10年先の世界は、還暦を過ぎたシニアが活躍する社会になっているだろう。

ただ、活躍できるシニアと出来ないシニアが生まれる格差社会になる。この10年の内に若者を対象とした高等教育が崩れる。現在の大学の数は、少子高齢化社会を反映していない。人気が無い大学は倒産するか、教育対象者を若者からシニアに鞍替えするしかない。

問題は、還暦を過ぎたシニアが求める知識を大学側が提供できるかどうかだ。シニアの仕事に密着した実利を得られるスキルを学べる大学でないとダメだろう。若者対象の純粋な教養と学問ではシニアのニーズを満足させない。

第二の人生とキャリアを求めるシニアは増えてくる。社会はそのニーズを上手く消化できていない。多くの会社は60歳から65歳までシニアを再雇用して安い労働力として使っている。シニアのやる気を潰している。積極的に老後の生活を生きたいと思っているシニアは新しい知識と社会でのつながりを求める。

時代の変化が激しいので今までの知識や経験が生活面で生きてこない場面が増える。コロナ禍でウエブ会議が当たり前になっているが、ウエブ会議が何であるかが分からない、経験がないシニアが多い。中小企業の老いた経営者はウエブ会議、ビデオ会議、オンライン会議が同じことであることを知らない。

時代に追いつくためには学び直しが必須だ。

学び直しをしたいシニアの選択肢

60歳を過ぎたシニアの知識の半分は、時代遅れになっていると言って過信ではない。学生時代、会社員時代でスマホとインターネット社会について学べていない。人工知能とロボット、そして、セキュリティーの分野も良く分からないシニアが多いはずだ。私を含めて世の中には未経験の技術と製品が溢れている。

私の会社員時代は、情報機器と言ったらパソコンしかなかった。それも、Windows OSとApple iOSの二つが主流であった。今はどうか。Android、Chrome OSの情報端末が広まっている。私自身、今までWindows OSのパソコンをメインに使ってきたが、これからはChrome OSで稼働するChromebookパソコンをメインに使う事になる。

何故か?

Chromebookパソコンの利点は、パソコンが潰れたり、マルウエアに汚染されたり、紛失したりしても元の作業環境を新しいChromebookパソコンで直ぐに復元できる点だ。Chromebookパソコンのハードウエアに依存しない情報端末である。GoogleのGmailアドレスとそのパスワードさえあれば、どのChromebookパソコンであってもログインして自分の環境を再現できる

もし、Chromebookパソコンを3台所有していると仮定した場合、1台を外出専用モバイル端末として使い、2台目を自宅専用機として使い、3台目をバックアップ端末機として使う。この3台に同時に同じGmailアドレスとパスワードにログインして同じ作業環境で仕事が出来る。

WindowsやAppleのパソコンではこれが出来ない。Chromebookパソコンは、現在、米国の教育現場で広く使われている。最近は、一般ビジネス用途でも使えるビジネスマシン用のモデルも販売されている。シリコンバレー、サンノゼにあるGoogle本社を訪問して見れば、Google社員が手にして持ち歩いている端末がGoogle PixleというChromebookパソコンであることに気が付くはずだ。

60歳を過ぎた時点で古い頭を新しい頭に取り換える時間が必要になる。シニアであるメリットは、自由に使える時間だ。多くのシニアは、自由過ぎる時間の使い方に戸惑う。戸惑っているシニアは、是非、学び直しに時間を投資してほしい!

選択1.海外の大学と生活環境で異文化を学ぶ(経済的余裕があるシニア向け)

電車の中で隣に座っている人を見たら、日本人ではなかったという経験をした人が増えている。日本にやってくる外国人が急増している。外国人を通して異文化に接する機会が増えてきた。日本に滞在する主な外国人は、中国人、韓国人、ベトナム人、台湾人、ブラジル人、フィリピン人、タイ人、アメリカ人、ヨーロッパ人などである。

短期的滞在の観光客から数年単位で滞在する外国人労働者がますます私たちの生活の中で増えてくる。コンビニ店に行けば、日本人でない外国人労働者が働いている。建設現場もそうだ。居酒屋もそうだ。ファストフード店もそうだ。これから介護施設にも増えてくる。

グローバル化の波が身近に感じられる社会がやってきている。グローバル化の世界で生きて行くには、一度、自分自身を日本から引き離した社会で見直す必要がある。日本人の常識や価値観が通じない社会で異文化の生活を送ることで今までと違った感じ方と考え方を体で学べるようになる。

ヨーロッパの大学は、その国の言語能力がある水準をパスすれば授業料は無料で大学に通える。フランスやスイスの大学などはそうだ。ヨーロッパには無料で大学に通える国が多い。その国の言葉さえ理解できればの大前提だが。

日本の大学と違った教育環境で高等教育を受ける体験も勉強になる。私は学生時代に米国の大学で教育を受けた。日本の高等教育とは違った教え方で学問を学んだ。得る物が非常に多かった。時間とお金に余裕があるシニアは、海外の大学に通いながら異文化の社会で生活をすることで新しい知識と人生観を学べるようになる。

選択2.若者たちと交流が出来るシェアハウスに滞在しながら自分のテーマを独学する

シニアになると自分の子供以外の若者たちとふれあい交流する機会が無くなる。若者たちの価値観が理解できなくなる。1か月でも3か月でも良いから自宅での生活を離れて国内ロングバケーションを若者たちと交流が出来るシェアハウスで体験する。ただ、滞在するだけでは変のおじいさんになるので自分でテーマを作り独学をする。

シェアハウスの情報を集めたポータルサイトがある。こちらに掲載されているシェアハウスを何件か見て見れば、シェアハウスがなんであるかが理解できる。自分の好み、場所、価格、部屋、住民などの情報を読みながら決めれが良い。

シェアハウスは、あくまでも、共同生活の場である。何もしないでシェアハウスにいるのも良いが、自分で何か目的を持って独学をするほうがもっと良い。ノートブックパソコンを持ってインターネットの教育サービスを活用するのも一つの手段だ。こんな無料で学べるオンライン大学講座サービスがドコモの子会社から提供されている。

自分の興味にあった講座を履修して途中疲れたら、シェアハウス周辺の探索に出かける。または、シェアハウスにいる住民と雑談をする。夫婦二人で1か月ぐらい自由な生活を送っても面白いかもしれない。1か月間の国内ロングバケーションは、好きな場所で若者たちとの共同生活をすることで味わえない非日常体験をする事が出来る。

新鮮な刺激は古ぼけた脳をシャッフルさせて新しい知識を体験から学ばせてくれる。

選択3.起業する若者と一緒に無報酬でビジネスを作り出す

シニアが自分でビジネスを作り出すのには、準備期間が必要だ。若者は失敗してもやり直す命の時間があるが、シニアにはそれが無い。それ故、事前に起業経験をする必要がある。自分の資本でやる前に他人の資本でビジネス経験を体験したほうが良い。但し、無報酬で体験だけを報酬とする。

若者は人生やビジネス経験が少ないが、面白いアイデアと現代のニーズをつかんでいる場合が多い。シニアが気が付かないニーズを若者から学べる。スタートアップのセミナーやイベントに顔を出して面白そうなビジネスモデルで起業を準備している若者を探す。自分が求めるビジネス経験と引き換えに無報酬で自分の知識や経験を提供するという契約(了解を取る)をする。

二人で若者が始めたいビジネスを立ち上げる準備をする。取り合えず、1年間という期限を決めてやれるだけやって見る。若者の運転資金が切れ始めた時点で辞める。そんな取り決めで協力する。若者は無償の労働力と人生経験豊かなシニアの協力が得られる。損はしないはずだ。

ビジネスを一から立ち上げる経験は非常に貴重な経験になる。多くの試みは失敗するが、失敗経験こそが役に立つ。その失敗経験を自分が将来始めるビジネスに反映できるからだ。自分に経済的な余裕があるならば、一人の若者だけでなく複数人の若者のビジネスの立ち上げを手伝った方がより多くの起業経験を積める。

若者の起業を支援しながら自分のビジネスを練り直す機会も出来る。自分が考えていなかったような落とし穴も見えてくる。シニアの起業インターンのような感じだ。起業したい若者が集まる場所は、検索すれば沢山出てくる。探してみて下さい。

選択4.主婦業をする

違った経験をする手身近な方法が妻の家事を習う事ではないか。主夫になる勉強をする。今までずっと妻が自分を家庭から支援してきた苦労を今度は自分で味わってみる。仕事や社会の事が分かっても家の中に何がどこにあるか分かっていない主人がほとんどだ。私もその一人である。妻から学ぶべきことが沢山ある。

奥さんと相談して家事業のイロハを学ぶ講座リストを作る。例えば、

  1. 掃除
  2. 洗濯
  3. 買い物
  4. アイロンがけ
  5. 料理
  6. 皿洗いとかたずけ
  7. ゴミ出し

などと色々な家事があるはずだ。直ぐに出来る事と時間をかけて学ぶものがある。妻を教師にして出来る事から学んで行く。最終的に妻が介護で自宅を離れた時に自分一人で家事が出来るようにする事を目標にする。

私は、食事の後かたずけと皿洗いをずっとやっているのだが、洗濯はやっていない。自宅にある洗濯機の操作も分からないほど洗濯を自分でしていない。料理もそうだ。自分が出来る料理は至って簡単な物しかない。料理は、先生がそばにいると学びやすい。ゴミ出しは、一番簡単な仕事だが、ゴミ出し日を覚えておかないと間違ったゴミを出してしまう。

妻に代わって主婦業をやって見ると妻の有難みを心から感じられるようになるのではないかと想像している。

選択5.自分に必要なものだけを重点的に、都合の良い時間に学べる環境を作る

何を一番学びたいかを見極める。自分の人生でどのような経験が欠けているのかを考えて見る。または、どのような経験がこれからの人生で役に立つかを探してみる。やるべきリスト、経験したいリスト、極めたいリストなどを作成して一つずつ重点的に時間を投資する。

独学で自分の意志とアクションから新しい知識と経験を身に付けて行く。自分にとって一番快適な場所と時間帯を選んで定期的に学び始める。

私は、ノマドワーカーとしてスタバのカフェを仕事場として使っている。スタバのコーヒーは決して美味しいコーヒーではない。コーヒーの味でスタバを選んでいない。インターネットの仕事をする上で環境が良いからだ。いつも良いわけではないが、長居をしても追い出されない点が一番良い。

受け身的な学びよりも積極的に行動を起こす学びの方が面白いし、得るものが多い。

結論

60歳を過ぎた時点で古い頭を新しい頭に取り換える時間が必要になる。時代の変化が激しい。コロナ禍で新しい生活様式が当たり前になった。シニアは積極的に新しい情報、技術、スキル、体験を求める行動をしなければならない。人に直接会わないで仕事をするテレワーク、リモートワーク、在宅ワークが社会で認知され始めた。若者たちはその経験から都会でコロナ感染に怯えながら通勤電車に乗る必要性を感じなくなっている。地方に移住してテレワークをすれば仕事はできると分かった。

そんな時代の変化から新しい事をシニアは学び直さねばならない。色々な選択肢がある。自分にあった選択肢でどのような学び直しが出来るかを検討して見る価値がある。