定年退職後に起業を考えているシニアは、やりたい事が有るシニアである。普通の定年退職者は、転職を先に考える。自分で人生のリスクを取らないで他人にぶら下がりたいからだ。仮に転職が出来ても時間の問題で職を失う。年齢制限で雇止めになる。それは分かり切ったことなのだが、自分でビジネスを起こすという考えがない。

雇止めにあっているシニアは、今度はパートやアルバイトに走る。こちらも時間の問題で仕事が少なくなり、最終的に無職になる。年齢から来る制約は大きい。

出来るだけ長く仕事をして老後を楽しみたい人ならば、起業が一番良い。自分でコントロールが出来るからだ。経営者から君はもう会社に来なくても良いと言われない。今度は、自分が経営者になる。経営者の世界は、従業員の世界と180度違う。自分がやったことがそのまま自分に帰ってくる世界だ。

起業にはやるべきステップがある

こんなビジネスモデルで起業が出来るのではないかと心底思って定年退職者は起業する。誰もが上手く行くと思い込んでいる。そうでないと起業する自信が生まれない。会社員の経験しかないシニアは、起業の成功、失敗の経験がない。起業する上で一番重要な事は、自分が思い描いていたビジネスモデルが実際の市場で機能するかどうかだ。

同じビジネスモデルで10人が同時に起業しても同じ結果にならない。多くは失敗する。失敗の原因は、過去に自分だけの力でお金を1円でも稼いだ経験が無いからだ。頭の中で考えたビジネスプランは、現実の世界を反映していない思い込みの要素で一杯だからだ。現実を知らないで始めるビジネスほど失敗する。

1.テストマーケティングをする

テストマーケティングを行う。頭の中で描いたビジネスモデルを実際の市場で試してみる。テストマーケティングをする期間(6か月から1年)を決めてそこで発生する予算を見積もって始める。

予算が尽きるか、期間が終わるかでいったんビジネスを止める。

多くの場合、売り上げゼロで終わる。1円でも売り上げを作りだせたならば、見込みがある。金額を見てなぜその売り上げの額しか稼げなかったかを分析する。足りなかった点を探し出し、改善点をビジネスモデルに加える。売り上げがゼロの場合は、原因を見つけて再度挑戦するかどうかを決める。別のビジネスモデルを考えたほうが良いという結論もありだ。

テストマーケティングで学ぶべきことは、頭の中で描いたビジネスモデルと現実の違いを理解してより現実の市場ニーズに近いビジネスモデルに修正する事である。

2.本番

テストマーケティングの段階で売り上げが出ているならば、本番の1年間で赤字にならないように運営する。初年度は、プラスマイナスゼロであれば次年度は黒字になる。そのため、生活費と運転資金を最低1年6か月分ぐらい用意する必要がある。退職金からそのぐらいの資金を用意する。

本番では、お客を探す活動に力を100%以上使う事だ。多くの起業家は、お客さんを初年度に見つけられなくて失敗している。テストマーケティングでお客さんになってくれた方から新しいお客さんを紹介してもらうのが一番良い。始めは人の紹介でお客が増えて行くからだ。自分で人脈を築きながら自分のビジネスをウエブで告知して行く。

自分のビジネスを告知する手段としてホームページは最低限必要だ。ホームページは自分で情報を発信が出来るCMSで製作する事だ。自社のホームページでターゲット客層が探している情報を定期的発信しないとお客は集められない。ブログ形式の記事で週1回情報を発信する。自分でページ作成が出来れば、お金は発生しない。そんなシステムのホームページにすべきだ。

ビジネスを始める時に株式会社を設立して始めるシニアが多いが私は勧めない。私が勧めるのは、合同会社の設立だ。会社組織の登記でお金が6万円から10万円程度で出来る。合同会社でビジネスが上手く回り始めたら、株式会社に変更できる。

ビジネスは、良かったり悪かったりする。最悪、赤字が続くようならば金銭的に深い傷を負わないうちにビジネスを止める勇気が求められる。傷が浅ければ、再起が出来る。借金をして傷を深くしてしまうと再起が出来ない場合が多い。

シニアの起業は、細く長くで勝負する!

若者の起業は、失敗を繰り返す時間的な余裕がある。若さが味方する。シニアは、時間的にあとが無い。博打は止めて石橋を叩いて渡るぐらいの慎重さが必要だ。決して悪魔のささやきに騙されない事だ。上手い話はない!うまい話を持ち込んでくる奴は、あなたをカモにしている。成りたての起業家は、詐欺師のターゲットになりやすい。会社を設立するとどこからとなく色々な会社から電話がかかてくる。気を付けることだ。

この記事「定年退職を目の前にして起業を考えるならばこうする!」のポイントは、

  • 起業する上で一番重要な事は、自分が思い描いていたビジネスモデルが実際の市場で機能するかどうかだ。
  • 多くの起業家は、お客さんを初年度に見つけられなくて失敗している。
  • 自分のビジネスを告知する手段としてホームページは最低限必要だ。