情報難民になりやすいシニア人材。新聞だけでは世の中の動きを把握できない。テレビやラジオ以外の世界で新しい流れと情報が拡散している。昔は、IT格差からくる情報格差があったが、今はつながるメディアによる格差が生まれている。若い人たちは、テレビやラジオよりもスマホの世界に閉じこもる。Line経由のコミュニケーションやFacebookによるつながりで入ってくる情報が多い。

社会に積極的に進出するシニアを増やすには、時代についていくシニア人材を増やす必要がある。シニア人材たちを情報難民にさせないトレーニングが社会に必要である。特にスマホやパソコンが社会生活に密接に組み込まれている。スマホやパソコン経由で情報発信や受信が当たり前のように行われている。

60歳以上のシニアはスマホやパソコンを若者と同じように駆使できていない。スマホが定期券、電子決済、クレジットカード、キャッシュカードになっていることも知らないシニアもいる。情報端末を理解して使えないと変化の激しい社会についていけない。基本的な情報端末ツールを使えないために働く機会を逃しているのがシニアである。

シニア人材はインターネット、パソコン、スマホとアプリの使い方を学ぶ必要がある

60歳過ぎのシニアはIT教育やパソコンについて学校で学んでいない。会社でパソコンを使う部署にいれば使い方を学ぶのだが、多くのシニアはそのような機会はなかった。パソコンが家庭に入ってきてもパソコンに興味がなければ学ぶ機会もない。携帯電話もスマホも興味がない、必要性を感じていないシニアには学ぶ機会がない。

社会の変化がシニアの大部分を情報難民にしている。パソコンやスマホを使えないと生活上で問題が起きる時代になった。マイナンバーカードを取得してもマイナンバーポータルサイトにアクセスして何らかの手続をしないと使えない機能がある。

スマホでマイナンバーカード申請ができるようになっているがスマホがない、使えないシニアが70歳代以上に多い。80歳代のシニアは固定電話しか使えない。スマホの使い方を学ぶ前に基礎の基礎を勉強しなければならない。

インターネットに繋がっていない自宅

インターネットに繋がっていないシニア宅が多い。その必要性を感じていないためである。インターネットがなくても生活が出来ている。ただ、社会の仕組みからどんどんかけ離れて行く。現金が使えない時代が来るかもしれない。全てがスマホによる電子決済になったら、時代に取り残されたシニアは困る。

シニアはインターネットが社会でどのように組み込まれているかが分からない。パソコンを知っていてもインターネット接続が何を意味するかも知らない。パソコンをインターネッツに接続するにはテレビのようにスイッチを入れれば良いというわけには行かない。専門分野と知識が必要なため、業者に丸投げになる。

Wi-Fiルーター経由でパソコンやスマホがつながるということも分からない。Wi-Fi経由でインターネットに接続すればスマホのデータ容量を気にせずに好きなだけ使えるということも知らない。インターネットは既に社会のインフラとして根付いている。シニアはその認識も感じていない。

社会で働くにしてもインターネットのインフラ上で物事が展開されていることを理解していないとブラックボックスの中で仕事をしていることになる。インターネットの基礎知識はシニア人材に取って必須になる。

パソコンとスマホが社会との情報窓口

7月の初めに神奈川県民割で2泊3日のドライブ旅行に出かける。ホテルの予約で県民割対象になっているホテルを探すのだが、全てがウエブですることになる。パソコンでもスマホでも出来るのだが、それが出来ないシニアはどうするのだろうか。

7月前半には県民割の対象が全国に広がる。こうなると国内旅行をしたいシニアは急増する。どのような手続きをすれば全国割を使えるのか調べる必要がある。その詳細情報は全てホームページで発信されるのでパソコンやスマホが使えないと苦労する。

全国割が使えるホテルには予算配分がある。早く手配をしないと全国割対象の部屋を予約できない。パソコンやスマホを上手く使えれば、その問題は簡単に解決できる。それが出来ないシニアは旅行会社に電話して情報収集することになる。

社会はホームページ、パソコン、スマホでインターネットを駆使する構造になっている。それをシニアは理解できていない。シニアにとって仕事探しもホームページ、パソコン、スマホの窓口経由で行うのが当たり前になる。応募もそうなる。

誰も教えてくれない、どこで学べば良いか分からない

パソコンを学ぶにはパソコンスクールに行けば良いと思うかもしれないが、多くのパソコン教室は特定のアプリケーションソフトを教えることに特化している。パソコンの基礎や仕組みを教える教室は少ない。働く目的でIT教育を探すならば、公共職業訓練のプログラムに参加したほうが良い。例えば、神奈川県では神奈川労働局のハロートレーニングで無料でPC基礎を学べる講座がある。

スマホの使い方についてはドコモショップで無料スマホ教室が開催されている。AUも同様な教室がある。どちらも無料で使えるのでスマホの知識と使い方を学びたいシニアは最寄りのドコモやAUショップを探してみることである。

シニア人材を雇用したくてもIT機器が使えない

自宅近くにあるスーパーマーケットでスタッフ募集のチラシが貼られていた。スーパーには自動化された最新式のレジがある。レジスタッフはバーコードリーダーでお客さんが購入する商品を読み取り、カゴに入れるだけである。作業としては一見簡単に見える。

問題はレジにトラブルが発生した時に自分で解決できる案件かどうかがわからないことである。例えば、バーコードリーダーで商品が読み取れないときなど。原因がバーコードリーダーを使う設定にレジをしていなかったためということが分かれば問題はすぐに解決する。

IT機器について知識や取扱に不安を覚えるシニアはスーパーマーケットのスタッフとして働けないかもしれない。全ては経験値があれば問題に対処できるのだが、その領域に達するまでシニアは苦労することになる。仕組みが理解できれば、不安も和らぐ。

シニア人材はIT機器についての情報武装をする必要がある。知識とトレーニングが十分あれば、仕事は見つかりやすい。

結論

情報端末ツールが社会活動で必須になる。パソコン、スマホとアプリの知識と仕組み、その使い方を知らないシニアは労働作業の仕組みの中にはめ込まれなくなる。当たり前のように使うツールが使えないのでは仕事ができない。そんな社会が形成されている。

65歳になったら働きたいシニア層を対象に労働に必要な情報教育を義務化すべきである。ハローワークでシニア向け情報教育講座を常時開催する。仕事が欲しければ、パソコンやスマホの使い方と知識を学ぶ情報教育を受けることにする。

銀行は明細書をすべてウエブで確認するようスマホのアプリを導入してもらう仕組みにした。スマホを持っていないシニア、使い方を知らないシニアは完全に取り残された。仕方なく、お金を支払って上に印刷された明細書を郵送となる。シニア層に時代のツールの使い方を教える機会を義務化するべきである。