私のブログをよく読んでいてくれる方から「老人の取扱説明書」という書籍を勧められたので買って読んでみた。多くの点で今まで私が感じていたことがよく説明されている。著者は、平松類氏(歯科医)で10万人以上の老人を観察してきたと言う。老人の行動が理解できない人向けの教科書のように思える。
51歳に起業してずっと一人社長&社員で生計を立ててきた。67歳になってまた会社員に戻り仕事をすることはもう精神的にできない。一人で自由にスケジュールを立ててお金を稼ぎ出すと上司の管理下で与えられた仕事をする環境に苦痛を感じるからだ。1年でも何らかの会社組織で働く環境から離れると組織で働くという感覚が失われ、組織に慣れるまで精神的なストレスを味わうことになる。
シニアが再就職を望むならば、出来るだけブランクの期間を空けないことである。組織内で働くという感覚は仕事から離れると急激に失われていく。制約のない自由な時間を一人で楽しみ始めるともう一度「籠の中の鳥」に成りたくない。制約がない生活空間が制約のある組織環境を遠ざける。
私はNPO団体のメンバーに成っている。自主参加を原則にしているので制約がない。これが義務になるとストレスを感じて続かない。パートやアルバイトは働く時間が短いし、自分の都合が多少反映しやすい自由がある。これを考えると会社は組織の制約や義務のストレスが多い。
定年退職で組織から離れた状態は、一人の子供のようなもの。学校に入る前の子供は、遊び相手がいない。一人で遊ぶことになる。子供であれば、母親が同じ年頃の子供と遊ぶ機会を作ってくれる。近くの公園に行けば、子供連れの親子がいる。
しかし、
人生経験豊かな高齢者は、仕事ばかりの人生で一人になった時の遊びがうまくできない。新しい友達を自分で作れない。自分から積極的に遊び相手を求めていかないといつもの一人遊びになる。一人遊びは子供も高齢者もつまらない。新しい遊び友達を作るにはどうしたら良いのだろうか?
老いてくる自分に不安を覚えるのは私だけでは無いと思う。あの世へのお迎えを待つほどつまらない時間の使い方は無い。時間が過ぎ去る事も忘れるほど何かに没頭して見たいという気持ちがある。面白い物を見つけると誰もがそれに没頭する。シニアの生きがいは、そんなことから始まると思う。
70歳を過ぎると体力が落ちて仕事を辞めるシニアが多い。健康でいられる時間を仕事以外に使ってみたいと思うシニアが増える。生きがいがあるシニアは生きがいに時間を使うのだが、生きがいがないシニアがほとんどという現実がある。
生きがいは自分で見つけないと見つからない。頭ではそう思っているのだが、アクションに結びつかない自分がいる。一体、どうすれば良いのだろうか。
お年寄りが何か新しいことをやろうとすると躓く。若い頃と違って新しいことをするための基本が出来ていない。スマホをいきなり使おうとしても初期設定のやり方が分からない。
最近の洗濯機を使って汚れた衣類を洗おうとしても基本操作が分からない。昔は、洗剤をいれて開始ボタンを押せばそれで終わりだった。今は、その前に色々と設定をしてからでないと上手く稼働してくれない。
シニアが新しい仕事をしようとすると時代にあった仕事のやり方ができないために新しいことを学ばなければならない状態に陥る。高齢者を雇用する上での問題になるのが時代にあったITツールを使いこなすスキルと経験が身に着けていないことにある。
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このページのシニアライター:Norito H.Yoshida
Profile
Joomla CMSを使った法人・個人サイト構築で独立。51歳の時に会社を卒業。雇われる生活から自分を雇う生活になる。ソニー(株)、Yahoo!ジャパン(株)でインターネットビジネスの面白さを味わい、個人でも法人と競争が出来る隙間市場があるのに気が付いた。生涯現役でインターネットの世界で生きて行く。Western Washington University, B.S. in Sociology, Bellingham, Washington, USA.
シニアの生活は、体の老化に従って変わって行く。その体験記をこのブログで書いている。