私達が生きてきた時代は、高度成長時代であり、生き方の路線を世間が示していた。その路線に沿って生きていけばある程度のライフスタイルを謳歌できた。それは、有名大学に入学、卒業、大企業に入社するという路線だ。この路線をはみ出すと社会から異端視される。
終身雇用制度が生活の安定を保証していた。その代わり雇用されている会社を自分の家のように思って一生懸命働かないといけなかった。個人の自由や家庭の都合よりも会社の仕事を優先した。この社会の仕組みで世の中が上手く回っていた。
あっという間に時代は2020年代である。時代はコロナ禍で生活に困る人達が溢れ出している。シニアが再雇用先を探す時は失業した若者たちとの競争になる。
多様な働き方と生き方が選べる時代(昔の常識が崩れていっている時代)
私は電機業界の会社にお世話になって人生の大半を家族と一緒に過ごしてきた。家電業界は、今や韓国、台湾、中国のメーカーに市場を取られている。昔、日本が米国やヨーロッパの家電メーカーを駆逐したように今日本は発展途上国の電機メーカーに駆逐され始めている。大きな時代の変化だ。
シャープ、東芝、三洋電機などは市場からその存在を問われたり、消滅、M&Aされたりしている。時代は、高度成長時代と違って低成長の成熟期に来ている。大きな変化が今までの社会常識を飲み込んで新しい常識を吐き出し始めている。
私の息子世代は会社が副業や兼業を許す
IT企業では、副業と兼業を社員に許したり、奨励したりし始めた。大企業も会社に出社するのではなく、自宅かその地域のシェアオフィスでリモートワークができるようにしている。今までの会社勤めではあり得なかった働き方の多様性が生まれてきている。
高度成長時代に創業をした会社が毎年その役目を終えて倒産、任意整理をして消えていっている。時代の変化についていけていない。創業者の年齢が高齢になり会社を継続できなくなってきている。コロナ禍はこの流れを後押ししている。起業の数よりも会社整理、解散、倒産の数が多い。
大企業は40歳代、50歳代の会社員をリストラしている。それを見ている30歳代の会社員は私の息子世代になる。今の会社で定年を迎えるのは難しいと考えて、同僚や知人たちと副業が出来ないか話し合っている。会社は本業に悪影響を及ぼさない限り副業が許されている。
私達の世代が経験した労働意識はもうない。
個人を強くするインターネットビジネス
20世紀になかった業界や職業が生まれてきてお金の稼ぎ方も労働も多様化した。顕著なのは、インターネットビジネス業界だ。インターネットビジネスでお金稼ぎが出来る時代になると会社に雇用されなくても個人事業主(フリーランス)で十分生活が出来るようになった。
事業主が会社という組織でなく個人が事業を展開し、法人とコラボレーションして生きていける。そんなことが可能になった。 インターネットビジネスでは、年齢も性別も学歴も国籍も問われない。インターネットで生まれるニーズを満たすことができれば誰でもお金を稼げる。
今起きている時代の変化は、個人の力を広げる。会社という組織で生きていく時代から個人の力で生きていける時代に環境が変化してきている。今まで信じて疑わなかった常識が常識でなくなった事件が多くなってきている。優良企業のタカタが一瞬にして任意整理になったり、東芝の原発事業で東芝の倒産も危ぶまれている。
寄らば大樹の陰という常識が通じない時代
若者は会社が倒産しない公務員によりいっそう強く職を求めたり、一つの会社に固守しない考え方で転職をしたり、起業を目指して社会経験をしたりしている。そんな社会的な変化の中で70歳まで働こうという政府の意向をどう私達シニアは受け止めるべきかだ。
組織を離れた、会社を引退したシニアたちは、今までの延長線で仕事をするのは難しい。時代の変化は、新しい時代の波に乗れと言っている。
今60歳代ならば、後10年は体力も気力もある。新しい時代の波を見つけて人生最後の新しい挑戦をしてみてはどうか。体がくたびれて来てからでは遅い。第二のキャリアと人生を始めるタイミングとして60歳代のシニアは、時代の変化を味方にできる。
既にA.I.とロボット、自動運転の技術でこの10年のうちに仕事が消えて行く。同時に新しい職種と仕事が生まれてくる。その種を見つけて先手必勝の挑戦をすべきだ。言うことは簡単だが、行動に移すのは苦痛が伴う。新しいことに挑戦する時はいつも苦痛が伴う。苦痛が伴わない挑戦はない。
新しい時代の波に流されて老後を過ごすのは嫌だ。流されると社会の隅に押し流されるからだ。充実した老後を過ごしたければ、新しい時代の変化を見つけてチャンスを自分のものにするしかない。
結論
コロナ感染で社会は新生活様式を受け入れなければ生きていけない雰囲気がある。コロナ禍で会社が倒産、職を失う人たちが目立ってきた。年金生活で生活が成り立っているシニアは職を失った人たちの心境をどれほど感じているのだろうか。
会社はコロナ感染の悪影響で人員整理をせざるを得ない環境にいる。そんな社会でシニアは今までの常識を新しい常識に変える必要が出てきた。テレワーク、リモートワーク、在宅ワークという言葉が組織の中で当たり前になってきている。会社に出勤がパソコンを立ち上げて会社のネットワークにログインするに変わった。今のシニアには考えられない世界である。
2021年からは今まで以上に大きな変化が起きる。大きな変化は今までの常識を非常識にする。新しい常識に自分を適応させないと浦島太郎の生活になる。年金生活で死を待つ受け身の生活ではなく、現実の社会に自分を合わす前向きの生活にシフトする必要がある。
今まで以上に「個の力」がインターネット経由で「組織の力」を超えるようになる。シニアのリソースをこの大きな変化の中で発揮できるチャンスが増えている。