老後の生活は予測できないことが起こりやすい。急に原因不明の体の不調になったり、今までに発病していなかった病気になったり、今まで出来ていた動作が急にできなくなったりする。すべてが老化に関係する。老後の生活は老化とどう付き合うかである。

帯状疱疹ヘルペスは、50歳から増え始め60歳、70歳が発症のピークになる。体の免疫力が落ちた時に運悪く水疱瘡のウイルスが騒ぎ出す。体に起きる変化は、予測が出来ない。個人差もある。健康関連がシニアにとって分からないことだらけ。

身体の老化は知らないうちにやってくる。意識できる老化と気が付かない老化現象がある。気が付かない老化にどのように対応すべきか考えたい。

どんな老化現象に気が付かないのか?

どのような感じで老いが自分の体に襲ってくるのかが良く理解されていない。あるセミナーで60歳頃から(1)体の免疫力が低下し始める、(2)体の筋力が低下し始めると教えられた。初めて老いるという事が体にこんな影響を及ぼすと言うことを知った。この二つの現象は、すぐに認知できない。知らないうちに進行してある日ある時に気がつく。

免疫力の低下

コロナ感染で分かるように高齢者は免疫力が低下して来ているので病気になりやすい。免疫力のレベルを体重計のように測る家電製品があれば良いのだがそれもない。一つだけ確かなことは免疫力が低下すると風邪を引きやすくなることである。

筋トレをした翌日は必ず免疫力が一時的に落ちる。筋トレで傷んだ筋肉を修復させるために免疫機能が使われるため体全体の防衛力が落ちる。そのため、ちょっと体調がおかしい、くしゃみをしたときなど必ず風邪薬を飲むことにしている。または免疫力を強化するハーブのエキナセアのサプリメントを飲むことで対応している。

何か知らないが体調がおかしいとか、気分が優れないとか、普段とは違う感じがしているときは一時的に免疫力が低下しているのではないかと私は判断している。

ハーブのエキナセアのサプリメントは喉からくる風邪に対して効果があり、それを体感できる。コロナウイルス感染も喉から来るのでコロナ感染予防サプリとして常用している。こちらも>なぜ、エキナセアのサプリメントがシニアの健康に良いのか?

筋力と筋肉量の減少

60歳を過ぎると体の筋肉量が毎年1%づつ失われて行く。普通の生活をしている場合である。年寄りになると使わない筋肉が生活環境に合わせ始め筋肉の量を減少させる。大きな筋肉がある足腰が一番その被害を受ける。歩く速度が遅くなったり、長く歩けなくなったり、つまずくことが多くなったりするのは足の筋肉が衰えて来たからである。

医者は高齢者に毎日外出して歩きなさいと助言する。運動量が自然と減少してくる生活をシニアはしているので体を動かす機会を外出することで増やす。ただ、歩くだけでは失われて行く筋肉を防ぐことが出来ない。筋肉の量を増やすには(1)筋肉痛が起こるぐらい筋肉を鍛える運動が必要になる、(2)筋肉を作るタンパク質と付随するミネラルやビタミンを食事から取る必要がある。

筋力と筋肉の量が減少する現象は直ぐには起こらない。1年間に1%づつ減って行くので自覚することが出来ない。自覚が出来るようになるときは既に多くの筋肉が失われている。その現象として歩行速度が遅くなる。つまずきやすくなる。

60歳を境に体の筋肉が失われてくるので筋肉を増やす筋トレを生活のリズムの中に取り込む必要がある。健康予防としてスポーツジムに通う事がおすすめである。一人では三日坊主になりがち。筋トレの運動習慣を身につけるまでスポーツジムのパーソナルトレーナーの指導を受けることが一番効率的である。こちらも>シニアが筋肉を増やしたいならば筋トレ、その証拠は81歳の金澤さん!

新しいことへ挑戦する気力の衰え

51歳の時に起業した。その時のビジネスへの情熱と気力は凄く強かった。66歳になった今、同じだけの情熱と気力はあるかと問われると、無いとしか言えない。特に新しいことを学ぼうとする意欲や気力が落ちている。何故なのか。

老化としか言えない。気が付かないうちに新しい物への好奇心や関心が薄れてきている。面倒なことはやりたがらなく成った。若者のようにマッチに火がついたように燃えない。居心地が良い現在の環境で満足してしまっている。

新しいことへの挑戦ができるシニアは気力の面でまだ若い。そうでない人は知らないうちの自分の殻に閉じこもって変化を回避してしまう。挑戦は変化が伴う。同時に苦痛も生まれる。どうすれば、失った情熱や気力を取り戻せるだろうか。

何か一つ興味を持った新しいことを深堀りする。深堀りして習慣化してみる。一つの事を追求するとその先に枝分かれている新しいことが見えてくる。アレもコレもと新しいことを一度にやろうとすると虻蜂取らずになる。こちらも>シニアに欠けているのは子供心の想像力と好奇心

生きがいの損失

会社を卒業すると仕事人間に成っていたシニアは生きがいを失う。仕事以外に別の生きがいを持って生活を送ってきた人は以前よりも生き生きした生活が出来るようになる。新しい生きがいを見つけるまで時間の流れに身を任せるシニアが多くなる。知らないうちに毎日の生活が受身的になる。

ちょっとした目標があれば、自主的に動き始められる。今日やるべき事リストを作りそれを一つづつこなして行く。毎月の目標を作り、それを4週間別に細分化して小さな目標にして行く。そんな生活を送っていくうちに受身的な生活から自発的な生活にシフトし始める。

生きがいは生きる目標を見い出せれば、生きがいになる。こちらも>シニアの生きがいはどのように作るのか?

すぐに切れやすくなる感情の起伏

何故、ちょっとしたことで感情の起伏が大きくなるのだろうか。電車の中で優先席に座ってスマホゲームをしている若い人を見つける。何故か、腹立たしく感じ始める。常識がない若者だと決めつける。電車の中のマナーを知らない人間だと強く思い、注意したくなる。

「何故、お前は優先席に座っているのだ!その席はお前のような若者のための席ではない。」という言葉が頭に浮かんだ。完全に切れかかった怒りの言葉である。本来ならば、若者の心情を傷つけない言い方がある。その若者は何も考えずに空いていた席に座ったスマホゲームをして夢中になり周りの状況が見えていなかっただけかもしれない。

冷静に物事を見て、感じることが老化で出来なくなってきているのではないか。知らないうちに自分の感情をコントロールできなくなっている。電車の中で切れて大声を出しているシニアを見かけることが多くなった。冷静に考えてみれば、大声を出さなくても良い些細な事であることに気付くはず。

老化は知らないうちにシニアの感情の忍耐力をだめにする。そんな自分に気が付いたときは別の冷静な自分を呼び出して自問自答することである。こちらも>

食欲の低下

老後の生活は仕事をしていない限り、あまり運動量を求めない。消費カロリーも減少するので食べる量も自然と減ってくる。もし食べる量が減らなければ、肥満体になること請け合いである。消費できなかったカロリーが贅肉と成って体に積まれる。

食べるものにも変化が生まれ始める。洋食から和食に変わるシニアが増える。食欲が自然と減ってくると少量で美味しい食べ物に好みがシフトし始める。こんな変化が意識しないで起き始める。ご飯の大盛りをやめて、食べる量に拘らなくなる。

食欲の低下は少量で色々な味を楽しめる食事に目が行き始める。または、粗食になる。食べる量が減る生活は生命エネルギーの量も減る生活になる。消費カロリーが減るということは新陳代謝の量も減ることになる。

その結果、シニアの体はちょっとづつ枯れて行く。80歳を過ぎた頃には強風が吹けばよろよろと飛ばされる風貌になる。骨と皮しかない体に近くなる老人が多い。食べる物が少なくなる粗食はシニアの体を弱くする。

健康な体にするには栄養バランスを考えた食事をしながら食欲を出す活発な活動を生活の中に取り込む必要がある。肉体労働をすれば、食欲は自然と増えてくる。日々の生活の中に肉体労働を入れ込むことである。

体のバランス感覚の低下

片足を上げて目をつぶると数秒で倒れてしまう。階段を上がる時に体のバランスが崩れて後ろに倒れそうになる。ちょっとした動きで体のバランスが崩れる事が多くなる。片足を上げて靴下を履けない事が多くなる。

老化で気が付かないうちに体が固くなり柔軟性が欠け体幹が弱くなると体のバランス上手く保てなくなる。

「加齢とバランス障害」 八木聰明氏の学術論文
https://www.jstage.jst.go.jp/article/tits/17/12/17_12_76/_pdf

平衡感覚

引用文:
身体のバランス(平衡)は、三つの感覚器からの情報を統合して保たれている。その三つとは、前庭覚、視覚、深部知覚である(図1)。

前庭覚は、耳の最深部にある内耳にあって、頭の回転加速度を感知する半規管と重力などの直線加速度を感知する耳石器からなり、バランス情報の最も重要な感覚器である。有名なメニエール病は、この感覚器が障害される病気である。視覚がバランスを保つのに役立っていることは、暗い夜道などでは真っ直ぐあるくのに支障が出るようなことで実感できると思う。

体のバランス感覚の劣化は老化の影響を受けざるを得ないが、「習うより慣れろ」ということわざから定期的なトレーニングすることでバランス感覚を改善できるようになる。

体をアンバランスな状態にしてバランスを取る運動を続けることで体がアンバランスな状態を学んで対応してくれるようになる。アンバランスな体の状態をトレーニングで体に覚え込ませることである。例えば、こんなトレーニングがある。開眼片足立ち。目を開けて片足を上げて立ち続けるトレーニングを毎日行う。

水分補給の減少

認知症予防に毎日多めに水分を取ることが高齢者に推奨されている。参照:認知症高齢者の基本的理解
https://www.city.kochi.kochi.jp/uploaded/attachment/47011.pdf

66歳の私は寝る前にコップ1杯から2杯の水を飲んで寝る。特に筋トレをした日の夜は必ずお風呂に入る前に1杯、寝る前に2杯の水を飲んでいる。夜11時頃に寝て朝7時に起きるまでの8時間、体への水分補給はない。体は疲れを取るためにカロリーを消費し同時に汗を大量に出す。朝起きた時、体は軽い脱水状態にある。

朝、トイレに行って小便の色を見ると茶色になっている。日中ならば、この色がもっと薄い。夜寝ている間に体の水分が呼気と汗で使われる。睡眠中に汗と呼気から失われる水分は約500ml以上。高齢者は寝る前に水をあまり飲もうとしない傾向が強い。夜中にトイレに行くことを嫌がるからだ。夜1回程度であれば、健康のために寝る前に水を飲むべきである。

高齢者は寝る前にコップ1杯の水を飲むことで就寝中の血の巡りを良くすることができる。脳卒中や脳こうそくのリスクをコップ1杯の水で減らせる。シニアの体は老化で喉の渇きを感じる「口渇中枢」が減退するため喉の乾きが感じ難くなる。

「一般的に高齢者の身体の水分量は、若い頃に比べると約10%減り、約50%だといわれています。 つまり、身体の中の水分量が少なくなるため、若い頃より脱水症になりやすいといえます。 さらに、加齢とともに喉の渇きを感じる「口渇中枢」が減退するため、実際には水分が必要な状態であっても喉の渇きが感じにくくなります。」 引用先:味の素、高齢者は脱水になりやすい
https://www.ajinomoto.co.jp/nutricare/useful/suibun/

シニアは知らないうちに喉の乾きを感じる機能が劣化し、必要な水分補給をしなくなる。60歳を過ぎたら意識して水分を多めに取る習慣を身に着けたい。血液の流れをサラサラにするには十分な水分が血液の中にないといけない。水分不足は知らないうちにシニアの体を襲っている。

運動不足からくる糖尿病

糖尿病は生活習慣病である。高齢者は気が付かないうちに糖分を十分消化できなくなり血糖値を高くしてしまう。老化により運動機能や心臓の機能、呼吸の機能が低下するのと同じで、膵臓の機能も低下する。これにより分泌されるインスリンも減少し、血糖値が下がりにくい状態となり糖尿病を引き起こす。

血液中の糖分を消化するには

1.運動をして筋肉に取り込ませる
2.内臓脂肪を減らしてインスリンの効果を維持する

糖尿病は無症状のため自覚がなく、気づかないうちに悪化してしまう。人間ドックなどを毎年受けて血液検査をすれば、血糖値の状況をモニターできる。

血液の中の糖分を意識して消化するには筋肉を使う機会を多くすることである。生活のリズムの中に体を活発に動かす運動習慣を入れ込む。筋トレは失い始めている筋肉を増やす。同時に血液の中にある余分な糖分を消化する。

体を活発に動かす運動習慣は糖尿病予防と肥満予防を兼ねている。どちらも気が付かないうちに体に起きてくる。

結論:

老化は無意識のうちに進む。気が付いたときには老化はかなり進んでいる。表面に出やすい皮膚の老化(シワ、たるみ、シミ)、髪の毛、視力や聴力の低下などは分かりやすいが目に見えない老化現象が沢山ある。何となくおかしいという感覚、なぜ出来なくなったのだろうかという感覚、体に何かが起きているのだが、原因が分からない。

気が付かないうちにこんな事が体に起きている。老化現象である。

・免疫力の低下
・筋力と筋肉量の減少
・新しいことへ挑戦する気力の衰え
・生きがいの損失
・すぐに切れやすくなる感情の起伏
・食欲の低下
・体のバランス感覚の低下
・水分補給の減少
・運動不足からくる糖尿病

事前にこれから起きる老化現象を知ることで対策を立てることが出来る。後はそれを実行するだけ。