今も私の耳に残っている75歳知人の言葉がある。

70歳を過ぎると思いがけない時に病魔にやられるから気を付けろ!」と忠告してくれた。66歳の私にとって70歳という年齢は、未知の世界である。70歳を過ぎると自分の体にどのような変化が起きるのだろうか。50歳と60歳の時に感じた体調の変化と同じなのだろうか。

還暦を迎えた時、忍耐力が低下した覚えがある。幼児や子供が叫ぶ声に耐えられなくなった自分を意識した。以前は、それほど気にするようなことではなかった。体は、知らないうちに老化してきている。

普通に生活が出来ている事に幸せを感じる時が人生の先輩たちの姿を見て増えて来ている。

老化を遅らせるには

70歳を過ぎると健康面で個人差があからさまに出てくる。70歳なのだが60歳ぐらいに見える高齢者がいる一方で、80歳代のような歩き方をするシニアもいる。自分の体の健康管理をちゃんとしてきた人は、体の変化に気が付く。早期発見早期治療ができるため、老化や病気が深刻なレベルになる前に対策を取って普通の生活が維持できている。

足から老化が進む

70歳代のシニアは、階段の上り下りを避ける。出来るだけエレベーターやエスカレーターを使う生活を求める。色々な事情がそうさせるのだが、多くは足の筋力が衰えて階段の上り下りに危険を感じているからだ。足の筋力が衰えると体を支える腰でのバランスが取れなくなる。バランスを崩した時に足の筋力でバランスを元に戻せない。

一般の人ならば、普通の体力でバランスを元に戻せる。老いて来ると普通の事が出来なくなる体になる。老いは足から来ると昔から言われている。足をやられたら、老人は先が短いと見られる。足が自由に動かせないと自分の身の回りの事が不自由になる。

普通の人が出来ている事が普通のペースで出来なくなるという現実を脚力の衰えから学ぶ。60歳代に足を鍛えていないと70歳代になった時にある日ある時突然、自分の足が言う事を聞かなくなる現象に驚く。足の筋力は、70歳代で鍛えるよりも60歳代で鍛えたほうが筋力を維持しやすい。

食の好みが変わり体がやせ細る

私が所属しているNPO団体の会員は、平均年齢が70歳ぐらいだ。太っている会員よりも痩せている会員が多い。団塊世代のシニア男性が中心に活動をしている。定例会に参加してメンバーの後姿を見ると痩せている人が多いのに驚く。

60歳代と70歳代の会員の体格にも違いがあるが、若い頃に運動をやっていた人の体はその遺産が体に残っている。70歳代でもスポーツをたしなんでいる人は、その効果が体に出て来ている。

なぜ、多くの団塊世代のシニアは痩せてきているのだろうか。若い頃と同じようなカロリー消費をしていないため、食べる量や内容に変化が起きているのだろう。肉よりも魚、野菜、そばやうどんに好みがシフトして行く傾向が強い。全般的にさっぱりした草食に老人は向かう。

66歳の私も毎日肉を食べたいと思っていない。肉よりも魚に好みが変わってきた。こってりしたラーメンよりもさっぱりした日本そばに食が進む。蕎麦屋に行くと何故かシニアのお客が多いのかが分かる。

枯れていく体を元に戻すには

老人であればあるほど意識して肉や魚などのたんぱく質が多い食べ物を取る必要がある。タンパク質は、私たちの体の筋肉を作る材料になるからだ。シニアが枯れていくのは筋肉を失っていくからである。筋肉を失うことで骨と皮膚しか残らない。体全体の印象が枯れていく体として映る。

枯れていく体を復元するには、体の動きをスムーズにする筋力と体格を作る筋肉が必要になる。食生活は、個々人違う。バランスが取れた食生活を意識して生活をしている70歳代のシニアならば、定期的に運動をするだけで体は体力を増しながら筋肉も増やせる。

枯れていく体は生命エネルギーを失っていく。自分の足で動けなくなることは動物にとって死を意味する。人間にとっては死の入り口に立つ。枯れていく体で足の筋肉がまっさきに失われる。筋肉は積極的に負荷をかけて使わないと維持、増強できない。活発に筋肉を使い始めると自然と食欲が湧いてくる。その時にタンパク質の多い食べ物を取ると筋肉が増えてくる。

食と運動は健康寿命を伸ばし老化現象を遅らせる

定期的な運動は、体の免疫力を強化する。60歳から70歳にかけて免疫力が急降下する。それを防止するには、新陳代謝を増やす運動である。新陳代謝が増えれば、食欲も増えてくる。食と運動は、シニアの健康寿命を延ばす上で意識すべきである

若さを印象づけるにはどうすれば良いか。

  1. 筋肉を体につけて年齢に合わない体格を作る
  2. 定期的な運動を日課にして機敏な動きと力強い歩きをする
  3. 食欲旺盛で肉、魚、大豆などタンパク質が多い食べ物をもりもり食べる
  4. 良い姿勢で歩く
  5. エスカレーターやエレベーターを使わないで階段をいつも使う

今も昔も食欲旺盛な人は長生きをする。生命エネルギーは食べる量で決まる。老衰でなくなる人は食を取らなくなって他界する。私の義父と義母は食生活の改善から健康的な体を身に着けた。義母は老健施設で栄養バランスの取れた食事と定期的なリハビリ運動のおかげで要介護5から1まで回復した。その理由は、出される食事をいつも全て食べて、リハビリ運動に積極的であったからだ。

義父は介護付き老人ホームに入居してから顔色と体の調子が改善された。ひとり暮らしをしていたときは食べるものが偏っていて栄養バランスが崩れていた。老人ホームでは栄養バランスが取れた食事が提供され、共同生活をしている人たちとラジオ体操をしている。生活のリズムが良い方向に向かっているため、その効果が健康的な顔色と体調に出てきた。義父は96歳、義母は89歳。二人とも元気である。

結論

60歳、70歳、80歳、90歳と年齢を重ねる過程で色々な老化現象に見舞われる。老化現象は人それぞれ違う。誰もが若くなりたい、若く見せたいと願う。老人を印象づけるのは歩き方と体格である。歩行速度が遅くなり、体のバランスが取れにくい歩き方と猫背の姿勢から老人を印象づける。

若さを取り戻したければ食と運動がキーワードになる。定期的な筋トレや運動をしていないシニアは年齢とともに筋肉を失って行き、体がやせ細っていく。特に足の筋肉を失う。歩行障害が日常の生活で起きる。若さを取り戻すには筋肉を失わないこと。タンパク質の多い食事を増やし、足の筋肉を中心に鍛える。それだけで老化を予防できる。