最近、カフェでも電車のプラットフォームでも独り言を言っている老人を見かけることが多くなった。昔は、滅多に巡り合うことはなかったのだが、この頃は何故か多い。やはり、高齢化時代になって話す機会を失った老人が増えてきたのだろう。

普通の人から見ると違和感を覚える。初老の私でもちょっと距離を置く。私が独り言をいう時は、何かを必死になって考えて答えを出そうとしている時だ。答えが閃いた時に、「そう、これだ!これで解決ができる!」的な独り言になる場合が多い。

独り言を言っている老人は、2つのタイプがあるように見える。

独り言を言う老人:2つのタイプ

近くの人に話しかけるような独り言(タイプ1)

今日、駅のプラットフォームで出会った老人は、近くの人を意識した独り言であった。「ああ、疲れた。こんなに暑い日は疲れる。何とかならないかなあ。皆どうしているのか、こんな日は。」こんな感じで一人で話を進めていく。周りには、2,3人がいた。時々、こちらを見ながら話をしている。

このタイプの老人は、人恋しい人で何とか会話をしたいという欲求で人がいる場所で自分会話を始める。病的ではなく、ただ、ただ、寂しいだけだ。会話をする相手が見つかれば、自然と独り言は消えていく。話している内容も違和感を感じる内容ではない。

He is OK タイプの老人になる。

自分の世界に没入した独り言(タイプ2)

昨日、遭遇したスターバックスカフェでのおばあさんは、病的な老人であった。カフェの購入カウンターでコーヒー料金を渡して店員がコーヒーを用意している間に分けの分からない独り言が始まった。内容がその場に合わない、その人独自の世界で会話が進んでいるような内容だ。店員が、話しかけると我に返ってくる。

その老人は、近くの席に座ると同時に自分の世界に没入していった。彼女の独り言が始まった。話している内容が断片的で流れが途切れながら独り言が進んでいく。時々、立ち上がって手のひらで口を隠しながら大声で独り言を言っている。周りの人も異様な雰囲気を感じて目を潜めていた。

このタイプの老人は、誰が見ても精神的に問題を抱えている老人であると判断するだろう。

総合失調症という病気

統合失調症は、幻覚や妄想という症状が特徴的な精神疾患である。挙動不審な言動がある人は総合失調症になっている人かもしれない。高齢者が独り言を言いながら電車の中を歩き回る現象は総合失調症にかかった人かもしれない。独り言を話しながら歩いている老人がいたら、その言動を観察してみる。

話している内容がその場にあっていないものであれば、妄想の世界で誰かと話しているのかもしれない。見えない他人と話をしているのか、自分の世界にいる自分と話をしているのか、推測ができるかもしれない。精神疾患のシニアであるかどうかで人の見方が変わってくる。

結論

私が出会う独り言を言う老人たちは、圧倒的にタイプ1の老人たち。孤独と孤立が一人住まいの老人たちに広まっているのだろうか。

自宅を出ても他人に突然話しかけることも出来ない。お喋りをする友達が近くにいないため、どうしようもなくなり独り言を話してそのストレスを解消しているのかもしれない。ペットを飼っていてペットに話しても会話は成立しない。なにか物足りない。人は人に恋するからだ。

他人の迷惑にならない限り、独り言を言う老人が増加しても社会にそれほど害はないだろう。