昨年の夏のことである。帰宅時に横浜駅の階段を上っていく一人の老人の後ろ姿を見た。半ズボンとTシャツ姿で体格が手に取るように分かる。年齢的に70歳から80歳ぐらいのシニア男性。階段を軽快に上がっていく。背中から腰まで筋肉がついている。足の筋肉もやせて細くなっていなかった。
あの年齢であの体格を維持できているのは、きっと、定期的に運動をしているためだろうと私は思った。シニアの筋肉は定期的な筋トレをしていないと確実に筋肉量を年1%づつ減らして行く。それが筋肉が多い足の筋肉にでてくる。
お風呂に入る時、洗面所の鏡に写る太ももを見てほしい。予想以上に太もものサイズが小さくなっているはずだ。足の筋肉に張りがない。筋肉を失い皮膚の皮がたれ始める。シニアの体は加齢でドンドン醜くなっていく。
体格が良いシニアは若く見える
一般的に70歳から80歳の高齢者は、筋力が低下して体格がひ弱になりやすい。食が細くなり、タンパク質を取る量が少なくなり運動もしなくなる。そのため、貧弱な体格になる場合が多い。筋肉が維持されていれば、筋肉で体を飾る事が出来る。
筋肉を失って体が枯れて行くシニアは老人になる
私がイメージする老人とは、腰が曲がって身長が縮み、細い体型になった人である。当然、個人差はある。老いてくる=体格がひ弱に見えてくる。体型は筋肉の付き方や姿勢で見え方がだいぶ違う。厚い胸筋、逆三角形の背中を作り出す広背筋や大円筋が老いても残っていれば若々しい印象を後ろ姿で見せられる。
問題は老いてくると色々な病気に悩まされたり、体を動かす理由が生活の中に生まれなくなったりして体が怠けてしまいがちになる事である。楽な生活をすると必ず筋肉が衰えてくる。これは、確かである。 60歳を過ぎると普通の生活をしていても毎年筋肉の量が1%ぐらい失われて行く。体を活発に動かさない楽な生活をしていると体の筋肉の量はどんどん失われて行く。
米国に駐在して働いている時、毎日自動車で通勤していた。足を使って歩くという運動が必然的に無くなる。歩く距離は駐車場からオフィスの席までの距離、100メートルぐらい。オフィスの中を打ち合わせで歩く距離も限られる。その上、食事で取るカロリーが必要以上に大きい。その結果、体重が増えて肥満になった。こんな状態が続いたため、体の血液がうまく回らなくなり体調不良になり一時帰国をした経験がある。明らかに運動不足の生活の結果である。
シニアは意識して筋肉を鍛える生活習慣を作り出す必要がある。シニアの筋肉は若者以上に生活環境に適応する。使わなくなった筋肉を削り取り始める。60歳代と70歳代のシニアの体を比較してみると筋肉の量で違いが出る。
高齢者が年金生活に定着すると体を動かしてお金を稼ぐという必要性を感じなくなる。または、病気で自宅療養となる。積極的に体を動かすことが少なくなると筋肉は自然に失われて行く。その結果、体格がひ弱になる。体格がひ弱になると若さを失い老人になる。
体を動かさない楽な生活、または、体を動かせない不自由な生活は、確実にシニアの生命力を失わせる。駅の階段とエスカレータのどちらかを選ぶかで体を動かす事を意識している、いないが分かる。おもしろい事に階段を選ぶ人たちの大部分は健康意識が高い人達である。
体の筋肉量を減らさない生活習慣を作り出す
シニアは駅の階段を上り下りする事で知らず知らずのうちに足の筋肉を鍛えられる事を知るべきである。筋肉は使わないと維持できない。特に高齢者ほどそのことを意識しないと足が上がらなくなる事態になる。シニアが体を鍛える時、生活習慣の中に筋肉を鍛える運動を入れることである。
散歩をするならば、階段がある場所を意識してルートに入れる。階段が少なければ、起伏が多い場所を散歩のルートに入れる。平坦な場所をただ歩くだけでは足の筋肉を十分鍛えられない。歩くだけでは筋肉の量を維持できない。普通以上の負荷を足の筋肉に掛ける必要がある。
筋トレを始めるならば、スポーツジムの会員になってパーソナルトレーニングを受けることである。筋トレの習慣は一人で身に付けるのはシニアにとって難しい。専門アドバイザーなどの指導下で半強制的に筋トレをすることである。若者と違ってシニアは筋肉を鍛えてもその効果が体に現れるのに時間がかかる。少なくとも1年間は必要。
筋トレをしてたんぱく質の多い食べ物を取り続けることで筋肉が体に戻ってくる。多くのシニアは筋トレをすれば直ぐに筋肉が増えると思っている。私は週2回スポーツジムで筋トレをしているが、体に変化を感じ始めたのは2年後であった。体格が体に筋肉が付き始めると変わる。
懸垂、スクワット、ベンチプレスなどを中心に2年間週2回筋トレをした結果、体格が若者と変わらないほど魅力的になった。筋トレを定期的に続ければ確実のその効果が魅力的な体型となって現れてくる。よく食べ、よく運動する。これが基本である。
魅力的な体型のシニアは筋トレをしている
逆三角形の上半身、厚い胸、引き締まったお腹、半ズボンを履くと筋肉が見える太もも、そんな体型に自分の体を筋トレで変身させることが出来る。今の体が筋肉の鎧で包まれたイメージをしてほしい。筋トレで引き締まったお腹になるだけで周りの人たちは見る目が変わる。
60歳、70歳を過ぎたシニアで厚い胸をしている人は非常に少ない。胸筋を鍛えなければ厚い胸は作れないからだ。逆三角形の体を作るには広背筋を鍛える懸垂運動が必須になる。筋トレを生活習慣の中に取り込んでいるシニアはひと目で分かる。体格が違う。
米国の80歳になるシニアの写真がある。筋トレを70歳の時に始めた。10年間地道にやり続けて下記の写真のような体格になっている。
筋トレを続けているシニアと普通の生活をしているシニアでは誰が見ても体格に差が出ているのが分かる。ズボンを履いても太もも辺りが細いとズボンの生地が風で揺れる。筋肉が太ももにあれば、太もも周りに空間が少ない。見た目に不自然さがない。
筋トレをしているとワイシャツを着ても厚い胸で見栄えが良くなる。Tシャツを着れば、逆三角形の体型が際目立つ。そんな体型に自分の体を作り上げることが筋トレで出来る。暇な時間を筋トレに投入するだけで体に筋肉がついてくる。地道に1年、2年、3年間続けてみればその効果が必ず体に出てくる。
結論
元気なシニアは体格が良い。後ろ姿も格好いい。ヨロヨロしながら歩かない。体格が良いから着るものも見栄えが良くなる。私は、シニアが筋トレを定期的にやるべきだと思っている。姿勢や体格が良くなり、食欲もわく。魅力的で格好いいシニアがもっともっと増えてほしい。