中高年のリストラ、定年退職、会社倒産などで起業するしか生きて行く選択がない人たちが増えている。多くは、若くない。若者と違って何度も起業への挑戦が出来ない年齢になっている。挑戦が出来ても2回ぐらいだろう。1回失敗して2回目に挑戦するまで年月がかかる。失敗で生じた借金の返済と新規に始めるビジネスの運転資金の蓄えに時間がかかる。
私は、51歳の時に起業した。起業したビジネスは今も続いているが、新しいビジネスモデルに転換している。シニアがビジネスを始める時、私の助言が役に立つと思う。もし、私が若返って25歳で起業するならばこんなプランを立てて行う。
起業経験を生かすならば
25歳は社会人3年目。3年間会社組織でもまれると社会人としての一般雑学が身につく。会社組織で働くと言うことがどのようなことであるかを体で理解できる。学生時代のイメージと社会人になってからのイメージのギャップに驚く。世の中は雇用主が強く、雇用される会社員は弱い立場になると言うことを働きながら学ぶ。
寄らば大樹の陰的な考えで会社勤めをしようとする若者と雇用主になって自分の人生を切り開きたいという若者に分かれる。会社勤めは、不条理なことが多い。正論が通らないで感情が優先される。会社への帰属意識は団塊世代と比較してかなり下がっている。
起業する若者もシニアも形から入ろうとする
将来に不安を抱える若者やシニアは自分で起業する選択を考え始める。多くの若者やシニアは形から入ろうとする。会社設立の本を買って最初にやることが会社設立であると信じ込む。代表取締役社長の肩書きに憧れる。会社はお金を出せば誰にでも作れる。
初めて起業する人は自分が考えたビジネスモデルでお金がたくさん入ってくると信じ込んでいる。当たり前であるが、99.999%その期待は裏切られることを知らない。最初は誰もが失敗する。会社で雇用されてきた経験だけでは足りない。
雇用でのビジネス経験は起業において極一部の経験でしかない。足りない知識や経験が沢山ある。会社員が初めての起業で成功するのは幸運としか言いようがないほど難しい。
私の経験からくる起業のやり方
第一回目の起業
第一回目の起業への挑戦は、失敗経験を学ぶために起業するという目標にする。 今の自分に足りない知識や経験を見つけるための起業になる。会社設立手続きも全て自分の手で行う。行政書士などに依頼しない。出来るだけ手弁当で出来る事は全てやる。これをやらないと起業において知らない部分が生まれる。
最初の起業はテストマーケティングの要素が強い。本当に考え出したビジネスモデルでお金が稼げるのかどうかを検証する。テストマーケティングでは極力お金を掛けないのが鉄則である。ほとんどが上手くいかない。自分が描いた理想の世界で生まれたビジネスモデルである事に気がつく。もっと現実味があるビジネスモデルを考え出すためにこの失敗経験が生きる。
第一回目の起業への挑戦が失敗して貴重な体験をする。自分に欠けている知識と経験を補うためにそれらをOJTで学べる会社に若者は再就職する。給与をもらいながら第二回目の起業で必要になる運転資金を貯める。3年から5年ぐらいかかるだろう。その間に学べることを学び、新しいビジネスモデルをブラッシュアップする。シニアは手弁当で勉強するしかない。
第二回目の起業
第二回目の起業は会社に隠れて副業でお客を見つけ売り上げを少しでも良いから出しておく。既にお客がいて起業するという形を取る。年齢も30代になる。社会人として世の中のビジネス環境を十分理解できる経験を持つ。もう一度起業に挑戦してみたいという感情が強くなる。 ビジネスを興す上で何が重要なのかが見えている。
行きは良い良い帰りは怖い!のビジネスを前提に売り上げと資金繰りの計画を入念にビジネスプランに入れることになる。どのような状態になったら躊躇なくビジネスから撤退する強い意志が求められる。ビジネスの失敗で再度起業の挑戦が出来ないほどの深い傷(負債)を負わないためである。
一般的に1年間は売り上げがゼロでも生活と運転資金が続くお金を用意する必要がある。既にお客がいてある程度の売り上げがある状態で起業するならば、金銭的な負担は少ない。
個人事業主でビジネスを始める事
起業で上手くいくやり方は個人事業主でビジネスを始めるやり方である。株式会社にするメリットは売上が順調に1000万円以上になったらに会社設立を考える。これが一番コスト安であり、リスクが少ない起業ステップになる。シニアも若者もこの事を知らないで代表取締役社長の肩書きに溺れる。
新しいビジネスは人知れず生まれている。賢い人はビジネスを小さく始めて落し穴を埋めていく。未知の世界にある地雷を避けながら売り上げと人材を確保していく。急激な成長は失敗の元。若い社長は急激な成長を求める。一攫千金を夢見る。上場することが成功と思っている。そのためにベンチャーキャピタルの支援を受ける。
シニアが起業する時に注意すべきこと
シニアは若者と違って元気に働ける時間が短い。60歳、65歳で起業をするならば70歳になるまでに起業したビジネスで生活が出来るようにする必要がある。大きな失敗をして多額な負債を負う事はできない。若者は何度も失敗しながら自分の欠点を学び再挑戦が出来る時間がある。シニアには時間の制約があることを忘れないことである。
シニアは大きなビジネスを追わないこと。年金プラス小遣いビジネス程度を目標にして老後の生活に余裕を与えるようにすると良い。株式会社設立でないと始められないビジネスであるならば仕方がないが、そのような理由がない場合は個人事業主で始めるのが一番リスクが小さい。
1年試してビジネスの種が育たなければ、次の種を育てるプランを事前に用意して実行すること。ビジネスの種は最低でも3つ準備して挑戦ができる計画を立てる。
結論
もし、25歳の若者に戻ることが出来るならば今まで経験した起業経験をこんな風に活かしたい。会社に就職して3年間社会の仕組みを学ぶ。1回目の起業の挑戦をする。自分に足りない知識、スキル、技術、経験を見つけるために失敗を体験する起業である。起業のテストマーケティングである。
起業の失敗を経験して自分に足りないことを学び直す意味合いで再就職する。2回目の起業を目指して会社で給与をもらいながら勉強する。起業資金を貯める。欠けていた経験、知識、スキル、人脈を学びながらお金がかからない個人事業主からビジネスを始める。
シニアの起業も若者と共通する要素がある。最初の起業は失敗経験を得るためにする。失敗経験から次の挑戦を計画する。失敗は成功の基。