60歳、65歳、70歳代のシニアが起業に挑戦している。60歳以上のシニアを雇用する動きは以前より増えているが、シニア人材のリソースを活用するような分野ではない。誰もがやりたがらない仕事をシニア労働者にやってもらおうという職が多い。働きたいシニアにとっては、魅力を感じない。どうしても働かなければ食べていけないというシニア層がそんな職に身を置いている。本来のシニアの能力を活かしていない。

その結果、定年退職後、初めての起業に挑戦しようと頑張るシニアが増える。

初年度から黒字起業にする3つの要素

定年退職後に起業したシニアは、1年、2年の間に非常に苦しい時間を過ごす。会社設立はお金があれば簡単にできるが、お客を見つけて売上をすぐに立てることが出来ない。お客探しで時間がかかり、運転資金を使い果たして失敗するシニア起業家が多い。 

目に見えている潜在顧客がいる:ポイント(1)

これから定年退職を迎える60歳代のシニア起業家は今から自分が始めるビジネスのお客を確保する活動を始めるべきである。売上を立てない営業を経験することでお客さんのニーズを確認できる。現在の会社から給与をもらいながら、無償のサービスを潜在顧客に提供することで自分が始めるビジネス市場の姿が見えてくる。

先に無償のサービスを提供していれば、そのお客は独立時に有料でサービスを買ってくれる。先に「損」して後で「得」取れである。この準備が上手く出来ているシニアほど初年度から売上を立てることが出来る。上手く行けば初年度は黒字になる。 

起業前の営業活動(テストマーケティング)を行う:ポイント(2)

自分が考えたビジネスモデルでお客さんが見つかるかどうかをテストマーケティングしてみることで分かる。そのテストマーケティングが失敗したら、失敗原因を分析する。

まず学ぶべき事は、なぜ、失敗したかである。失敗の原因を学んでその対策を起業に活かす。これが定年退職後に起業するシニアの取るべき道である。最初の失敗が自分に足りない知識、経験、スキル、戦力を実践で学ぶ機会になる。

お客さんが見つけられない、見つけても提供する商品やサービスを受け入れてくれない、そんな試行錯誤を起業する前に経験しておくことで本当のお客さんがどこにいるのかが分かってくる。

会社設立よりも個人事業主で始める:ポイント(3)

ビジネスはあなたが提供する製品やサービスにお金を出してくれるお客がいて始まる。会社を設立して起業が始まるのではない。会社設立は先にお金が出る。お金を出来るだけ後から出すようなビジネスプランがシニア向けである。私はこれから独立するシニアにいつもこう助言している。

個人事業主として自分がやりたいビジネスを試してみて下さい!

会社を設立しても最初はあなた一人しかいない。名刺に〇〇株式会社と書いてあっても所詮は一人オペレーションである。お客もそれにすぐに気がつくはず。個人事業主も同じ。まだ良く分からない市場で自分が求めるビジネスを展開するには身軽なオペレーションでコストを出来るだけ掛けずにやってみることである。

株式会社を設立して失敗すると会社を畳むだけでもお金が数十万円も発生する。会社を設立する時と閉める時に数十万円単位のお金が発生することを自覚して欲しい。個人事業主はどちらもゼロ円で済む。失敗経験を優先する起業プランを考えて欲しい。失敗時にお金が余りかからないようにすれば、再起は直ぐにできる。

結論:

見栄えを重視するあまりに最初から会社を設立してしまうシニアが多い。それをやっても良いシニアは、定年退職する前にお客を掴んでいる人だけである。起業と同時に売上が立てられる状態にして置く。それが出来るシニアは、最初から会社を設立してビジネスを始めても良い。

独立する手続きを始める前に自分が始めるビジネスのお客を探して、掴んでおくことがシニア起業家が一番先にやるべきことだ。