朝、午前9時前に横浜駅地下街を歩いてスターバックスに行く。地下街では、出勤する人たちが足速に歩いている。その中にシニアの男性たちもいるが、仕事に行くという印象はない。60歳以降も継続して仕事をしているシニア男性であれば、スーツ姿に革靴だ。
年金生活を始めたシニアたちは、窮屈な革靴を履くことをやめる。会社の束縛を逃れるために足元から始めるのである。革靴は決して歩きやすい靴ではない。歩くにはスポーツシューズが良い。軽いし、クッションがあり膝に負担がない。
スーツ姿のシニアは働いている人が多い。年金生活を送っている人はスポーツシューズにカジュアルな服装。ジーンズに革靴を履いて歩いているシニアは少ない。私ぐらいかも。
シニアはなぜ革靴からスポーツシューズを好むようになったのか。
10年先の世界は、還暦を過ぎたシニアが活躍する社会になっているだろう。
ただ、活躍できるシニアと出来ないシニアが生まれる格差社会になる。この10年の内に若者を対象とした高等教育が崩れる。現在の大学の数は、少子高齢化社会を反映していない。人気が無い大学は倒産するか、教育対象者を若者からシニアに鞍替えするしかない。
問題は、還暦を過ぎたシニアが求める知識を大学側が提供できるかどうかだ。シニアの仕事に密着した実利を得られるスキルを学べる大学でないとダメだろう。若者対象の純粋な教養と学問ではシニアのニーズを満足させない。
第二の人生とキャリアを求めるシニアは増えてくる。社会はそのニーズを上手く消化できていない。多くの会社は60歳から65歳までシニアを再雇用して安い労働力として使っている。シニアのやる気を潰している。積極的に老後の生活を生きたいと思っているシニアは新しい知識と社会でのつながりを求める。
時代の変化が激しいので今までの知識や経験が生活面で生きてこない場面が増える。コロナ禍でウエブ会議が当たり前になっているが、ウエブ会議が何であるかが分からない、経験がないシニアが多い。中小企業の老いた経営者はウエブ会議、ビデオ会議、オンライン会議が同じことであることを知らない。
時代に追いつくためには学び直しが必須だ。
普通の生活が出来るシニアであれば、店舗や屋台、路上の簡易販売所でお弁当を販売する仕事が出来る。実際にシニアの方がお弁当を販売していたのを見ている。ランチ時間帯だけのアルバイト。シニアでも簡単にできる仕事である。
シニアが探す仕事は一つにする必要はない。複数の仕事を集めて自分の都合に合わせれば良い。アルバイトを3つ、朝、昼、夜にできる簡単な仕事を組み合わせる。時給が1000円あらば、1日6時間で6000円。それを平日だけ働けば1日6,000円x20日=12万円になる。
目標を1日5000円稼げる仕事に合わせれば、どのようなアルバイトを組み合わせればそれを達成できるかが見えてくる。
65歳を過ぎると社会に貢献できる仕事を探すシニアが増えてくる。年金生活、引退生活に満足できないシニア、仕事がしたいのに仕事が見つからないシニア、元気で健康であるから社会で活動したいというシニアがNPO団体で社会貢献の仕事を探している。
NPOは、企業や個人の寄付金と社会貢献ビジネスの売上で運営される。理想は、企業や個人からの寄付金だけで運営ができることだが、現実はそれができない。
NPOの運営には、どうしても運営資金が必要である。売上と利益が出ないとNPOを維持・継続させることが出来ない。
この事実を頭で理解している人は多いが、本当に切実に感じている人たちは、NPOの会計と理事長である。他のメンバーは、NPOの経営状況や運営資金について何も心配をしていない。ボランティア活動だからNPOは儲けてはいけないと心底思っているシニアが多い。これは間違いである。
パナソニックがまたリストラをすると言う。デジカメ事業を始めとする不採算事業6つで人員削減だ。創業者の松下幸之助の時代は、社員の首を切らないという信念で会社経営をしていた。創業者がこの世を去ったら、会社の創業精神も消えて行った。
ソニーもそうだ。創業者が世を去った後にリストラが頻繁に起きた。社員あっての会社なのに。それだけ現代は低成長でグローバル競争が激しいのだろう。お雇い社長と会社員社長は創業者のDNAを引き継いでいない場合が大半である。そのため、保身的な経営判断をする。弱い立場の社員をリストラして自分は社長の座に居座る。
社員が社長の座に収まると必ず自分の失敗を社員に負わす。世間が経営責任を問うことをしなければやりたい放題になる。大企業の社長は保身的な考え方から逃げられない。会社の事業が傾き始めると必ず人件費削減に走る。リストラである。
昔の話であるが、日本IBMの人事部長が会社の命令で社員をリストラすることになった。彼はそれを忠実に実施した。そして、最後に自分自身をリストラした。社員に犠牲を負わす役目に責任を感じ、会社を退職した。リストラをするすべての会社社長は社員を犠牲にする責任を取るべきである。リストラ=自分も責任をとって会社を辞める。それをやらない会社社長が多い。
歳は必ず取っていく。今、私は65歳。60歳から70歳代までにどのような仕事が出来るかを考えて準備している。70歳になったら、80歳までにやれる仕事があるかを考え実行する。80歳になったら、長生きするための仕事を考え実行する。
65歳を過ぎたら誰かに雇用される仕事を期待しない。日本の社会は高齢者を一般的な労働力として見ていない。パートやアルバイト人材として見る傾向が強い。人材派遣会社に登録しても特別な能力、資格がないと出番がない。老人は社会の弱者になって行く。
老いていくシニアがお金を稼ぐ続けるには自分でビジネスを始めるしか選択肢がない。誰もが出来ることではないが、誰もが一度挑戦して見る勝ちはある。挑戦することで開花されていない自分の才能を発見するかもしれない。挑戦できる年齢であるうちに起業を考えてみる。
今、60歳代であるならば体力も気力も十分あるのでシニア起業家として挑戦できる。これが70歳を過ぎると健康面で問題が起きやすくなる。情熱がないと最初の一歩が踏み出せなくなる。
65歳で本当の意味での定年退職になるシニアが多い。65歳という年齢は第二の人生を始める節目になる。私のような自営業者は既に第二の人生を始めてしまっているので65歳という年齢は年金収入が得られるぐらいしかない。経済的に余裕が生まれるのでプラスになる。65歳以降も仕事を探している元会社員ならば、仕事を探すから仕事を自分で作るにシフトすべきだ。
65歳という年齢は再就職の麺で思っている以上に高い壁になる。定年退職後の生活は自由になる時間が急激に増えて暇に溺れる状態になる。時間の使い方を考えて新しい生活のリズムを作らないと苦しむことになる。平日の8時間を埋める何かを見つけないと、「今日は何をしようか?}と考え始めてしまう。
インターネットのビジネスは、西部開拓時代のゴールドラッシュに似ている。金鉱を掘り当てるビジネスモデル、金鉱を探しに来る一攫千金家たちを狙うビジネスモデル、金鉱を掘るための道具を提供するビジネスモデル、金鉱の見つけるために色々なニーズが生まれる。そのニーズを満たすビジネスモデルが生まれてくる。
ビジネスの匂いを嗅ぎ分ける人は同じではない。人によって嗅ぎ分けられる匂いが違うし、その匂いから必ずしもお金を稼げるとは限らない。潜在的な市場がそこにあるというヒントでしかない。後は、実際にやってみないと分からない。シニアが仕事から引退するのか、再度挑戦するのかを判断する年齢が65歳年金受給のときである。
受け取れる年金額で老後の生活を回せるならば、楽な道に見える仕事からの引退がある。60歳代は年齢的に若いと思って後10年から20年ぐらい好きな仕事で第二の人生に挑戦したいシニアもいる。そんなシニアは何でお金を稼げるかを追求して自分独自のビジネスモデルを作る必要がある。
55歳になると60歳に定年退職をするか、継続雇用で給与が6割ほどになり配置転換がされるかを考える事になる。年金は、65歳から支給されるので継続雇用で65歳まで今の会社で働ければ楽だと考える55歳の社員が多い。
でも、65歳以降はどうするかを考えていない。60歳、65歳のどちらかで会社を卒業しても直面する新しい生活は同じだ。自分で自分の生活リズムを作らねばならない。今までの会社環境が無くなる。もう、仕事は生きがいにならない。仕事自体が無くなるからだ。会社と言う組織で守られてきたライフラインを失う不安は大きい。
会社で生まれた人間関係も会社卒業後にリセットされる。会社の同僚との関係は単純に一緒の職場で働いていた人でしかなくなる。60歳以降の生活を定年退職する前までにどのようにしたいかを考える必要がある。
私は、51歳の時に起業した。65歳の今、51歳の時に起業していて良かったと思っている。これが65歳以降であったら、躊躇するかもしれない。65歳以降に起業する高齢者も多いが、体あってのビジネスであるので体力、健康、そして、情熱が問われる。
もし、時間を戻れるならば私はきっと社会人生活を3年から5年経験した後に起業に挑戦するだろう。最初から成功すれば良いが、失敗してもかまない。むしろ、失敗経験から成功するコツを学べる。30歳になる前までに起業家の体験をすると会社に努めたときに大きな視野で会社の仕事に専念できるようになる。
もし、60歳過ぎで起業するならば、65歳になる1年前に起業するプランを立てることである。
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このページのシニアライター:Norito H.Yoshida
Profile
Joomla CMSを使った法人・個人サイト構築で独立。51歳の時に会社を卒業。雇われる生活から自分を雇う生活になる。ソニー(株)、Yahoo!ジャパン(株)でインターネットビジネスの面白さを味わい、個人でも法人と競争が出来る隙間市場があるのに気が付いた。生涯現役でインターネットの世界で生きて行く。Western Washington University, B.S. in Sociology, Bellingham, Washington, USA.
シニアの生活は、体の老化に従って変わって行く。その体験記をこのブログで書いている。