社組織に慣れないでストレスを感じて働いている若者たちの相談相手になれる。

問題は、そのようなニーズが有るのだがその仕事が何処に行けば見つかるのかである。所謂、若者向け傾聴サービスになる。若者は人生に迷っている。会社組織内での泳ぎ方も知らない。正論が通らない理不尽な世界が会社の中にある。

シニアも同様に人生に迷っているが、若者よりも長く生きて来ている。悩み多き若者にはきっとOB社会人の経験談が参考になる。自分の人生経験を紐解いてどの経験が今の時代でどの人たちに役に立つのかを考えてみる。

孤独で孤立している若者たちと居場所を探しているシニアたちをマッチングして何か一緒にできないかを考えるプロジェクトを作ってみてはどうか。ポジウィル株式会社という会社がある。この会社のサービスは方向を見失った若者向けのキャリア・カウンセリング・サービスである。

このサービスのビジネスモデルを参考にして居場所を求めているシニアに仕事場を作ってはどうだろうか。まずは、どのようなサービスでどれだけの料金を請求しているのかを見ていただきたい

居場所が見つからなければ、自分たちで居場所を作るという選択がある。ビジネスとして行うのか、ボランティアサービスとして行うかでアプローチが多少違うかもしれないが、どちらにしても自分の居場所を作れる。 

どんなシニアでも65年以上の人生を過ごした経験と知識は必ず役に立つ。失敗した人生であっても失敗という経験に価値を見出す人達がいる。それは、皆人生で失敗しているからだ。違った失敗から学ぶ点がたくさんある。特に若い人たちは人生経験が浅い。

そんな若者たちに自分の人生観と経験を話すことで若者たちに生きるヒントを与えられる。

結論

シニアの居場所は自分で探す。探す上で重要なことは自分の取り柄を軸にして何ができるかを考える。探しても、探しても見つからない時は自分で居場所を作るしかない。自分の人生経験を種に若者たちに人生相談サービスを行う。無料と有料サービスでビジネスモデルを考えれば良い。

シニアの強みは65年以上の人生経験である。若者にはない人生経験をしている。先人の経験はいつの世でも参考になる。自分の子供よりも他人の子供のほうが何故か話を聞いてくれる。