新幹線で焼身自殺をした71歳の高齢者は、自殺の理由が年金では食べて生きないというが本当にそうであったのだろうか。もしかして、親しい仲間や友人、または、相談できる人が近くにいなかったため焼身自殺に追い込まれたのではないだろうか。そんな噂がある。
自殺をする人の多くは、孤独の世界で自分自身を責めている。一方で誰かに助けてもらいたいと願っている。ある人がこんな事を書いていた。富士山に自殺の名所がある。その場所で自殺防止のパトロールをしている人はどのようにして自殺防止をしているかと聞いたそうだ。
「お~い、大丈夫か?」と一声かけてあげると自殺防止が出来るという。声かけだけで自殺したい人が自殺を止めるという。
一人で孤独なシニアに声がけを!
70歳、80歳、90歳ぐらいになると周りから知人、友人が他界していく。いつも会話をして仲良くしていた人が突然いなくなる。配偶者が他界すると同じようにシニアの精神状態に酷く影響する。身近で知っている人がいなくなると孤独になる。
積極的に新しい友達を作ろうとするシニアはまだ助かるが、社交性に乏しく内向的な高齢者は外出が少なくなり、人との接触がまれになる。自分が作り出した孤独の世界に入り込む。
会話のない世界は辛い
孤独になる前に一人で生活している高齢者を他の高齢者とつなげる機会を提供すれば今回のような自殺は起きなかったかもしれない。会話をする相手がいるだけで精神的な問題を打ち明けることが出来るし、お互い助け合える。
問題は、シニアが積極的に知らない人に話しかけられるかどうかだ。これには個人差がある。性格にも寄る。
高齢化した団地の住民が毎日一人住まいの老人に声かけをしているという。この活動は、一人で寂しい高齢者にとって命綱のような物ではないか。もし、寂しそうな顔をしてぼーっとしている高齢者を見かけたら一声かけてあげる努力を私たちはする必要があると思う。ひょっとしたら、自殺防止に貢献できるかもしれない。
知らない高齢者に一声挨拶をする
知らない人に挨拶をする習慣がある人は幸せである。多くの人はそのような習慣を身に着けていない。都会と田舎という違いもある。人が多い都会では挨拶をするという行為がTPOに合わせて行うしか無い。田舎では人が多くないので知らない人でも地元の人は気軽に挨拶や声がけができてしまう。
私の住む横浜郊外では外出時に出会う老人たちが多い。駅に行く通りに近くに小さな公園と池がある。そこに一人寂しく池を眺めている老人がいる。朝の通勤の途中に必ず見かける老人である。私は高校生時代に学校で通行人たちに必ず挨拶をする教育を受けた。その習慣は学園内という範囲でしか発揮できなかった。学園外では恥ずかしいという感情で出来ないのである。
私が住む大規模集合住宅に住む人達であれば、すれ違いに挨拶をする機会が多いし、恥ずかしさという感情は生まれない。そんな私が公園で一人寂しく行けを眺めている老人に声がけをしたことがない。声をかけたら迷惑に感じないだろうかという気持ちがある。
66歳になる初老の私だが、一人でいる時間が多い。一人と言ってもカフェで仕事をしているので寂しさは感じない。ただ、会話や交流がないだけだ。カフェでシニア男性が一人、コーヒーを飲みながら暇をつぶしている。ここが米国のカフェであれば、隣の人が気軽に話しかける。日本ではそれが気軽にできない人が多い。
一人でいるシニアは自分で知らない人に話しかけられない人が多い。朝のカフェで隣の人に「おはよう!」と挨拶をしたら、どんな印象を与え、反応するだろうか。米国のカフェでは目があった知らない人にGood Morningと挨拶をすれば、必ず、Good Morningと挨拶を返してくれる。
そのような習慣を意識して身に着けない限り、孤独な老人を救う機会を増やしていけないのではないか。
声掛けでシニアに新しい出会いの機会を!
田舎に旅行した時にローカルなバスに乗るとシニアが多い。皆さん、和やかで私のような見知らぬ人に話しかけてくる。「おまえさん、どこから来たんだべ?」これから何処に行きたいのかなどと気楽に聞いてくる。こんな声かけで私は凄く喜びを感じる。旅は一人だと孤独だ。孤独だから非日常的な出会いが嬉しい。知らない人たちと会話することが面白いし、楽しい。
東京や横浜などでは人が多すぎる。寂しい群衆の世界が成り立っている。シニアは、一人で孤独な生活から逃げ出すために人が多い場所に出てくる。デパートの休憩用の椅子に座りながら時間をつぶしたり、目的無く商店街を歩いたりしている。シニアは新しい出会いを求めている。
特にシニアの女性はお喋りをする相手を求めている。シニア男性よりもシニア女性のほうが気軽に知らない人に話しかけやすい傾向がある。ちょっとしたおしゃベルする機会を作ることでシニア女性は生き返る。おしゃべりが孤独から生まれくるストレスを解消するからだ。
シニア男性は自分から会話を始められる機会さえ与えれば、おしゃべりを始める人が多い。声掛けや挨拶で会話が始まる機会が生まれる。
結論
孤独なシニアは誰かと会話をする機会を求めている。老いてくると周りから同世代の知人、友人が消えていく。長生きをすればするほど孤独の世界に引き込まれる。そんな環境から逃げ出したいシニアは頻繁に外出をする。シニア女性が毎日デパートに出かける理由がそこにある。買い物ではなく、自分の近くに誰かがいてほしいという気持ちと安心感である。
孤独なシニアに救いの手を伸ばすならば、知らない老人であっても一声挨拶をしてみることだ。声がけだけでも良い。それが突破口になって新しい会話が始まる。孤独なシニアに必要なものは他の人との会話である。シニアの孤独死を防ぐならば、できるだけ多くの人に孤独そうに見えるシニアに挨拶や声がけをすることである。