夢の中でお金を汗水たらして稼ぐ必要がなくなった自分を見る。生きて行く上で必要なお金を稼ぐ必要がない状態になった自分だ。働く必要もない。お金、お金といつも考える必要もない。お金を稼ぐという欲求、尻に火がついた精神状態、そんなストレスから開放された自分の姿を夢の中で見る。
お金が十分あれば、幸せなのか?答えは、私の夢の中にあった。現実の世界で高齢者は本当にお金で困っているのだろうか。下記に令和4年高齢社会白書のデータがある。68.5%の65歳以上が経済的な暮らしで心配していないという。
(引用先:内閣府、令和4年高齢社会白書)
お金があれば幸せなのか?
こんな話を家内から聞いた。家内の知人は借金をして高級自動車を購入する。借金を返すために毎日一生懸命喫茶店を経営している。一度、借金を払い終わるとまた新しい高級自動車を借金して購入する。彼にとって借金を返すことが生きがいになっているという。彼にとってお金を稼ぐ理由が高級自動車を借金して買うことにあった。
お金を稼がなくても毎日の生活で不自由しない夢の中の自分は、何か心の中が抜けてしまったような感じであった。今までは一生懸命お金を稼がないと生活が出来ないという理由で生きていた自分を夢の中で見ていた。お金を稼ぐという目標が達成されると自分を働かせていた動機が消えてしまう。そんな自分を夢の中で感じていた。
お金が生きがいでなくなるシニア
私達は生計を成り立たせるためにお金を稼いでいる。決して、お金を稼ぐ必要がない状態ではない。お金を稼ぐ労働をすることで自分にあった生活のリズムを作れる。お金を稼ぐことが生きがいではなく、お金を稼げる能力がまだ自分にあると言う事を楽しんでいる。
確かにお金はあるに越したことはない。お金が十分無いと人間社会で身動きが取れなくなる。最低限のお金は何をする上でも必要になる。シニアはその意味合いでどんな状態になっても最低限の生活費は自分で蓄えておく必要がある、または、稼げるようなスキルを身に着けておく必要がある。
お金を人生の最終目標にするといつまで立ってもお金から逃れることが出来なくなる。歳を取れば取るほどお金では買えないものが増えてくる。老化による体の不調はお金で解決できない。運命はお金で変えられない。お金で出来ることには限度がある。
お金で困らない人は生きがいを見失う
何かに向かって一生懸命汗水たらして体を動かしている時が一番幸せである。生きていくために働くという単純な目標があると余分な事を考える必要がなくなる。毎日お金を稼ぐ事をしないと食べて行けないと言うプレッシャーは、ある面で生きがいを持っていない人に生きがいを与えている。
私自身が資産家でないので働かないで生きるという事を体験したことがない。私にとって仕事が生きがいになっている。年金プラス個人事業の仕事で生きがいを見つけている。食べて行くのに困らない程度のお金を稼げればそれで良しの人生を目標にしている。
お金を貯めることが生きがいになっている高齢者を見かける。お金を貯めても使わなければ意味がない。目的があるお金の使い方ができない人はお金の魔力にかかっている。お金を沢山持っていれば幸せという魔力である。お金で幸せは買えないという真実を知らない人はお金で不幸になる。
近年話題のFIREという言葉がある。「Financial Independence, Retire Early」の頭文字を取った言葉になる。知人の起業家にFIREした方がいる。30歳代後半でFiREを果たし、ハワイでサーフィンを満喫していた。そんな彼が突然日本に戻ってきて仕事をしたいと言ってきた。お金で困らなくなると人生の楽しみが見つからなくなったと言う。
毎日行く場所がない、やることがない生活は楽しくない
毎朝、通勤で自宅から最寄りの駅まで住宅地を歩いて行く。いつも、見かける70歳代ぐらいのシニア男性が自宅の周りを清掃している。まだ健康そうで普通の生活が維持できていた。働いていないようなので自宅で何をしているのだろうかといつも想像している。
こんな生活をしているシニアならば不幸である。
- 朝を新聞とテレビで潰す
- 庭の手入れと清掃をする
- 妻の外出に付いて行く
- 昼はゴロゴロ昼寝
- 散歩は自宅の周辺で距離がない
- 生活のコア時間が目的がある事に使われていない
目的がある生活をしているシニアは生活に張りがある。目的に向かって行動をするため周りから色々な刺激が飛んでくる。刺激がやりがいに結びつく。経済的な暮らしで余裕がある生活を送っていても生活の質で問題を抱える高齢者は多い。
結論
68.5%の65歳以上の高齢者が経済的な暮らしで不安を覚えていないという。高度成長時代を生きたシニアたちは年金と貯蓄で老後の生活に必要なお金を持っている。ただ、現実はどうなのだろうか。色々な人生がある。働けなくなった高齢者で年金や貯蓄が少ない人達は生活保護に頼ることになる。
65歳以上の高齢者たちが引退しないで働き続けている。その比率が年々増加している。労働力人口総数に占める65歳以上の者の割合は2021年に13.4%と上昇し続けている。10年前の2011年は8.9%であった。働けるまで働きたいという高齢者が存在し、少子高齢化の影響で社会がシニアを労働力として求め始めたからである。
必ずしも実生活でお金が少ないから働かざるを得ないという高齢者だけではない。社会に繋がり自分の存在を認識したいという理由で働くシニアがいる。