私が所属するNPO団体には、約220名のシニア会員がいる。中小企業の経営支援のために設立されたNPO団体なのだが、会員が全てその目的のためだけで参加しているのではない。
多くの会員は、既存会員である方から「お~い、おまえ暇しているならばこのNPO団体に入らないか!用事と行く場所が出来るよ!」と言うお誘いで集まってきている。
私を含めて老いてくると認知症になるリスクが高くなる。暇になると脳を刺激することがなくなる。それが認知症を生み出す土台になる。NPO団体に参加してくるシニアは生活に刺激を求めてやってくる。暇と認知症から逃げるための手段としてNPO団体に参加する高齢者が多い。
認知症を防ぐには脳に知的な刺激と肉体的な刺激を与え続けることである。暇を少なくする活動を生活のリズムの中に取り入れる。定期的に運動をする時間を作る。
暇を無くす活動、目的を持った生活、体を動かす習慣
年金生活が始まり、生活するために働く必要が金銭的になくなると生活のリズムが狂い始め生きがいが消える。これは精神衛生であまり良くない。生きて行こうという気力を失い始める。68歳の知人がいる。完全に年金生活をしている。彼は目的を持った生活をしているので認知症になる隙がない。目が輝いている。
彼なりに自分の生活のリズムを作っている。NPO団体に参加したり、野菜栽培をしたり、山に登ったり、定期的に体を動かしている。彼のように自分で生活の枠を作り上げられる人は認知症になりにくい。
NPO団体での活動
私が所属するNPO団体の人は、別に中小企業を支援したくて団体に入ってきたのではないという人が多い。やりたい人がやれば良いという緩いルールで運営されている。むしろ、毎日自宅で何もしないでいる自分を何とかしたいという意欲でNPO団体の定例や活動に参加している人が多い。
ある方は、定例会後の懇親会だけに参加する。仲間がほしいからだ。別な人は、世の中の動きを知るための情報を求めに定例会に参加する。私は、自分の本業があるのでそのスキルが社会に貢献できる「場」として半分ボランティアで参加している。嫌になったら、何時でも退会しても良いという心境で参加している。
コロナ禍で実際に会って交流する機会は減ったが、ウエブ会議で開催される定例会に参加するシニアが多い。平均年齢72歳のNPO団体であるが、中小企業の営業支援で社会との繋がりを会員が維持している。色々な問題を抱えている中小企業を助けるという大義名分があるため活動自体に意味を持つ。
目的を持った生活
定期的に目的を持って外出する機会を探しているシニアがいる。そんな機会を求めてNPO団体に参加する人が多い。無目的に残り少ない人生を送っている老人が多いのが現実である。確かに、現役を退いて新しい世の中の動向に疎い老人に現役と同じような社会的な活動を求めるのは無理であるが老人なりに社会との繋がりを持つ活動がある。
社会貢献という目的で子ども食堂でボランティア活動に参加しているシニア。地域のコミュニティ支援として外出ができない老人に付き添う活動。自分ができることを探せば、身近に色々と見つかる。やりたいこと、出来ること、経験を活かしたいという欲求を社会と結びつけるだけで目的を持った生活を作り出せる。
目的を持った生活は認知症予防になる。シニアに生きる目的(用事)と行くべき「場と機会」があれば、シニアの健康寿命は延ばせる。シニアの健康は精神的な要素が大きく作用する。目的を持った生活のリズムを持つことで脳を活性化する。脳を刺激するにはアクティブに社会活動をすることである。活動は精神面と肉体面を刺激する。
体を動かす習慣
定年退職後のシニアの生活で一番悪いことは体を動かすことが少なくなることである。現役時代では通勤と仕事で体を常に動かしていた。それが退職して年金生活を始めると体を定期的に動かす必要がなくなる。脳は体を積極的に動かすだけで刺激を受ける。それが認知症予防になる。
定期的に体を動かすにはどしたら良いか?
- 朝夕の散歩
- 週2回の筋トレをスポーツジムで行う
- アルバイト(チラシの投げ込み)やパートの仕事ができるならやる
- 家事の手伝い:自宅とお風呂の掃除、洗濯
- 自宅以外の場所に出かける(図書館、カフェ、公園)
自分で目的を作って行動を起こせば、自然と体を活発に使うようになる。
未訪問の場所に旅行する;好奇心を作り出す
私達夫婦(67歳と63歳)は好奇心を生み出すために未経験の場所に行くことにしている。一泊二日の旅を今年から月1回する予定である。行き先の条件は一度も行ったことがない場所。行ったことがない場所は好奇心を掻き立てる。何があるだろうかと心が踊る。
今月は埼玉県長瀞市近くにある彩の森カントリークラブ・ホテル秩父で1泊する。1泊2日朝夕食付き禁煙ツインルームで二人で2万円。自動車で深谷市にある渋沢栄一記念館まで行く。国道140号線にある「道の駅はなぞの」に立ち寄って美味しいと聞く「季節の深谷野菜カレー」を食べる楽しみがある。
結論
認知症はシニアの老後で誰もが怖がる病気である。認知症予防になる情報はシニアにとって重要。年金生活を送り始めると暇な時間をどう過ごすかという問題に直面する。この暇という問題が認知症を早める原因になる。暇な時間が増えれば増えるほど脳を刺激することが少なくなる。
シニアは暇な時間をできるだけ少なくする生活を送る必要がある。暇な時間を有効に使う事ができれば、自然と認知症予防になる。活動的に体を動かすことになるからである。常に体を動かす活動を生活のリズムに取り入れる。それが認知症予防である。