お年寄りが何か新しいことをやろうとすると躓く。若い頃と違って新しいことをするための基本が出来ていない。スマホをいきなり使おうとしても初期設定のやり方が分からない。
最近の洗濯機を使って汚れた衣類を洗おうとしても基本操作が分からない。昔は、洗剤をいれて開始ボタンを押せばそれで終わりだった。今は、その前に色々と設定をしてからでないと上手く稼働してくれない。
シニアが新しい仕事をしようとすると時代にあった仕事のやり方ができないために新しいことを学ばなければならない状態に陥る。高齢者を雇用する上での問題になるのが時代にあったITツールを使いこなすスキルと経験が身に着けていないことにある。
時代が要求するITスキル、パソコン、スマホ、インターネットを身につける事が重要!
現役時代にシステムエンジニアであった方がスマホのアプリを開発する仕事は出来ない。いくらエンジニアの経験があっても時代に取り残された経験は使い物にならない。時代のニーズは、新しいITスキル、知識と経験を要求する。
特殊な経験やキャリア(経理、財務、翻訳など)があるシニアは、それらの仕事があればすぐに対応が出来るだろう。ただ、時代は全てIT化されているため、パソコンとインターネット操作の知識が要求される。近代的なITツールを上手く使えないと今までの経験を生かすことが出来ない仕事環境になっているからだ。
先日、私が所属するNPO団体の定例会でこんな出来事があった。
このNPOでは、活動資料を全てGoogle Apps.と呼ばれるサービスでデータ管理をしている。会員全員は、Gmailアドレスを使って定例会の連絡や活動のためのコミュニケーションを取っている。この試みは、もう、半年以上も経過しているのだがGoogle Apps.の画面にログインできない会員が多い。
毎週Google Apps.を使った操作方法の勉強会を開催しているのだが、簡単には学んでくれない。年寄りのメンバーには複雑に感じられるためか頭の中に浸透していっていないようだ。
このNPO団体では各グループ毎に毎月定例会が行われる。ITとその他の案件を取り扱うグループでは、率先してメンバー全員がこのGoogle Appsをグループ活動に活用していこうと言うことになった。勉強会を開催している担当者が活動資料を検索する方法を定例会でデモ説明していていたのだが、話している内容に頭が追いついていないというコメントがあり説明が中断してしまった。
Google Appsにあるホームページ作成機能を使って会員専用の情報ポータルサイトを作ってあるのだが、そのポータルサイトへのアクセス方法が分からないという状態である。NPOで用意したGoogle Appsのログイン画面にアクセスするURL情報がメール告知してもそのメールを見ていない、削除してしまう、見落としてしまうと言う人が多いので最初から躓いている。
ITの基礎知識がない、Googleのサービスを理解できていないシニアは、新しいことを学ばないとその恩恵を受けられないという現状である。
シニアは、知らないうちに大衆が普通に使っている三種の神器(スマホ、パソコン、インターネット)に取り残されてしまっている。会社組織を離れた大手企業のOBシニアは、管理職にいたために複雑なことは全て部下がやってくれた。そのために新しいツールを学ぶ機会を逸したのだ。
時代は、シニアに新しいITスキルを学んで仕事をしろと言っている!
このグループでは、新しいことを学ぼうとする意識が高まってきている。こんな状態の時に勉強会を開催すると新しいスキルが身につく。新しい知識を意欲的に身に付けようとする意識がシニアの中に高まらないと何度勉強会を開催しても頭に入っていかない。
この事例は、一つの例だが世の中で生まれている新しい仕事は普通の社会人が一般的に使い慣れたツールを扱えると言うことが前提になっている場合が多い。シニアは、新しい仕事を探す前にそんなツールが扱えるようにする。仕事が要求するITツールを理解して使えるようになるには、何を学ぶ必要があるかを明確にすることから始める。
時代が普通に要求する仕事のツールを学ぶことが全シニアの初めの第一歩ではないか。