私が起業できたのは、ソニー株式会社でインターネットのベンチャービジネスを起こした経験があったからである。自分でも事業を作れるのだという自覚が芽生えた。それまでは、ビジネスを始めている人たちは違う人種のように思っていた。組織で働いていると上司から指示された仕事をやっていれば良い。それで生活費が銀行口座に振り込まれる。サラリーマンは楽な家業となっていた。
会社に勤めて出世するのが人生のキャリアのように周りから教え込まれていた。自分でビジネスを始めるなんて、毛頭なかった。その意味で創業者は偉大であったとその当時は思っていた。起業してみれは、必ずしもそうではない事が分かる。偉大なんて言う感覚は、起業を経験していない人が抱く妄想でしかない。会社の部長になるよりも起業して社長になる方が断然早い。
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死ぬ前までに一度は起業を経験してみる価値がある!
大手会社の社員でいると自営業者のビジネスを見下したような感じ方を覚える。実は、自営業者は大企業の社長よりもえらい!自営業者はビジネスの創業者だからだ。大企業の社長は雇われた会社員。直ぐに首が替えられてしまう。創業者が行っているビジネスは、そうはならない。どんなに小さなビジネスでも創業者である限り、大企業の社長よりもえらいと私は感じている。
自営業者は組織の歯車ではなく頭脳と手足
会社組織の中で優れた社員であっても歯車の一つである。一つの歯車でビジネスは成り立たない。会社内で自分は実力があると思っている会社員は、直ぐに会社を退職して起業すべきだ。それで本当の実力が分かる。それが出来ない社員は実力が無いと同じである。会社に就職するのは、すでに出来上がっているビジネスで仕事をするという意味。仕事は既に流れている。社員は、仕事の流れをスムーズに広く大きくする事に時間を使う。
起業家としての自営業者は、0から1を作り出す。 自分の頭と手足で無いところから売上を作っていく。誰も助けてくれない。自分ひとりで全てをやる。だからこそ、雇われ社長よりも偉い。会社員よりももっともっと偉い。その分、苦労も多いがやりがいも多い。
メリット1: 会社員では経験できない体験をする
なぜ、中小企業の社長は高級車のベンツに乗っているのか。その理由が分かる。起業して自分の力でお金を稼ぎ始めると自由になるお金が多くなる。売上が大きくなれば、ベンツも買える。会社員は毎月の給与額が決まっている。儲かっている起業家は経費でベンツを買える。仕事の道具としてベンツの購入費を計上する。
ビジネスを展開する上で発生する活動費はすべて経費として計上できる。接待交際費などは自営業者にとって有益に活用できる。ビジネスで黒字が計上できれば、多くの活動費が経費として落とせる。会社員は必ず上司の承認と限度額という制約がある。
自営業者としてビジネスを始めると不思議な体験に遭遇する。世の中には本当に色々なニーズを持ったお客さんが多い。こんな事でお金が稼げるという驚き。こんな、あんなビジネスで生活している人たちとか。動けば動くほど知らない世界が見えてくる。会社員では決して味わえない世界が起業すると味わえる。
ホームページ制作をシステムで提供するサービスでお客さんを探すためにセミナーを開催した。セミナー講演の後に必ず関心を持ったお客さんが名刺交換にやってくる。お客さんのニーズを聞いているとこんな初歩的なことで悩んでいることに驚く。すぐに問題を解決ができることをお話して次回の打ち合わせ約束をする。
良い出会いに出くわすと興奮する。困っているお客さんを助けられる事でお金を稼げるというチャンスが起業家の心を喜ばす。感動する機会が少なくなるシニアには今まで経験したことがない感動をシニア起業で味わえる。
メリット2: 定年退職はなく、年齢制限による雇い止めもない
定年退職は将来なくなるかも知れないが、多くの会社では年齢が70歳を越える社員を雇用し続けない。できるならば、60歳になる前までに会社を自主的に離れさせることを考える。そんな会社の動きは自然と社員の間で知れ渡る。私は何歳までこの会社で働けるか保証がない不安がつきまとう。
大手企業は構造改革という名でリストラをしている。定年退職の年齢になる前に中高年の社員を整理している。50歳代の社員は安心と安定を求めて再就職先を探したり、自営業者として働ける資格を取得する勉強をしたりする。会社で雇用される人は絶えず雇用不安に悩まされる。
正社員、非正規社員の差別なく時代は雇用が不安定になっている。会社員は最悪の事態に備えて独立という選択を準備する必要がある。一度、起業してしまえば自分で自分を雇用することになる。起業したビジネスでお金を稼ぎ始めれば、雇用不安は消える。年齢制限もなくなる。
会社員時代に悩ませた雇用不安が消えてなくなる。精神的なストレスは一瞬に消えていく。起業でストレスになるのは売上をどのようにして上げるかである。
メリット3: お金の価値と有り難みを知る
会社員は毎月固定された金額の給与が銀行口座に振り込まれる。お金を手にするときは銀行のATMからお金を引き出したときしか味わえない。一生懸命働いても働かなくても銀行口座に振り込まれるお金。お金を稼ぐという喜びや感動が給与から味わえない。
お金の価値は自分の手で苦労して稼いだお金ほど価値を味わえる。1日アルバイトで肉体労働をする。日給8000円を手渡しで頂いた時、どう感じるだろうか。自分で汗をかいて稼いだお金ほど簡単には使い難い。起業して稼いだお金も同じ感覚を持つ。
自分が始めたビジネスですぐに売上を計上できないからである。半年以上、売上がないときに初めてお客さんからお金を頂いと喜びは計り知れない。その時、本当のお金の有り難みを知ることができる。苦労して稼いだお金の重みである。
会社からもらう給与の生活をしてきた人は人生を終わる前までに一度でも良いから自分の力でお金を稼ぐという味わいを体験してもらいたい。
メリット4: 自分が思ったことを気兼ねなく実行できる
会社員時代は会社のルールや上司の機嫌を見ながら仕事をしていた。やりたいことがそのままやれなかったという不満があった。起業するとやりたいことを自分で計画して直ぐに実行ができる自由を得られる。その結果も自分ですぐに分かる。成功しても失敗しても結果はすぐに自分に戻ってくる。責任の所在もはっきりしている。
会社員時代に味わった変なストレスはなく、ストレートなストレスしか生まれないため受け入れやすい。ソニーでインターネットベンチャービジネスを展開していた時、会社のルールや上司の承認などが煩わしかった。決裁権限も限定的であったため、思うような活動ができなかった。
自分で始めたビジネスであれは、自分の決断だけで何でも始められる。責任は自分が持つからである。やりたいと思ったことが気兼ねなくやれる。
メリット5: 自分のライフスタイルを作れる
51歳のときに起業して15年が経過した今のライフスタイルはこんな感じになっている。
朝9時頃に自宅をでて、夜7時頃に帰宅する。仕事場はスターバックスのカフェ。午前と午後、違ったスターバックスのお店でリモートワークをしている。仕事をする時間は自分で決められるので休みたい時間に休み、遊びたい時間に遊ぶ。週末は原則仕事はしていない。
妻の要請で平日に仕事を休み三浦半島や鎌倉にあるレストランでランチ外出をすることが多い。生活リズムを自分好みに作れる。時間の制約は妻の都合で生まれる。今は、売上にあまり拘らないで食べていければ良いという気楽なライフスタイルを楽しんでいる。
シニアが起業するとき
ビジネスの種は、遠くの森を見ても見つからない。足元の草を見ると見つかりやすい。ビジネスの種は、自分が一番困っている事を解決するソリューションを見つけることである。
自分が困っている事は、他の人も困っている可能性が高い。困っている人を助けるのがビジネスである。人が出来ない事をあなたがやってあげるところにお金が生まれる。
多くの起業家志望者は、米国で発生した新しいビジネスを参考にコピー版を国内で始める。誰もが考え付くやり方だ。これは先手必勝のビジネスになる。競争が激しい。レッドオーシャンでビジネスをするよりも競争が無いブルーオーシャンで起業したほうが生き残る可能性が大きい。ブルーオーシャンのビジネスは、誰もが気が付かないビジネスニーズをチャンスとして捉えてお金に変えて行く仕組みを作ることから始まる。
そこには独創性がある。そのビジネスを作り上げた人しか分からない要素が多い。直ぐにはマネする人は出てこない。成功して評判が聞こえ始めてからマネをする競合社が生まれる。
シニアが起業する場合は、若者が気が付かないシニアのニーズを取り上げたほうが良い。競争は、同じシニアからやってくる。その数は、少ない。シニアはシニアのニーズを肌で知っている。若者はそれを感じる事が出来ない。全てが頭の中での想像でしかないからだ。
誰もが起業して成功するわけではない。失敗しても良いと思っている。あなたは起業に挑戦してその経験から何かを学ぶはずだからだ。一度も経験しないで他界するのは機会損失である。起業は、雇われ社員よりもエキサイティングだ。今まで見えていなかった世界の仕組みが自然と見えてくる。
自分が得意とする分野、好きな分野、情熱をもって探求してみたい分野などでビジネスの種を探し続けること。その時、遠くの森ではなく足元の草を探してみる。起業したいという強い思いがビジネスチャンスをもたらす。この世の中は、不思議な世界だから頭で考えられない事が頻繁に起きる。起業するとそんな体験をたくさんするはずだ。それが面白い。
結論
シニアが起業して自営業者になるメリットは多くある。成功しても、失敗しても一生に一度の経験であるからだ。やってみないと味わえない経験に価値がある。起業する過程で喜怒哀楽の感情を楽しめる。この経験は誰もが味わえない。人それぞれ違う経験をするからだ。
ビジネスの失敗をマイナスと思わないことである。引き際をちゃんと決めておけば、何も怖くない。起業で投資したお金を失うだけである。その見返りとして経験できない体験を味わえる。