昨日、東京ビックサイトで開催されたIT関連の展示会に1日中行っていた。数年ぶりであった。ほとんどのブースを見て最新状況を見てきた。その中で「シニアのおもてなしサービス」という訪日外国人専用の人材派遣サービスをしている民間シニア企業があった。

シニアを長期に雇用する法人企業がまだ少ない!

「シニアのおもてなしサービス」事業は、株式会社マイスター60と言う会社が始めたインバウンド事業である。訪日外国人向けに海外生活・就労経験がある語学堪能なシニアを人材派遣、紹介する事業である。登録者はまだ少ないがインバウンド事業を展開している会社からの依頼で仕事は入ってきているという。 

問題は、長期にシニア人材を雇用してくれないと言う事のようだ。インバウンドビジネスは2020年に開催される東京オリンピックに向けてこれから増えてくる。ショッピンから観光ガイドまで幅が広がっている。民間の企業のビジネスとして「シニアのおもてなしサービス」が成り立つかどうかだ。 

「シニアのおもてなしサービス」は、特定分野で経験やスキルがあるシニアが活躍できる1つの仕事である。

仕事を探しているシニア誰もが出来る物ではない。シニアのリソースは、過去に経験した生活環境や仕事に価値がある。年齢と共に使われなくなったスキルと知識を再利用する機会を作り出すという意味合いで(株)マイスター60の事業は面白い。

シニアのリソースを活用している会社は、こんな理由でシニア人材を使っている。

  • 短期的な仕事では若者を雇用できないのでシニア人材をスポット的に活用したい
  • 過去の経験が利用できるシニア人材であるので即戦力になる
  • 低賃金で活用できる

つまり、

正社員で若者を雇用できない仕事や正社員の支援業務で必要な時だけシニア人材を活用するという考え方が事業者にある。このようなシニア人材の活用用途は、これからもっと増えてくるかもしれない。少子高齢化に伴って若者の数が減少し高齢者が逆に増加してくるからだ。

シニア人材を一般的な労働者として活用するのには限度がある。高齢者には高齢者独自の問題を抱えている。労働環境が悪いと体力や精神面で続かない。老いによる弊害は必ず起きる。一人の正社員の仕事を二人のシニアがシェアーする分業環境があると働きやすくなるだろう。 

ワークシェアリングは、欧米諸国で広まっているが日本ではまだ本格的に始まっていない。

多くのシニア向け仕事は、人材派遣サービスを経由している場合が多い。(株)マイスター60以外に(株)高齢社という企業がある。この会社もシニアの人材派遣・紹介サービスで運営が成り立っている。

本来ならば、シニアが直接法人企業で雇用されるルートが一般的になれば良いと思うのだが、雇用環境がまだ若者中心で動いているためシニアをビジネスに活用しようとする動きが積極的でない。そのため、どうしても短期的な仕事になってしまう。

短期的な仕事を探しているシニアであれば、人材派遣サービスを利用すれば良いが、そうでないシニアも多い。生活を維持するために長期雇用を望んでいる人がいる。この層のシニア雇用対策と環境が出来ていない。

現在、シニアが仕事を求める場合、3つのオプションがある。

1.人材派遣サービスを利用して短期的、スポット的に働く

2.自営業者になる

3.アルバイトやパートの仕事をする

この3つが必ずしもシニア向けの仕事であるとは思わない。シニアが輝く仕事があるはずだ。既に輝いて仕事をしているシニアたちがいる。専門的な知識や技術を持っているシニアたちだ。現在雇用されている会社で引き続き自分のスキルを提供し続けている。長年の経験から身に付けた技術や知識を若い社員に引き継がせるような環境がある会社だ