一般の人が老人を見ると不思議な事に気が付く。個人差はあるが、肉食から和食、粗食に向かう。横断歩道があるのに目の前の道路を渡る、道路の脇を歩かない、声が大きくなる、エスカレーターの前で立ち止まる、暑いはずなのに厚着を着ているなどなど。
普通の生活をしている人間の目で見て違和感を覚える行動や言動が老人にある。老人が住む世界は普通の人が住む世界と違う。肉体が壊れ始め、自由に操れなくなる。五感機能も衰えて生活する上で不自由を感じ始める。特に視覚、聴覚、バランス感覚などの衰えが顕著に体に現れる。
感覚として、今まで普通に出来ていたことが突然出来なくなる。歳を取ると自分が徐々に変わって行く。
シニアになって見ないと分からない
若い頃はこんな疑問を老人に抱いていた!
- なぜ、横断歩道をわたらないで道を横切るのか
- なぜ、道路脇を歩かないで車道内を歩くのか
- なぜ、足を引きづりながら歩いているのか
- なぜ、歩く速度が遅すぎるのか
- なぜ、大声で会話をしているのか
- なぜ、周りを気遣わないで話しかけるのか
- なぜ、リュックと帽子姿の老人が多いのか
- なぜ、ヨロヨロとして歩いているのか
- なぜ、高級な和食レストランに老人が多いのか
- なぜ、デパートの休憩場所に老人が大勢いるのか
- なぜ、訳の分からない事を話しながら歩いているのか
- なぜ、背が曲がってくるのか
- なぜ、身長が低くなるのか
- なぜ、加齢臭が出てくるのか
- なぜ、朝起きるのが早いのか
すべての疑問に答えられないが、シニアになって理解できるものがある。
67歳になって老人になるという意味を体で理解する
70歳、80歳代になると足を使う生活が少なくなるため足の筋肉が衰えてしまう。そのため、歩くということが非日常的活動になる。 足の筋肉はますます衰えてしまい、自分の足で歩くことが難しくなる。当然、一度座ったら自分の足の力で立ち上がることも出来なくなる。老人が歩けなくなると死期が近づく。
私の身長が低くなった。人間ドックで毎年検査を受けている。61歳になった時、始めて自分の身長が縮んできていることに気が付いた。181センチメートルあった身長が、179.6センチメートルに縮んだのだ。医者いわく、軟骨がすり減ってきているのでその分だけ身長が低くなるということだ。
横断歩道を渡らない老人が多いのは近道をして歩く距離を短くしたいためだ。足の筋肉の衰えからくる。自動車を運転していて老人が横断歩道が先にあるのに交通ルールを守らないで道路を歩いて渡っている。なぜ、こんな場所で道を渡るのか、いつも不思議で成らなかった。
カフェで仕事をしていると老人たちグループがやって来て大声で会話をし始める。4、5人いると周りのお客のことを気にしなくなる。聴覚が衰えて小さい声では聞こえないためだ。老人になると視覚、聴覚などが特に衰える。
朝からデパートの休憩場所を独占する老人たちは退屈であるからだ。自宅にいても何もすることがない。元気だから刺激を外に求めて外出する。外出しても居場所がない。デパートが一番見るものがあり、疲れたら休憩場所がある。生活をする上で足りないものは昼寝をするベッドくらいである。レストランが有り、トイレが有り、目を楽しませる製品があり、デパートにやってくるお客を眺めて楽しめる。
精神的に壊れた老人が分けの分からない独り言を話しながら歩いている。人間は孤独の世界に綴じ込まれると自分と話をし始める。孤独な生活を送っている老人は精神的に追いつめられる。特に女性は、会話がストレスを発散せる役割を持っているのでそれができなくなるとストレスで精神を壊し始める。
老人になると肉体も精神も壊れ始める!
普通の事が出来なくなる。老化現象が肉体と精神に襲ってくる。個人差はあるが、行き着く場所は同じだ。若者たちは、老人が住む世界を体感できないので理解もできない。頭では分かっているが、仕方なくこうなってしまうということがある。自分で対処が出来れば普通の人のように振る舞える。それが出来ないために違和感を与える行動に出てしまうのが老人である。
子供の大声は自分でコントロールが出来ない。気が赴くまま動きまわり、遊びまわる。精神的に未成熟であるためだ。老人は、精神的に成熟しているのだが体がついていけていない。60歳代になって3、4歳の子供の声が耳鳴りがするように響く。忍耐力が落ちてきて絶えられなくなる。これも老化現象の一つであり、自分の体が老化で変わって来ている証拠である。
老人だから性的欲求が衰えるという虚像
60歳代になれば子供は大人になって巣立ちをしている。子孫を残すという本能的な役割は終わる。当然、性的な欲求も衰えると言われている。現実は嘘である。個人差はあるが、シニア男性は何歳になっても女性に対して性的な魅力を感じている。同様にシニア女性も若い男性に魅力を感じている。
老人ホームで生活している義母(91歳)の所に孫たち(30歳代男子3人)が面会に行った。若い男性が老人ホームを訪問するのは珍しいため、老人ホームの女性入居者たちは目を見張った。いつも見慣れている介護ヘルパーではない若者たちである。若い異性に目が行くのは本能である。
96歳の義父も老人ホームで生活をしている。彼の楽しみは週2回あるお風呂である。体を洗ってくれる若い女性介護ヘルパーに興奮していた。96歳の老人男性でも若い女性に対して性的な興奮を覚える。本能は年齢に関係なく死ぬまで生きている。老人だから性的な行動はしないとは思わないことである。
私が20歳代の頃、綺麗な女の子(20歳代)たちと一緒に電車に乗っていた。季節は夏で女の子たちは薄着のワンピースを着ていた。電車の中に80歳代の老夫婦が居た。その老人男性が綺麗な女の子のワンピースの背中ボタンの隙間から手を伸ばして肌を触っていた。その女の子は相手が老人であったのでそのまま触らせていた。それに気がついた老婦人が若い女の子に、「ごめんなさいね。夫は年甲斐もなくこんな事を時々してしまうのです。80歳を過ぎているのに本当に困ります。」と謝罪していた。
老化で性的欲求の処理が少なくなる。これは確かである。男性ホルモンが減少し精子の製造が減り始める。射精が出来なくなり男としての若さを失い始めていることに気がつく。肉体的にはそうなのであるが、精神的に性本能は生きている。
老人になると肉体面で確実に老化現象が起きる。老化した肉体が精神に働きかけてもう若くないと知らせる。自分は老人になったと自覚することで自分が変わってきていることを悟る。
結論
老人になると自分がどのように変わるのか?若い頃に老人の行動や言動を見て理解できなかったことを分かるようになる。自分が老人になり老化を体験するからである。肉体は壊れ始め、今まで出来たことが出来なくなる。精神年齢は30歳代と思い込んでいても体は67歳であることを伝える。
体が老化で不自由になると考え方や行動もそれに応じる。老人が住む世界でしか分からない言動や行動が顕著になる。
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