生活習慣は一度出来上がってしまうと急には変えられない。古い習慣を捨てて新しい習慣を身につけるのと同じである。定年退職後のシニアは新しい生活習慣を作る機会が提供されている。この機会を逃すと大きな変化が起きない限り変らない。自分の健康のためにも意識して自分の人生にプラスになる新しい生活習慣を作り上げる必要がある。

新しい生活習慣を身につける

平日の仕事がなくなり、自宅で自由な時間を過ごすことになるのだが1週間もしないうちに「暇」で苦しみ始める。朝、会社に出勤して、夕方に自宅に帰るという生活習慣が消える。自発的にやるべきことがない限り、自宅でゴロゴロしていることになる。

老後をどのような生活にしたいかをまず決めることから始める。それが新しい生活習慣を作る出発点になる。

新しい生活習慣を作り上げる

定年退職後は毎日が日曜日の状態になる。会社員であった時の週末の生活を思い出してほしい。平日の生活のリズムと週末のリズムは違うはずだ。週末での時間の使い方を死ぬまで続けられるかどうかである。多くの人はそれを望まない。平日の生活のリズムを取り戻したいと思うはず。半年も毎日が日曜日状態を続ければ苦しくなる。

定年退職は元会社員の男性にとって大きな人生の転機である。自分の余生をどうするかを決めて生きて行かねばならない。やりたい事があるシニアはそれを中心に新しい生活習慣を作り出せば良い。やりたい事が定まっていないシニアは自分で新しい生活習慣を描いて作っていく必要がある。

60歳を過ぎると「健康」が頭から離れなくなる

健康を害するとそれが大きな変化となって自分の人生にのしかかる。今までの生活と違った生活習慣が生まれ不自由な生活が始まる。老いから来る健康障害や体力の低下はシニアとして生活をしていく上で意識して行かざるを得ない。定年退職後は健康が老後の経済的な生活破綻以上の不安要素になる。

普通の生活が出来るか、出来ないかで新しい生活習慣が狂ってくる。若い頃は体力や健康という生活要素をそれほど意識しないでも良かった。歳を取ることから来る悪影響を感じないからだ。60歳を過ぎると体は若い頃の体とは違うことに気がつく。つまり、これから歳を取っていくと言うマイナス要素を新しい生活習慣に取り込んだ生き方をせざるを得ない。

老後の生活で何を優先するべきかを決める

新しい生活習慣は自分の人生にとって何が優先されるかをリストすることから始まる。最優先課題から生活習慣を考える。人によって優先順位が違う。生活費を稼ぐ必要がある人は新しい職を見つける必要がある。趣味に没頭したい人は趣味を中心に余生を考えることになる。何を優先するにしても共通して気を遣う必須項目がある

バランスが取れた食事と適度の運動

偏った食事はシニアの健康に凄く悪い。老いから来る新陳代謝の低下で栄養が十分取れなくなる。食が細くなるという言葉がそれにあたる。さらに、筋肉の衰えが新陳代謝の低下を加速させる。自宅に隠って体をあまり動かさない生活はシニアの健康維持でマイナスになる。定期的な運動をしないと毎年1%づつ筋肉量が減っていく。ある時点でフレイルになり歩行障害に直面する。

「暇」な時間を作らない

平日に仕事がないシニアは「暇」な時間で苦しむ。受身的な生活が続くと体と脳に刺激が行かなくなり、認知症予備軍になる。自発的に活動する何かを始めないと余生はつまらなくなる。自分独自のプロジェクトを考えて実行する。

台湾のシニアが定年退職後に「道路反射鏡(カーブミラー)」の汚れ掃除という独自のプロジェクトを考えて実行していた。毎朝午前3~4時に起床。二十数枚の雑巾と脚立を持って、スクーターで出かける。北部の新北市や台北市を中心に、山道のカーブミラーも磨いた

自分で出来ることを考えて自発的にやる。そうすれば、「暇」な時間はなくなる。シニアは時間の使い方を思いのままに出来る。自分の体や健康にプラスになるような時間の使い方を生活習慣にすれば良い。新しい生活習慣を自分で作り、実行する。目先の欲求に狂わされた行動で乱れた生活リズムを作ってはいけない。シニアであればあるほど健康管理が重要になる。若くない体はちゃんとお世話をしないと機能しなくなる。

結論

定年退職後の生活は新しい生活習慣を作る上で良い機会になる。老いの要素を考慮した新しい生活習慣を作る。その意識がないシニアは70歳、80歳代になってから困ることになる。老後の生活は老いて行く体を整備・維持しながらやりたい事の優先順位を決めて自発的に実行する新しい生活のリズムを作る必要がある。