91歳になる義父が時々こんな事を言う。
「自宅を出てちょっと歩くだけで体が疲れるのだよ!」
個人差はあるが、91歳ならばこれが自然なのかもしれない。年齢とともに体力は落ちてくる。歩けても疲れやすくなる。68歳の私でも昔は疲れなかった事で今は疲れを感じやすくなった。ただ、体を定期的に鍛えていると衰えた体力、持久力、筋力が維持強化されてくる。
体を意識して動かし続ける生活を続けるシニアは普通のシニアよりも体力、持久力、筋力を長く維持できる。駅の階段を見てエスカレーターやエレベーターを探すシニアは老化で階段を上がるのは辛いと思っている。階段を進んで上がって行くシニアは足を鍛えるという意識と体力がある。
老人になっても体力、持久力、筋力を維持向上させたいと思っているシニアは体を意識して動かし続ける生活習慣を身に付けることである。
持久力、耐久力、筋力は年齢と運動習慣で個人差が出る
体力には個人差がある。その個人差は寿命に現れる。歳を取ればとるほど体全体の持久力、耐久力、筋力が落ちてくる。その落ち方に個人差がある。同じ91歳の男性でも義父よりも疲れを感じない老人もいる。生活習慣でその違いが出ていると私は感じている。
仕事で毎日体を動かし続けている人たちは、定年引退した元会社員と比べて体力が温存されている。この違いが年齢を取ればとるほど出てくる。生活習慣で体力を維持しやすくなる人と急降下する人である。
体を動かし続ける運動習慣で違いが出る
定期的な運動をしている老人は運動をしていない老人よりも疲れを感じ難い。程度の差はあるが、持久力も耐久力も筋力も運動していない老人よりもある。
10キロ歩いて疲れを感じる老人なのか、20キロ歩いて疲れを感じる老人なのかの差である。
毎日通勤で10キロを歩き慣れているシニアであれば、10キロを歩いても毎日の事であるので体はそれほど疲れを感じない。1日数キロしか歩かない老人ならば、10キロを歩いた時に酷い疲れを感じるはずである。体が長距離に慣れていないため疲れを強く感じるようになる。体は自分の置かれた生活習慣の中で適応している。
91歳の義父は日増しに外出をする回数が少なくなってきた。足を使う運動が自宅内に留まっている。歩く範囲が自宅内という生活習慣が知らないうちに定着し彼の体力を弱めている。もし、意識して足を使う外出回数を増やしていれば、体力を温存できたに違いない。
70歳を過ぎても仕事をしている人、暇で自宅に居る人
70歳を境に仕事から離れるシニアが多い。体力が落ちかけてきているシニアは楽な生活を求める。一度仕事を辞めて自由な生活に入ると定期的に体を動かす生活習慣から離れる。動く範囲が近所に限られ月に2、3回外出するという感じになる。全般的に体を使う活動が減少してしまう。
仕事を続けているシニアは無意識のうちに体を使い続けている。仕事がそうさせる。体は疲れるが、その疲れが体力を温存する。体は楽ではないが、その辛さという刺激が体力維持に貢献する。仕事を続けているシニアは全般的に若い。気が張っている。それだけ体力を使って生活をしている。
仕事をしていないシニアは楽な生活を体に許す。体は無理して体力と筋力を使う必要がなくなる。通勤で階段を走りあがる事もなく、自由気ままに自宅でゴロゴロできる。一見羨ましい生活に見えるが現実は体の生命エネルギーを衰えさせている。
体を活発に動かさない生活に入るとこんな現象が体に起きる。
- 体が硬くなる
- 今まで以上に歩くと疲れやすくなる
- 関節が動きづらくなる
- 腰痛、関節痛などが起きやすくなる
- 体力が減退する
知らないうちに老人の体力は落ちて行く。それが外出時に現れる。遠くまで歩けない、長時間歩けないので座って休める場所を求める。もう、こうなると完全に老人の世界に入る。働いていた頃と比較してありえない状態である。
この違いは全て体を楽させて動かしていないために起きている。老人になる人は意識して体を活発に動かし続ける努力をしなくてはならない。その努力を止めたとたんに健康寿命が短くなる。
高齢者の生活習慣は健康寿命に影響する
日々体を鍛えている人と普通の人では同じ作業をしても疲れ方が違う。例えば、こんな運動をしてみてほしい。階段の上り下りである。足を鍛えている人は6階のビルを階段で登る時に息が切れない場合が多い。足に耐久力が付いているからである。普通の人は4階ぐらいで息が切れ始める。脚力と心肺能力で違いが出る。
階段を使う事を避けるシニアは脚力と心肺能力を鍛える機会を失う。膝に特別な痛みが無ければ、足を鍛えて体力を向上させる努力をすべきである。健康寿命は「普通の生活」が出来る身体と体力を維持できないと伸びない。
70歳過ぎのシニアにとって健康はお金よりも価値がある。老化で免疫力が落ちて病気にかかりやすくなり体の至る所に支障が出始める。筋肉量の損失は知らないうちに襲い掛かる。足を積極的に使わない生活が続くと自分の体を自由に移動させることが難しくなる。
老後の生活習慣はその人の健康寿命に大きな影響を持つ。普通の生活を維持できる健康と体力が老後の生活を支配する。自分の体を自由に動かせるかどうかに個人差が出る。
結論
体を動かし続ける習慣が身に付いていると自分の体を自由に動かす能力を保持しやすい。私は週2回スポーツジムで筋トレを行っている。体は正直で筋トレを1週間休むとそれがベンチプレスの重量に出る。70キロのバーベルを1セット5回以上今まで出来ていたのに1週間休んだら、1セット3回しかできなくなってしまった。
懸垂も同じで1セット10回出来ていたのに5回に減ってしまった。ただ、違うのは定期的に筋トレを続けると2,3週間後に重量は元の数値に戻る。体は生活環境に順応してそれに合った筋力に調整してしまう。筋トレ初心者は私と同じような事は出来ない。筋トレ習慣が無いため体が筋トレに慣れていない。
若者と老人の体の違いは体力、持久力、筋力を維持できる期間の長さと回復力の短さではないか。シニアの体は継続的に体を鍛えないと体力、持久力、筋力を維持できない。疲れた体から回復するのにも若者以上の時間がかかる。定期的に体を動かし続けていると体はその欲求を満たしてくれる。
健康寿命は自分で体をどれだけ自由に使えるかである。体力、持久力、筋力を維持出来なくなった時点で健康寿命が短くなって行く。