60歳を過ぎると会社で働く機会が少なくなる。働く内容も自分たちの経験や知識が生きない単純労働になりがちである。今までの経験や知識を活かして働く仕事場を探しているシニアが大勢増えてくる。
しかし、そのようなニーズを満たしてくれる仕事が民間企業からは生まれてこない。政府機関は、NPOでその受け皿を作ろうとしていたり、シニア起業を支援したりしているがそれだけでは受け皿に成らない。
ならば、60歳過ぎのシニアは何をすれば良いのか。
シニアの仕事をNPOで作る
私が所属するNPO団体で「シニアのためのシニアの仕事を創出する研究会」を提案した。幸運にも同じような考えを持ったシニアがいたので有志を集めて勉強会をやろうということになった。今月12日に第一回目の打ち合わせがある。7名の有志が集まって考え方や意見の調整をする。
年金だけでは生活が出来ない時代がやって来る!
このNPO団体の平均年齢が72歳ぐらいだ。若いシニアを増やさないと10年後には、組織が成り立たなくなる。70歳代のシニアは、高度成長期で頑張って日本の成長を支援してきた団塊の世代である。年金で老後の生活が出来る世代である。その世代が中心になってこのNPO団体は運営ができている。
10年後は、現在、60歳代の会員が中心にNPOを運営することになるが、年金だけでは生活が出来ない世代である。ここで問題が生まれる。
生活で困らない収入を稼げる仕事を作る
NPOでの仕事は民間企業と違って仕事に対する報酬が少ない。そのため足りない年金を補填するような収入になる。ボランティア精神が基本であるからだ。今のNPOの運営体制では現在65歳以下のシニアを増やすことが難しい。その理由はすべて報酬額にある。多くのNPO会員は年金を受け取り始める65歳以降に年金プラスの収入を期待して入会してくる。
60歳代の新会員を増やさないとNPO団体の存続も難しくなる。そのためには定年退職後に再就職する選択肢に入るぐらいの収入が得られる仕組みを作らねばならない。現在、そのような仕組みができていない。
この認識で危機感を抱いているNPOの有志がいたので今回の勉強会となった。私としては月額として20万円以上を稼ぐことが可能になる新しいシニアの仕事を実現したいと思っている。
シニアだけでは難しいのでエネルギーと行動力がある若者と一緒にプロジェクトを組んで収入シェアモデルで新しい仕事を作っていきたい。若者のやりたい事を補佐する役割としてシニアを活用する仕組みが必要になる。例えば、ベンチャー企業に経験豊かなシニア2名を新卒1名の給与(20万円)で派遣する。シニア1名に月2社の派遣コンサルティングができれば、月額20万円ぐらいの収入が可能になる。
ベンチャー企業にとっては特定分野で経験がある人材2名の人手が手に入ることになる。このNPO団体はビジネス経験豊富なアクティブシニアが220名いる。その人的リソースをつかって若者たちのプロジェクトを支援する仕事が可能になる。
営業支援、経営支援ができるシニア人材サービス
220名のシニア会員が活動しているNPO団体は大手企業退職OBで構成されている。そのため、多くの企業に人脈を持っている人が多い。人脈をたくさん持っているシニアは営業支援で役に立つ。特定業界出身のシニアならば、その業界でビジネスを始めるベンチャー企業を営業で支援できる。ベンチャー企業の弱点は営業力であるからだ。
役職経験者が多いというメリットも強みになる。ベンチャー企業が急成長すると社員を管理し効率の良い組織作りができなくなる。短期間で社員が10人から100人増えれば社員教育と管理面で穴が開く。その時、大企業で社員の管理と教育をしてきたシニアがいれば組織運営面で役に立つ。
ベンチャー企業から中小企業で求められるものは営業支援と経営支援の2つである。経験豊かなシニア一人に2社のコンサルティングサービスを提供すれば、NPOの事業として魅力ある売上を築く基盤になる。60歳で定年退職をするシニアは低金額で再雇用されるか、転職するか、NPOの事業に参画するかの選択肢を持つことが出来る。
NPOにとっては60歳代のシニア人材をリクルートできる組織になる。シニアにとって魅力的な仕事が作られれば自然とシニア人材はNPOに集まってくる。
結論
NPO団体は60歳定年退職するシニアに魅力的な仕事を提供する仕組みを作るべきである。多くのシニアは65歳を過ぎた時に会社を卒業し仕事も失う。そんなシニア人材に生活費で困らない金額の仕事を提供できれば、若いシニアたちが集まってくる。営業支援と経営支援の仕事はビジネス経験豊かなシニアにとって参入しやすいサービス分野である。