この本のタイトルをどう解釈するかで求めている情報を得られない場合がある。本を読む前の私の解釈は、こうであった。
「あぁ、この本は販売方法を教えてくれるのでは。」と思って読み始めたのだが、How to sellの前の段階の事を書いている。How to make a mechanism to sellとなっている事に気がついた。トルネード式仮説検証というアプローチで販売につながる問題解決方法を教えているのだ。
私が学んだことはこんな事だ!
この本、「売れる仕組みをどう作るか」の著者は、マーケティング戦略コンサルタント 永井孝尚(ながい たかひさ)氏である。幻冬舎から1400円(税別)で出版されている。彼は、この本を出版する前にドラフト段階の原稿を100名以上の有志に読んで頂き、現実の読者のニーズを絞り込んで作り上げている。
残念ながら、私はこの100名以上の有志の中に入っていない。そのため、ターゲット読者層ではないかもしれない。私の印象では、彼のターゲット読者層は、企業で働いているプロジェクトチームではないか。
私は、一匹狼の自営業者であるので組織で何かをやるというニーズはない。そんな私でも読んでみて幾つか学べる点があった。
1.トルネード式仮説検証を学ぶと「失敗に対する考え方」が変わる
ビジネスは失敗して始まる。最初から成功するビジネスは宝くじに当たるような確率でしか生まれない。シリコンバレーで成功した起業家たちは、多くの失敗から成功の秘訣を学んできた。
トルネード式仮説検証は、失敗から学ぶ時にどのようにすべきかを教えてくれる。私も起業して12年がたった。今振り返れば、失敗の連続である。失敗する度に現実の見えないルールを学んでいく。
失敗を繰り返す度にビジネスの落とし穴にはまらないセンサーを増やして来ている。著者は、失敗を恐れずに失敗に挑戦し、そこから学ぶ事を強調している。求める結果をイメージ化してあるべき姿を目標に試行錯誤を繰り返す。
最初から完璧なプランを求めず、大雑把な方向性だけで仮設を検証していく。このアプローチは、これから起業したいと思って準備しているシニアにオススメしたい。起業するには、ビジネスプランが重要だと色々なビジネスコンサルタントが言っているが、現実は違う。
分厚いビジネスプランを作成しても99%絵に描いた餅だ。市場ニーズを捉えていないことを数ヶ月で知ることになる。頭だけで思いついたビジネスモデルは、現実の世界を反映していない。
今、自分が考えているビジネスモデルで起業をしたいと思っているシニアは、そのビジネスモデルを実際にテスト・マーケティングしてみると良い。本当にそのビジネスモデルは現実のニーズを捉えているかどうかがすぐに分かるはずだ。
3ヶ月から6ヶ月、そのビジネスモデルで営業活動をして売上を上げることが出来なければ、または、お客になってくれるクライアントを見つけられなければ、そのビジネスモデルを修正する必要がある。
このような失敗を何度か経験して現実にあったビジネスプランが作られていく。最初に作ったビジネスプランに固守する必要はない。固守すべきことは、売上を立てることができるビジネスプランであるかどうかだけだ。
2.消費者が求めている「あるべき姿」を実現させる「解決すべき課題」
新しいビジネスを始める時に考えることは、世の中で困っている問題を解決するソリューションである。「こんな事ができれば、いいなあ!」とか、「こんなものがほしい!」とか、自分自身が市場ニーズを感じていないと「あるべき姿」が見えてこない。
シニアが起業する時に既に存在するビジネス分野で始めようとする。既に競争相手が存在し、市場が誰にでも見えている。レッドオーシャンの中で起業をしようとしているシニアは、その試み自体に間違いがある事に気がついていない。
シニアは、ブルーオーシャン市場でトルネード式仮説検証を実践すべきだ。やった人しか現実の市場が見えてこない。その情報を掴むことで誰よりも先に売上が立つビジネスモデルを作ることができる。
頭の良い人は、頭脳だけで結論づけてしまう。そのため、リスクが有ると思って挑戦しない。「コレをやってみたい!」と思っているシニアは、感情と情熱が先に来て実際に突入できる。
この違いがビジネスの成功と失敗の境目だ。
3.本音で語り、本音で挑戦する姿勢が好印象を与える
この本の77ページにこんな記述がある。
「私は著作で生計を立てており、より多くの本を売りたい。これが本音だ。」
こんな事を書いている著者は彼だけではないか。正直で良いと私は思っている。どの著作者も思いは同じのはずだ。それをあけっぴろげに言っていないだけだ。公然の事実であるがゆえに人々はあえて言及しない。
シニアが起業する時に必要な要素は、やりたいビジネスへの「情熱」である。「情熱」が他の人達にあなたの思いを伝染させる。
「売れる仕組みをどう作るか」の本を読むと著者の「情熱」が伝わってくる。これから起業を考えているシニアには、参考になる本であると思う。3時間ぐらいあれば読みこなせる。約240ページぐらいだ。
この記事「「売れる仕組みをどう作るか」を読んで学んだこと」のポイントは、
- トルネード式仮説検証というアプローチで販売につながる問題解決方法を教えている
- 「売れる仕組みをどう作るか」の著者は、マーケティング戦略コンサルタント 永井孝尚(ながい たかひさ)氏
- トルネード式仮説検証は、失敗から学ぶ時にどのようにすべきかを教えてくれる。