病気や転倒で寢ったきりになる老人の世話は周りの人に迷惑をかけるだけでなく、介護や医療費の面でも負担が大きい。寝たっきりの生活になると今までの人生がウソのように幸せな人生に思えるようになる。誰もが寝たっきりの余生を送りたくないと望み、早く死にたいと思う。元気な老人ほど介護ベッド生活は苦痛になる。
元気で健康な年齢の人は自分の両親の介護を経験して寝たっきりの余生はとても辛いと感じているはず。自分の力で身動きができない生活、トイレにもいけない生活、ベッドの中でじっとしているだけの生活は牢獄生活よりも苦しい。
寝たっきりになる原因は、(1)脳卒中(全体の4分の1を占める)、(2)骨折、骨粗しょう症、(3)認知症である。脳卒中や認知症は防ぎようがないが、骨折や骨粗しょう症のような整形外科的な原因ならば、予防ができる。
転倒で骨折、寢ったきり生活
高齢者が転倒で骨折をすると寝たっきりの生活に陥るリスクが高くなる。転倒して怪我をしない生活を送るには足だけでなく体全体の筋力を維持強化するしかない。この事は高齢者の間で常識になっているのだが体の筋力を鍛え続ける運動習慣を身につけられない老人が多い。毎日歩くこともしないで楽な生活を送ってしまい、気がついた時はもう遅いという結末である。
筋肉を鍛える運動を続けると骨の強度も強化される。高齢者にとって筋肉と骨を強化する食事と運動は必須になっている。筋肉は体を定期的に動かしているだけで維持ができるが加齢による衰えは防げない。それを防ぐには筋肉を増やす筋トレとビタミン、ミネラル、タンパク質が多い食事がどうしても必要になる。筋肉は骨と二人三脚になっている。骨を直接鍛えることは難しいが筋肉を鍛えることは出来る。
筋トレの効用は
- 転倒した時に腕の力があれば衝撃を和らげられ、骨折を防げる
- 体全体の筋力が強化されるとバランスを崩した時に体の状態を維持できるようになる
- 倒れそうなったときの踏ん張れる足の力が身につく
高齢者が寝たっきりの生活に入ると若者以上に足の筋肉が衰えてしまう。一度、足の筋肉が衰えてしまうと元に戻すのが非常に難しくなる。時間と苦痛を伴うので不自由な生活が続く。
そのため、寝たっきりにならないようにすることが最大のポイントになる。回復力が老人と若者ではそうとう違う。70歳代、80歳代の老人が寝たっきりに成ったら自分の足で歩くことが出来るまで1年以上の時間がかかる。その間、家族や介護ヘルパーの支援、そして、老健などの施設でリハビリに励まなければならない。
高齢者の筋トレは転倒防止を意識して足の筋肉強化をすることが一番大切である。筋トレの習慣は根気がいる。毎日意識して少しづつやることで習慣になる。筋肉は段階を追って徐々に増えていく。筋トレをして筋肉痛を味わうことが筋肉に必要な刺激が伝わった効果を示す。筋肉痛がない筋トレは負荷が少ないことになる。
筋肉は負荷に応じて増えていく。段階的に負荷を増やしていく筋トレが体の筋肉量を増やす。高齢者の筋トレ、最初の一歩をどうするべきか。
最初の一歩の筋トレ
70歳過ぎの高齢者が筋トレを始めるときは焦らないで長期計画を立てる。1年単位で目標設定をすることである。
- 1年目:運動習慣を身につけるための筋トレ
- 2年目:食事の栄養バランスを意識した筋トレ
- 3年目:足の筋肉増強を意識した筋トレ
多くの高齢者は筋トレに挑戦するのだが三日坊主になる。筋トレをした翌日に体調不良を起こして筋トレが続かなくなる。筋トレは最初から頑張らないことから始まる。いつもよりもちょっと負荷が感じる程度で始めて翌日に体調不良を起こさせない。
シニアの体調不良の原因は急な筋トレの負荷を体が十分に回復できないためである。私は長年筋トレをしているが、筋トレの翌日は体調が少しおかしく感じる。時には風邪の前兆のようなくしゃみをすることがある。そんなときは風邪薬をすぐに飲むことにしている。
筋トレ後の体調不良を治すには
- 体を休めること。軽いストレッチ運動をして、水分補充を十分にする。ビタミンB群を取る。
- タンパク質多めの食事をする。
- 公園などを散歩しながら深い深呼吸をする。
2日目、3日目頃には体調が戻るはず。シニアが筋トレを始めるときに忘れがちな事は食事の栄養バランスである。シニアが不足しているミネラル、ビタミン、そして、筋肉を作るタンパク質を毎食多めに摂取することである。
食事の量は筋トレを始めれば自然と増えてくるので食欲に応じて増やしていけば良い。シニアの理想的なBMI数値は21.5~24.9。ちょっと太っている感じがちょうど良い。
弱くなった足の筋肉、何とか元に戻したい
参考までに私が日常的にやっている足の運動を紹介したい。いつも、ランチ後にやっている。多めのランチを食べると血液に余分な糖分が増えて眠くさせるのでその糖分を運動で消化する目的で行っている。
- スロースクワット運動 10回
- ジャンプスクワット運動 10回x3セット
- スローワイドスクワット運動 10回
- 腿上げ 左右 25回
私のスクワット運動は自重を使った負荷の高いスクワットになる。初心者は普通のスクワット運動をしてください。回数は1日10回から始めて慣れてきたら1セットの回数を増やすか、セット数を増やす。効果はすぐに出ないので3ヶ月単位で足の筋力テストをやってみると効果が数字に出てくる。
スクワットが続かないシニアは腿上げ運動だけでもやり続けてください。
結論
筋トレの運動習慣で転倒しない体力を身につけることである。体力と筋力の低下が自宅内でのつまずきを誘い、転倒させる。店頭で骨折すれば寢ったきり生活になる。寝たっきりの生活は体の筋肉をますます減らす。老人が失った筋肉を回復させるには普通の人以上の筋トレと時間が必要になる。