平均年齢70歳のNPO団体のメンバーのほとんどは、いつも階段を使わずにエレベーターを使う。上がるのは大変な事は分かっているが降りていく階段ぐらいはと思うのだが・・・老人は言葉に出せない理由ある。
70歳を超えると普通のシニアは体が以前よりも衰えてきたという感覚を痛烈に感じ始める。足腰がしっかりしなくなり、バランス感覚が以前よりも悪くなる。階段を上がるぐらいは出来るが、降りる時に膝の関節痛で困る。多くの70歳代のシニアはエスカレーターやエレベーターを探して使い出す。
階段の上がり下りの動作は、健康に良いという理解はあるのだが、苦労よりも楽をしたいという欲求が勝ってしまう。
目次
足の筋肉、膝関節、バランス感覚、体力、視力と視野、脳の認識機能の衰え
足の筋肉が衰えてくると自分の体のバランスを上手く取れなくなる。息が切れる。駅の階段を上っていく老人が、何故、左や右側の手すりをつかんでゆっくりと上っていくかの理由がここにある。
体力と筋力不足で体のバランス感覚が衰える
私はまだ67歳なので体力がある。いつも階段を使う。駅の階段もエスカレータを使わずに足を鍛えるために階段を使う。足の筋肉を維持できているシニアと足に問題を抱えるシニアでは、生活の面で違いが出てくる。
階段は、上るよりも下る方が怖いという。確かにそうである。足で自分の体をちゃんと支えないとバランスを崩して転げ落ちてしまう。転げ落ちて骨を骨折したら、ますます不自由な生活を強いられることになる。そんな恐れを老人は言葉には出さずに行動で示している。
老人の心理状態を理解するには、自分が老人になってみないと分からない場合が多い。今、あなたが60歳以上の方であるならば片足を上げてどれだけ立ち続けることが出来るだろうか!
片足を上げ続けることがどれぐらいの間できるか試してもらいたい。私は駅で電車を待っているときに時々これを試している。10秒以上も片足でバランスを取っていられない。若者であれば、1分ぐらい片足で立ち続けるだろう。歳を取れば取るほど自分の足でバランスを取ることが難しくなる。
階段を上るときは足の筋肉が必要だが何故かバランスは取りやすい。手すりがあれば尚更安心して階段を上れる。これが階段を降りるとなると、何故かバランスが取りにくい。私は近視と遠視、さらに緑内障で視野が狭くなっている。遠近両用眼鏡をかけているため足元が見ずらい。目で足場を確認しながら足を出す着地点を認識しないと不安になる。
視覚の衰えが脳の認識機能を狂わせる
目も衰えているシニアは視覚で降りる階段の着地点を正確に把握できない場合がある。足の筋肉の衰えで体を支えられない、視力の衰えで足の着地点を上手く把握できない、自分の体のバランスを上手く取りにくいなどの障害が老人に出てくる。健康そうに見えても実際は口に出せない体の不具合を感じている。
階段をゆっくり下りている老人は、視覚機能が衰えると同時に自分の体重のバランスを上手く取れていない可能性がある。通勤時に老人がゆっくり階段を下りている時は、視力と視野の面で問題を抱えていると思うべきである。出来るだけ老人の様子を観察して怪我をさせないように注意する。
視覚と脳の認識で体と脳にずれが生まれてくる。感覚的に足の着地点をうまく認識できなくなり、その結果、階段を踏み外す。一度でも階段を降りるときに踏み外す経験をすると階段を降りるのが怖くなる。階段は老人にとって体の不具合を表面化させる。
年寄は階段を降りるのが怖くなる
階段を普通の人と同じように利用できている老人は本当に健康で体力があるシニアである。足が丈夫な人ほど自分の動きが軽快になる。駅の階段を降りていく高齢者を見たときは注意してみてほしい。ゆっくりと確かめながら降りていくシニアがいたら、足や視覚機能などで体に支障を持っている老人であると思ってほしい。
足の筋力低下、膝障害、バランス感覚や視覚の衰え、脳の認識機能の低下が原因でシニアは階段が怖くなる。階段を上がるのは怖くないのに降りるのが怖いという老人が多い。自分の体重を支える脚力と体力が基盤であり、片足で体のバランスをうまく取れないとよろけて転んでしまう。
私は一度階段を降りるときに一段踏み外してころんだ経験がある。最後の1段を踏み外して尻をついてしまった。視覚と脳の感覚にズレがあったためではないかと思っている。一度でも怖い経験をすると人間は賢いため二度と同じ間違いをしないため階段を降りるときはエスカレーターやエレベーターを使い始める。
階段の上がり下りが出来るようにする運動方法
まずはこちらの動画を見てください。
足腰の筋肉(太もも、ふくらはぎ、お尻の筋肉)が弱くなると歩行障害や階段の上がり下りが辛くなる。基本対策は足腰の筋肉強化である。上記の動画は高齢者向けの運動になる。シニアでまだ健康な方は、スクワット運動をすることである。スクワット運動は太もも、ふくらはぎ、お尻の筋肉を同時に鍛える。
人によって体力や脚力が違うので自重で始めて楽ならば、ジムに通ってダンベルやバーベルを使ったスクワット運動をしてみる。基本、1セット10回。出来なければ、出来る回数までやる。翌日、翌々日に筋肉痛を味わう程度がちょうど良い。スクワット運動を6ヶ月間、毎日または週2回、続ければ効果が歩行時に感じられるようになる。歩くのが楽に感じるはず。
階段の上がり下りは脚力の状態をチェックする上で役に立つ。自分の脚力がどんな状態であるかを自覚することから始めて見ることをお勧めする。
結論
老化は階段を降りるときに不安を生む。体力の低下、足の筋力の衰え、体のバランス感覚の悪化、視覚や視野の問題、脳の認識機能の曖昧さで階段を降りるのが怖くなる。階段を問題なく降りていくシニアの年齢を観察してほしい。70歳を過ぎたシニアは少ないはず。70歳はシニアの体力、筋力、脳の認識力が急激に低下する年代である。