私が起業できたのは、ソニー株式会社でインターネットのベンチャービジネスを起こした経験があったからである。自分でも事業を作れるのだという自覚が芽生えた。それまでは、ビジネスを始めている人たちは違う人種のように思っていた。組織で働いていると上司から指示された仕事をやっていれば良い。それで生活費が銀行口座に振り込まれる。サラリーマンは楽な家業となっていた。
会社に勤めて出世するのが人生のキャリアのように周りから教え込まれていた。自分でビジネスを始めるなんて、毛頭なかった。その意味で創業者は偉大であったとその当時は思っていた。起業してみれは、必ずしもそうではない事が分かる。偉大なんて言う感覚は、起業を経験していない人が抱く妄想でしかない。会社の部長になるよりも起業して社長になる方が断然早い。
定年退職したシニアは、自分の老後の生活をどのように過ごしたいか、はっきりしたイメージを持っていない人が多い。それよりも新しい就職先を探して65歳まで生き延びることに気が行っている。65歳以降はどうするかは考えていないというか、分からない。
シニアへの質問: いつまで働くか?いつまで働きたいか?
この質問の回答は、老後の人生に密接している。いつまで働くかは、自分でビジネスを展開している人が対象。いつまで働きたいかは、雇用されている人が対象。余生をどう過ごすかで回答は出てくる。
都会での生活は、お金が無いと回らない。生活コストが田舎と比べて高い。都会の利便性と刺激を求めて高齢者たちが郊外から都会に引っ越して来る。経済的に余裕がある高齢者は、お金で生活を維持できるが、お金が不十分な高齢者は、都会での生活は無理である。
お金が無くなると食べる物も買えなくなる。飢え死状態になる。生活困窮者として都会で生活するのが高齢者にとって本当に幸せなのだろうか。
2021年現在50歳以上の会社員は、会社を定年退職した時にどのようにして生活費を稼ぐかを真剣に検討する必要がある。これをやらないといざ定年退職で一人になった時、必ず、困ることになる。
会社側は、60歳で定年退職をした社員を再雇用する機会を提供するが、65歳で雇止めになる。それが分かっているならば、まだ、会社で給与を頂ける50歳代の時に会社に頼らないで自分の力でお金を稼ぐ準備をする必要がある。
65歳からの老後は、自分で生活設計をすることになる。65歳になった時にお金を稼ぐスキルとビジネスの種があれば、生活費を稼ぐことで苦労をしない。自分が作った仕事であれば、それが生きがいになる。
最近のリストラのニュースを見た。希望退職と言っても実際は退職したくない人を合法的にリストラすること。JT、NHK、三陽商会、オリンパス、藤田観光、JTBなど有名企業が希望退職やリストラを発表している。コロナ禍で経営不振になってしまった。コストを圧縮するには人件費を削減するのが一番効果がある。その現れである。
2021年2月 | JT | 1,000人規模の希望退職募集 |
2021年1月 | NHK | 50歳以上の早期退職募集、管理職3割削減 |
2020年12月 | 三陽商会 | 2018年の250名に続く人員削減を発表 |
2020年12月 | オリンパス | 950人の人員削減を発表 |
2020年12月 | 藤田観光 | 700人の人員削減を発表 |
2020年11月 | JTB | 6,500人の削減と年収平均3割カットを発表 |
不幸か、幸運か分からないが人員削減の対象者になったならば、自分の人生を再出発する機会かもと思ってほしい。決してネガティブに考える必要はない。会社に残れたとしても必ず会社を卒業する時期が来る。会社員はそれを避けることが出来ない。
希望退職やリストラは割増退職金がついてくる。高額な退職金になるのでそのお金で住宅ローンや子供の教育費に当てて精神的に身軽になることである。その上で新しい人生を探す。
70歳を過ぎたら何をして老後の生活を過ごすかを考えたことがあるだろうか。70歳まで仕事を続けていたシニアの多くは仕事を辞める。会社側がご苦労さまでしたと言ってくる。仕事を失うと「毎日が日曜日」の時間が生まれる。年金と貯蓄で生活は出来るが、暇な時間で精神的に苦痛を感じ始める。
コロナ禍で多くの労働者が仕事を失い何に時間を使えば良いのかで困っている。若い人たちは仕事が見つかれば暇から逃げられる。シニアも同じだが仕事が見つからない。暇な時間を楽しい時間にすることを考える必要がある。
失った仕事を自分が作る仕事で暇な時間を埋めれば良い。時間はたっぷりある。必要な事はどんな仕事を作れるかを探し、それでお金を稼げるかを実験するだけである。
高齢者の強みはどこにあるのかを考える。誰もが持っている強みは、人生経験だ。自分独自の人生経験に価値がある。誰も真似が出来ない経験だからだ。そのユニークな経験をお金に換えるには、経験を形にしなければならない。目に見える形である。お客さんは、目に見えない物に不安を覚える。目に見える製品にして始めてお金を支払う気持ちになる。
自分の職歴、人生経験、専門分野、得意などを文字にしてインターネットで情報発信をする。これをすることで自分というシニアの存在感をウエブ上で示せる。情報が細ければ細かいほど読む人はあなたの背景と経験を理解できる。自分の売り込むには自分という人間の情報を発信し続けなければならない。
文字で情報を発信することで見えていない人生経験や専門知識を形にできる。後はどのようにしてあなた自身を製品化するかである。
私は生涯現役で働くつもりだ。肉体労働は年齢と共に出来なくなるが、パソコンとインターネット、そして、ビジネスチャンスを見つける嗅覚があれば知的生産が出来る。知的生産からサービスをお金に換えるノウハウを身に付ける。それができれば老化で働けなくなってもお金は稼げる。
世の中には学校や世間の常識が教える働き方とお金の稼ぎ方以外の生き方がある。インターネットでお金を稼いでいる人たちは世間一般的なお金を稼ぎ方をしていない人が多い。それが世間の人たちには見えていないだけである。
目に見えない、知られていない職業がインターネットに存在する。有名にならなければお金が稼げないなんて、それは嘘だ。賢い人間は人知れず普通の顔をして優雅な人生を送っている。
シニアは老化で肉体労働が出来なくなる。出来るのは頭を使った仕事である。私を含めて老後の生活に不安を覚えるシニアが多い。その一つの理由が老人ホームに入居して生活を続けるだけの貯蓄である。私の義父は96歳で介護付き老人ホームに入居している。月額35万円ぐらい費用が発生している。
100歳まで生きるならば、月額35万円x12ヶ月x4年で1680万円費用が発生する。義父にはそれだけの金融資産があるので自分のお金で老後の生活が成り立つ。もし、75歳で介護付き老人ホームに入居するならば、1億円以上になる。もう、普通のシニアならば諦める。
老後の生活で安心を介護付き老人ホームに求めるならば、多額のお金は必須になる。この問題を解決するにはどうすれば良いか。
定年退職後は、自由になる時間がたくさん生まれる。再就職を試みても上手く行かない。今後の人生の見取り図があれば、そちらに時間を費やすのだが、見取り図が無い。そんなシニアであふれている。再就職先を探すのも良い選択だが、いづれ年齢の壁で職をまた失う運命にあるという事を認識すべきだ。
誰かに雇われる人生から自分を雇う人生にシフトする時期が今である。自由になる時間がたくさん生まれれば、その時間を使って「お金を作る方法」を探せる。これに挑戦できるのは、心身共に元気でないと「お金を作る方法」を探せない。試行錯誤が必須だからだ。多くの失敗の上で初めて「お金を作る方法」を探し当てられる。
2021年の社会はコロナ感染で大きな変化の真っただ中にある。会社社員にリモートワーク、在宅ワーク、副業、複業、兼業を勧める、または、義務付ける会社が増えている。政府も新しい働き方改革というキャンペーンを試行して大手企業に弾力性がある労働環境を再構築するようプレッシャーをかけている。リクルートは、30歳までを「新卒扱い」として採用する方針を決めている。
今までの常識が常識でなくなる時代を迎えている。シニアは今までの常識に囚われない発想でお金を稼ぐビジネスニーズを嗅ぎつける必要がある。
自分が老人になったと自覚し始める年齢は何歳だろうか。どんな自覚症状が出たら、自分は本当に老人になったと思うのか。66歳の私だが、まだ、老人になったという感覚はない。老化現象が体に出てきているが老人になったとは思っていない。
私が見て明らかに老人だという認識するのは70歳以上のシニアである。70歳は、風貌からしても体力的にしても老人の要素が強く出始める。70歳は、普通の人から老人になる節目ではないかと私は思っている。
老人になったという自覚は、どんな所で感じ始めるのだろうか。70歳以上の知人の姿を見て私が感じる老人の要素は、
(1)歩き方がゆっくりで弱々しい
(2)階段を避ける
(3)10キロも歩けない
という点である。老人であるかどうかの見分け方に違いがあるのではないか。
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このページのシニアライター:Norito H.Yoshida
Profile
Joomla CMSを使った法人・個人サイト構築で独立。51歳の時に会社を卒業。雇われる生活から自分を雇う生活になる。ソニー(株)、Yahoo!ジャパン(株)でインターネットビジネスの面白さを味わい、個人でも法人と競争が出来る隙間市場があるのに気が付いた。生涯現役でインターネットの世界で生きて行く。Western Washington University, B.S. in Sociology, Bellingham, Washington, USA.
シニアの生活は、体の老化に従って変わって行く。その体験記をこのブログで書いている。