50歳代、60歳代で会社を離職した時、誰もが自分の価値を再考する。大企業を離職した人は、今までのキャリががそのまま今の自分の価値を示すと思い込んでいる。会社組織から離れた自分は就活の大学4年生と何か違いがあるのだろうかと考える。共通なのは就職できていないということ。違う点は、会社組織で働いた経験があるかないかである。

50歳代、60歳代で会社を離職した時

次にやりたい事が無い状態で会社をリストラされたり、定年退職したりした中高年はこう自問してみる必要がある。

  1. 何をやりたいのか?
  2. 何に興味を持っているのか?
  3. 何が得意なのか?

自分のリソース(スキル、知識、経験、興味、学習意欲)で仕事開拓

60歳を過ぎたシニアは、仕事を探している。定年退職をしたシニア、リストラにあった高齢者、何らかの理由で会社から解雇された中高年。生きて行くために仕事を探している。

再雇用を前提にしたモノの考え方で自分の価値を雇用先に売り込もうとする60歳。シニアの価値観と雇用先の価値観でズレが生じているのに気がついていない。雇用する会社側は今あなたが出来る事と会社が求めていることを比較する。過去の会社の業務履歴は参考程度。他社で経験した業務歴がそのまま応募先の会社で使えるとは会社側は思っていない。

自分の価値を伝えられる労働市場を探す

60歳代のシニアを一人雇うならば、20歳代の若者を二人雇用する方が望ましいと考える経営者が多い。雑多な社会経験を味わった大人よりも白紙に近い若者のほうが教育しやすいからだ。この事は経営者であれば誰もが思う。

時代は少子高齢化で労働者不足に向かっている。飲食業界や建築・土建業界では年齢よりも人手が欲しいと探している。介護業界もそうである。自分たちのビジネスに都合が良い労働者を探している。誰もが嫌がる使い捨てにされる労働、危険が伴う労働、動かす手さえあれば良い簡単な労働

職を失った中高年はニーズが高い人手不足労働市場でしか仕事を見つけられない場合が多い。自分が持っているスキルや経験がそのまま生きる職場を探す能力があれば、第二のキャリアを始められる。自分の市場を探せるかどうかの問題である。目に見えない労働市場を嗅ぎ出して探し出す能力が問われる。

新しい職場を探す時に正攻法ではなく創造的な方法を考えるべきである。常識的な職の探し方は誰もがやっている。自分に合った職場は自分独自のやり方で探した方が見つかりやすい。

ヒントは自問して見つける

職探しで役に立つことは何か。自分のリソースを求めている会社がどこにあるかが分かれば、アプローチが出来る。起業と同じで自分のお客がどこにいるかを見つけないと営業はできない。自分を営業する、売り込める会社を探すにはどうしたら良いか。ここが出発点になる。ヒントは下記の質問に答えて見つけられる。

  1. 得意な事は何か?
  2. 何をやりたいのか?
  3. 何に興味を持っているのか?
  4. 何を学んで生かしたいのか?
  5. もう一人の冷静な自分にどうすれば良いかを聞いてみる

自分の棚卸、会社に頼るのではなく自分に頼る

朝日テレビの番組「就活家族」を夫婦で毎週見ていた。主人公(大手鉄鋼メーカー・日本鉄鋼金属で人事部長を務める富川洋輔)は、役員職に昇格する予定であったがリストラ業務の中で自分に好意を寄せる女性社員によって会社を退職することになる。

退職して新しい職先を探すのだが、大企業のラベルが剥がれた本当の自分の姿を目の当たりにする。過去の業績が何も評価されない。大企業の管理職でさえ難しい再就職ならば、中小企業の社員の再就職はもっと難しい。それが、リストラや定年退職のシニアであれば、ますます、大変になる。

会社員ならば誰もが経験する定年退職。会社で長年経験したスキルと知識、そして、業務経験が一人で生きて行く上で活用できるようになっていれば何も苦労しない。理想はシニア起業である。雇用される人生から自分を雇用する新しい人生にシフトする。中高年は年齢が足を引っ張る。再雇用されても雇い止めの年齢が必ずやってくる。

新しいスキルを学ぶ気力

再就職先を探しながら専門学校で新しいスキルや知識を習得するというやり方がある。ただ、気力と情熱が問われる。IT業界はコーディングが出来る人材を求めている。セキュリティーに詳しい人材も探している。10年先も需要がある分野で自分を再学習させる。中高年は肉体労働に向かないので知的生産労働の職を探すことになる。

自分のリソース+新しい分野の専門的なスキルと知識で今までアプローチできなかった労働市場にアプローチできる。専門学校であれば、就職先も斡旋してくれる。心配なのはゼロからのスタートであるため気力と強い意志が無いと続かない。新しいスキルや知識を専門学校で学ぶための予算を組むことである。

結論

自分のリソースからお金を産ませる仕組みを作る。そんなシニアは今の時代を生き延びられる。生き延びられると同時に生き甲斐も獲得することが出来る。リストラにあった中高年、定年退職後のシニアは自分のリソースからお金を産ませる仕組み作りの試行錯誤をしなければならない。

ヒントは自分に聞くことである。

私は何が得意で、何に興味を持っているか、何を学んで生かして行きたいか、自由になった時間をどう使いたいかなどを自問してみる。一つの方向性を見出したならば、同じベクトルで歩んでいる人たちが集まる場所に顔を出して相談してみることである。