あるビジネス勉強会で生活に困っていない年金受給者のシニアがやってきた。大企業のOBであるため、企業年金、厚生年金、基礎年金で生活が十分できている。別に仕事を探さなくても毎日好きな事をやって余生を過ごせるのだが、彼曰く、「遊ぶことに飽きてシニアのためのシニアの仕事作りに興味を持った!」ために今日ここに参加したという。
お金に困らなければ働く必要もないのだが、何かしていないと精神的にも肉体的にも良くないという悩み事を抱えていた。贅沢な悩みであるが何かにチャレンジしたいという気持ちは伝わってくる。
老人たちは朝、自宅を出て公園に向かう。公園のベンチに陣取った老人たちがあちらこちらに見る。ある老人のグループ(女性が多い)は、いつものゲートボール試合をしている。老人の男性たちは、グループでいるよりも一人ベンチで公園の風景を眺めている。
人生の終焉を待つだけの老人たちの目には、如何にして残りの人生を楽しむかという命題だけが残っている!66歳の私も今 "After Retirement Life"を考えている。今の仕事がなくなったら、どうしようか。仕事と筋トレが大きな生活のリズムを作っている。
67歳はまだ若い。75歳を過ぎたときに「まだ若い」と感じられる体がほしい。筋トレはそのためにやっている。自由に自分の体を動かすためである。年齢とともに身体は衰えて行く。健康寿命を出来るだけ伸ばすには年齢とともに失われていく筋肉を維持、強化するしか無い。
後は、好奇心を持って刺激ある生活を作っていくしか無いと感じている。何故か、好奇心は年齢とともに失われていく感じがする。
横浜駅相鉄線到着階段を通勤で降りていく時、数人の若い男女がスマホを見ながら階段を降りているのを見かける。スマホを見ながら階段を降りている若い女性の後ろを降りる私は、憤りを感じていた。朝の通勤時間帯だ。誰もが早く改札口を出たい。階段も早く降りたい。そういった気持ちでいる時にスマホ歩きの人が前にいると朝から憤りを感じてしまう。
スターバックスのカフェで仕事をしていると多くの女性が自分の席を確保するためにテーブルの上にハンカチを置く。同じことをサンフランシスコやニューヨークのカフェでやったら、テーブルの上に置いたハンカチは消えている。同時に他のお客が座っている。
テーブルの上にハンカチではなく、手荷物を置けば必ず通りすがりの人が盗んでいくのが海外である。日本ではありえない話だが海外のカフェでは当たり前。日本はそれほど安全であり統一された倫理観でこのような当たり前が当たり前で通っている。
ハンカチがテーブルの上に置かれていれば誰かが席を確保したという暗黙のルールを海外からの観光客は知らない。ハンカチ以外のものが置いてあってもそれで席の予約であると認識しない。
カフェ内での席の確保で私物を置いて席が見えない場所に行くのは置き引き盗難の被害者になりやすい。
30歳代の頃、同期が昇進して管理職になった。自分はまだ平社員。そんな時、どうしても他人の人生と自分の人生を比較してしまう。いらない精神的なストレスを自分が作り出す。若い時は、まだ、人生の過ごし方を悟っていなかったからだ。65歳で会社組織を卒業し、自分で生活を営み始めると人生観ががらりと変わる。
独立した生活は他人と比較しても全く意味が無い人生になるからだ。同時に年齢が65歳を過ぎると人生の価値観も変わってくる。早く、会社の社長になりたければ、起業すればすぐに社長になれる。そんな簡単な事が若い頃は分からなかった。今、定年退職前のシニア社員は今までの会社生活で何か悔いがあるとしたならば、組織内での昇進が思い通り出来なかったことではないか。
65歳で会社組織から離れると自分の価値観で残りの人生を過ごさなければならない。新しい価値観と生活設計、生きがいをどこに置くかでライフスタイルは変わる。
定年退職後に多くのシニアは旅行を楽しむ。70歳を過ぎれば、今まで貯めていたお金で時間を気にしないで夫婦旅行を計画する。国内、海外を問わず、元気なうちに行ってみたい場所に旅行したいと思うのは私達夫婦だけではない。神奈川県民割キャンペーンを利用して夫婦一泊旅行を計画した。県民割が利用できるホテルが限られていたので海の風景を満喫できる観音崎京急ホテルに決めた。
観音崎京急ホテルは2度目である。このホテルの部屋はすべてオーシャンビューで双眼鏡が提供されている。部屋から双眼鏡を覗いて浦賀水道を通る船舶を1日中見ることが出来る。船舶好きの人は観音崎京急ホテルでの宿泊を一番楽しめるはず。非日常の生活を近場のホテルで楽しむのが今回の旅行である。
神奈川県民割は私達神奈川県民の税金が使われる。支払った税金を少し取り戻せると同時にコロナ禍で経営不振のホテル業界を助けられる。1泊2日で朝夕食付き、オーシャンビューで双眼鏡付きツインルーム、油壺温泉の露天風呂を楽しめる料金として一人10,990円税込みはお得。
平日予約であったため宿泊者は少なく、シニア夫婦が多かった。おかげでSPASSO温泉を一人で独占できるほど空いていた。コロナ禍であったためバッフェタイプの食事ではなく和食、洋食の選択であった。それでもお腹が満腹になるほどの料理が出た。
毎年この時期になると集合住宅(マンション)の防災会議が開催される。世帯数が560もある大規模集合住宅(マンション)であるため、コミュニティールームで各ビルディング毎にスケジュールされた週末に開催される。防災会議と言っても災害時に近くの世帯とコミュニケーションを取り、役割分担をすることと災害時に知っておくべき知識を学ぶ会議だ。
防災会議に出席する世帯は、いつも、顔が同じだ。参加しない世帯は一度も参加しない。私たち夫婦は毎回参加しているため、知るべき重要な防災知識を何度も学んでいる。
新卒者は、学生から社会人となるために会社組織で働き始める。定年退職者は、第2の人生を会社組織から離れて始める。新卒者は、社会生活をこれから学び、自分たちが夢見ている生き甲斐を探す。定年退職者は、自分を中心に人生を見直しこれからの新しい人生を試行錯誤しながら学ぶ。
新卒者には社会から羅針盤が与えられる。定年退職まで会社組織で生活すれば、65歳まで安心と安定した生活を得ることが出来るという社会常識という羅針盤だ。定年退職者は社会から人生のガイドになる羅針盤が与えられない。自分で自分の人生のための羅針盤を作らねばならない。
65歳という年齢で社会人としての節目を迎えて老後の人生を自分で描く立場になる。組織から離れてたった一人の人間として自分で生きる道を探す出発点に立つ。若者とは違い、65年という人生経験がある。その人生経験から自分が求める新しい人生を自分で見つける運命を授かる。
私達が生きてきた時代は、高度成長時代であり、生き方の路線を世間が示していた。その路線に沿って生きていけばある程度のライフスタイルを謳歌できた。それは、有名大学に入学、卒業、大企業に入社するという路線だ。この路線をはみ出すと社会から異端視される。
終身雇用制度が生活の安定を保証していた。その代わり雇用されている会社を自分の家のように思って一生懸命働かないといけなかった。個人の自由や家庭の都合よりも会社の仕事を優先した。この社会の仕組みで世の中が上手く回っていた。
あっという間に時代は2020年代である。時代はコロナ禍で生活に困る人達が溢れ出している。シニアが再雇用先を探す時は失業した若者たちとの競争になる。
子供たちの親として自分の人生に悔いが無いようにして人生を終わりたい。たぶん、誰もが同じ思いだろう。子供たちは自分が歩んできた人生を見ている。私には自分の後ろ姿が見えないが、子供たちはそれが見える。
そして、その後ろ姿を参考にしながら自分たちの人生を考えるようになる。父親は自分の子供たちの人生の比較対象なのである。私自身、時々、こんな時私の父親はどうしたのだろうか?と考える。楽しい時よりも精神的に迷っている時や苦しい時が多い。父親の人生は子供にとって身近な人生の比較データになる。
長男はもうすぐ二人目の子供を持つ父親になる。会社勤めで手堅く会社員キャリアを進んでいる。次男は独身で起業をしている。やりたいことをやっているがビジネスが立ち上がるまで時間がかかる。生活は苦しいが夢に向かって自分の人生に挑戦している。
変化が激しくて大きい今の時代は定年退職まで一つの会社に人生の大半を委ねることが出来ない。パナソニック、ソニー、東芝、シャープ、日立、JTB、JAL、電通などの大手企業でさえ大規模なリストラをやっている。「寄らば大樹の陰」という考え方が消えてしまった。頼れるのは自分自身。
そんな変化を子供たちは現実を見て感じている。父親は定年退職で子供たちと類似の境遇に入っている。会社におんぶにだっこの人生はもう得られない。60歳、65歳を過ぎた年齢が大きな壁となって自分の力で第二の人生を切り拓けと言っている。
21 / 41
このページのシニアライター:Norito H.Yoshida
Profile
Joomla CMSを使った法人・個人サイト構築で独立。51歳の時に会社を卒業。雇われる生活から自分を雇う生活になる。ソニー(株)、Yahoo!ジャパン(株)でインターネットビジネスの面白さを味わい、個人でも法人と競争が出来る隙間市場があるのに気が付いた。生涯現役でインターネットの世界で生きて行く。Western Washington University, B.S. in Sociology, Bellingham, Washington, USA.
シニアの生活は、体の老化に従って変わって行く。その体験記をこのブログで書いている。